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天使☆騒々 RE-BOOT! 全ルートを終えて


レビューを書くにあたって

久々にnoteの記事を書く。というのも、最近Twitterで感想を書くことが多かったのだが、数ツイートをツリーにしてぶら下げるぐらいなら、こうして記事にした方がいいのではないかと思い、筆を執っている次第だ。
一応、極力ネタバレは避けているので、まだ未プレイの方でも読めるようになっている。何かの参考になれば嬉しい。

というわけで、noteで初めてレビューを書くにあたって、このゲームに出会った経緯を軽く書いておく。

去年の夏頃だったと思うが、youtubeのホームのおすすめ欄によく「RIDDLE JOKER」の切り抜きが出てきたのが全ての始まりだった。その切り抜きで出会った「三司あやせ」という少女が、これまたすごく"刺さった"ので、製品版を購入することに。
ちなみに、自分が初めてプレイしたエロゲーは、かの有名な「WHITE ALBUM2」であったため、正直エロ要素に期待することはなく、純粋に読み物としてどうなのかというのが気になって、体験版すらやることなく購入した次第である。余談だが、「WHITE ALBUM2」はストーリー全てが、「RIDDLE JOKER」は三司あやせが素晴らしいので、知らない諸氏はまず切り抜きでいいので見て感じてほしい。
それから、界隈でどうやら伝説らしい「サノバウィッチ」「千恋*万花」を購入し、次いで「喫茶ステラと死神の蝶」「天色アイルノーツ」も購入して、それなりにプレイした(特に「千恋*万花」と「RIDDLE JOKER」と「喫茶ステラと死神の蝶」は全ルートプレイ済み)。
そんな風に楽しんでいた頃、どうやら新作が出るとの噂を耳にした。買うしかあるまい、と予約開始日に予約。こうしてこの作品と出会った訳である。

現在購入したエロゲー一覧。1ページに収まりきらないので一部。
一応ゆずソフト以外にも手を出してはいる。

製品欄を見てみての第一印象としては、「今回は沢澤砂羽さん(一押しの声優さん)でないんだ」だったが、「喫茶ステラと死神の蝶」からの続投である夏和小さんがなかなか攻めたキャラに就いているな、という印象もあった。

それから、大前提として、ゆずソフトのゲームは「キャラゲー」だ。「ストーリーゲー」ではない。ストーリーのためにキャラクターがいるのではなく、キャラクターのためにストーリーがあるのだ。だからこそ、どのキャラクターがどういう風に描かれるかという点に趣がある。少なくとも私はそういう風に楽しんでいる。

体験版をプレイしてみて

さて、体験版をプレイした感想だが、単純なもので「この謎はどう解かれるのか?」だった。先が気になって仕方がなかった。
あらすじ等でも触れられているのでさくっと解説しておくと、主人公は天使が舞い降りてきてから色んな問題に悩まされるわけだが、つまりは大きすぎる力を持っていることが発覚してしまったがゆえに狙われるという話がメインだ。体験版はその刺客がどうやって主人公に迫るか、みたいなところで終わる。そこから先はR-18シーンのお試し。

この手のゲームにありがちなルート分岐システムを本作も導入している(というか、ゆずソフトのゲームは「千恋*万花」以降、フローチャートを視覚的に見えるようにしてくれているので、分岐があることを前提にプレイでき、ストレスフリーに楽しめるところはある)ため、それを前提に考えるなら、今作のルート分岐がどうなるのか、というのもわくわくした。
体験版ではそれが明らかにならなかったため、どこまで複雑になるかが読めなかったのもある(「RIDDLE JOKER」の時は自動分岐(それまでの選択肢の結果次第で自動で選ばれる、プレイヤーが選ぶのではない分岐)が多くて、いろいろ試した記憶がある)。

で、それを踏まえて誰のストーリーが一番気になったかという「本命」についてだが、個人的には乃愛が最有力で、次点で天音、風実花さん、来海という順位付けだった。全員を並べるなら、「乃愛→天音→風実花さん→来海→かぐ耶→オリエ」。理由は色々あるが(というより、乃愛が最有力なのは個人的な好み(僕っ娘天使)に刺さったからである)、天音は前世とのつながりが序盤からチラ見えしていたからこそ気になったのもある。
風実花さんは「若者語を使おうとしてハマり切っていない若い先生」というポジションが美味しいのが主な理由。主人公との絡みでの化学反応がどれくらいのものか予測できなかったのもある。
来海は常識人ギャルというポジションが、全員でいる時に効果的に活きていて面白かったから。ただ、正直体験版では関わりが少なくて深堀しづらかったので、これは本編に期待という感じだった。

ちなみに、お気に入りボイス機能(シナリオ中のヒロインの声をリマインドしておく機能)で一番多く登録していたのは、この時点では天音だった。

(一応遅いかもしれないが、リンクを貼っておくので、各キャラクターについてはこのリンク先を参照していただきたい)

ルートプレイの感想

さて、本編を購入してからのルートのプレイ順だが、結局天音のストーリーが気になってしまい、「天音→乃愛→風実花さん→来海→オリエ→かぐ耶」の順でプレイした。

全ルート終えてみて、総括的な話をするなら、乃愛ルートはグランドルートだったとはいえギャグ要素多めだったし、乃愛のルートで分かる異世界のことを補うように天音や来海のルートが絡んでくるという感じがした。これまでは割とそんなことなかった(本編開始より過去に起きたことや分岐後にキャラクター無関係に起きる世界の事件なども、ルート分岐が変われば変わることも結構あった)はずなのだが、今回は全員でルートの辻褄を合わせに来ている感じだと思う。
そういう点で言えば、これまでのゆずソフトのゲームではそれぞれのルートでの面白さに差があった部分もない訳ではなかったのに対し、本作はどのルートもそれなりに面白かった。ゆずソフトらしい「共通ルートは事件がひと段落着くまで、それ以降は個別に『恋愛の問題』と『世界(事件)の問題』を乗り越えるべくストーリーが交差的に進行する」というセオリー通りで分かりやすく、それでいてキャラクターの一挙手一投足や表情に注目しやすいセリフ・シチュエーションのチョイスだった。

特に、乃愛のルートの途中の分岐でゲームオーバーになる分岐があるのだが、そういうシーンの作りこみなども面白かった。ただのR-18シーンの分岐だけじゃ物足りないと正直感じてはいたので。
また、要所要所でCGが効果的に出てきたのもよかった。特にそれを感じたのは乃愛のルート。乃愛ルートは天使の翼が描かれるCGの書き込みがよく、構図も翼あっての構図なので、天使という属性を存分に活かせていたと思う。

それから、ルートの話をする上で記しておきたいのは風実花さんのルートについて。かなり期待していた分、同じサブヒロインであるオリエルートとの量の差にちょっとショック。ルートが短いとキャラクターの描き方のパターンが単純に少なくなるだけでなく、ストーリーの厚みやキャラクターの厚みに関わる。風実花さんの素材がよかっただけにもったいないなと感じた。

その他で言うなら、それぞれのキャラクターの前世返り(異世界)の衣装はどれも結構好みで、学校の制服よりも良かったと思う。今作の学校の制服は夏服ということもあってちょっと単調だったので、個人的にはもう少し主張してくれる衣装の方がデザインとして楽しめると思った次第。

本命は如何に

ではどのルートもプレイしたうえで、体験版の時の好みからどう変化したのかと言うと、よかったと思った順に並べるなら「来海→天音→乃愛→風実花さん→かぐ耶→オリエ」だった。というより、ぶっちぎりで「来海」が一番だった。

ここからしばらく来海のキャラクターとしての良さについての話になるが、とにかく声優さんの演技がよかった。声色がコロコロと変わり、来海のちょっと面倒な性格が、明るくて、考えすぎで、繊細かつ大胆なところが丁寧に描かれていた。最終的にお気に入りボイス登録が一番多かったのも、もちろん来海。
特によかったのは、主人公に流される(ほだされる)訳ではなく、ちゃんと自分で理由を見つけようとする性格だ。これもかなり好印象だった。この手のゲームにありがちな、主人公の言動に揺さぶられて付き合う、という感じではなく、もちろん主人公の言動もありながら、自分で考えて、自分で前に進むことを選ぶ、それに主人公が「いいんじゃないか」って言える、そういう性格や関係性があった。

あと、いいシナリオは日常シーンがいいことが挙がるが、来海ルートは特にそれだった。過去作で言えば「RIDDLE JOKER」の三司あやせルートもそうだったが、主人公との関係性を深める時間はどのルートも大体同じぐらいなのに、それをしっかり印象付けるほどのシナリオややり取りが、来海ルート最大の魅力だったりするのかもしれない。

あと、ビジュアルもよかった。CGで映る来海の表情が多彩で、主人公との対話の中で気持ちが表情に出やすい性格を上手く活かしていた。特に、カフェで二人で向き合う時の来海と、終盤のプリクラの時の来海は好み。

少々もやっとしたところ(ルート後半の「世界の事件」を解決する時に登場するキャラクターとの対話とか)はあったものの、二人の関係性という点では非常に好印象だった。少なくとも、元々の好みに近かった乃愛や天音よりもずっと面白いと感じたルートだったと思う。

逆に、思ったより刺さらなかったなというのは乃愛。会話のやり取りが結構直球で(あんまりそういうキャラじゃないような気がするのに)、ワードセンス的な部分で少々引っかかった。もちろん、先ほども述べたがCGの出来はかなりよかった。特に、というなら終盤の翼を背中側に広げるシーン。あんまり述べるとネタバレになるので避けるが、主人公に顔を近づけながら翼を後ろに広げるあのシーンは、構図的にもストーリー的にもよかった。

総評

総評としては、「RIDDLE JOKER」ほど全てのルートにハマったという訳ではないが、来海のルートはかなりよくできていたと思う、というのに落ち着く。
あまり他のルートに触れてないのは、正直そこまで語ることがないのもある。「RIDDLE JOKER」はどのルートも面白く(サブヒロインの千咲はいったん置いておくにしても)、好み以外で差をつけづらかった(逆に、総合的にはまとまった完成度だったと言える)のに対して、本作は結構ストーリーの厚みやワードチョイスに差があるようにも感じた。好みによって刺さり具合に大きな差がある作品なのかもしれないと思う。

体験版をした後のツイートでも語ったが、割とセンターヒロインが最有力、もしくは準有力になりがちだったのもあって、今回はそうならなかったのが自分の中では驚きでもある。

とはいえ、今後もしかすると行われるかもしれない人気投票だと、おそらく天音が一位になるんだろうなと思いながら、このレビューを締めることにする。
これまでもそうだが、私の推しは一位になりづらい(あやせ・栞那)ので、来海も恐らく二番手か三番手、もしくはそれ以降になってしまうのだろうな、とプレイしてみて改めて感じる少しの寂しさを抱きながら、しばらく他のゲームをやるなどして沈むことにする。


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