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【雑感】希望と絶望~その涙を誰も知らない~

日向坂46ドキュメンタリー映画第2弾、希望と絶望を見てきました。
正確には横浜で行われた先行試写会に行き、公開されて2回目を見に行きました。
ということで、2回見たうえでの個人的な感想や推しポイントを語っていきたいと思います。

これからも何度か見る予定ですし、色んな人の感想を見ていくと
自分の中での解釈も変わっていくと思いますが
ひとまず、公開2日目の僕の感想ということで!

※ここから先は多分にネタバレございますのでご注意ください


結論から言うと

少し心配になるタイトルと予告映像で身構えてしまう人も多かったと思います。
確かに前作、『3年目のデビュー』に比べると
綺麗なサクセスストーリーじゃない分、見終わった後の心のしんどさは大きかった。
キャプテンが『この2年間は見てほしくない』と言っているし、劇中で色々あったネガティブなことを物語として綺麗に昇華したくないと言った趣旨の話もしています。

ただ、最後はこれだから僕は日向坂46が好きだと思えるし、これらかもまだ見ぬ景色や数多の経験を一緒にしていきたいと思えました。
色々あったかもしれないけど、それも含めて君たちが好きだと伝えたいですね…


2020年

早々に登場するひなあいの映像に思わず笑ってしまう人も多かったんじゃなかろうか笑

2019年末、念願の東京ドームライブが決まり、さあ!これから!という日向坂に待っていたのは想像もしなかった現実

ライブやイベント、握手会が次々に延期になり自粛生活が余儀なくされる世の中になってしまうも
徐々に様々な活動を再開していく様子が描かれています。

グループでの活動が難しいなかで個々人の活躍が目立ち始めた時期だったと思います。
先の見えない情勢にまだまだ暗い感情が渦舞く世の中でしたが
新3期生の加入と影ちゃんの復帰とグループとしては明るいニュースもありました。

映画の尺からすると、2020年のパートは上半期がまともに活動できていないのもあってか体感的に少し駆け足気味だったようにも感じました。

そんな中でもこの後に繋がっていくような印象的なシーンとして
お客さんがいない中で配信ライブが続く現状について
みーぱんが「会場にパワーを吸い取られているみたいだった」と語ったり
としちゃんが「リハーサルの続きを延々とやっているようだった」語っています。
また、京子もミーグリや配信ライブといった自分たちの活動が
以前と違いダイレクトにお客さんに届かないことに不安を感じていた的な話もしています。

ファンからしたら、こんな状況でも何とか趣向を凝らして色々とやってくれていることがすごくありがたかったし
暗い気持ちになりがちな中でかなり心を救われていたなと思う時期でしたが
表に見えないところでは色々と葛藤というか不安というかあったんですね。

先の見えない情勢に不安を感じているのは彼女たちも同じというわけですね。
辿りつけるはずだった東京ドームライブも延期になり、この頃からメンバー全員が揃うということが珍しくなっていきます…


2021年

今回の映画の核となるところ。

年を明けて、更に加速する日向坂46。グループとしての仕事はもちろん個人で外番組に呼ばれたり、レギュラーを持つメンバーがどんどん増えていき多忙を極めます。

久しぶりの有観客ライブ

3月には2回目のひな誕際を開催します。限定された状況ではあったものの1年以上ぶりのお客さんを入れてのライブでもありました。
僕自身は、このライブを配信で見ていたのですがこの日の『ドレミソラシド』は何度思い出しても涙腺がイカれてしまいます。
本来は明るくて、青春真っただ中!!な曲なのに涙を流し、顔がグチャグチャになりながら歌い踊るメンバーが印象的ですね。
メンバーもファンもお互いにパワーをもらえた1日でしたね。

君しか勝たん~加藤史帆~

約1年ぶりの5thシングルのセンターに選ばれたのは加藤史帆。
その大役と共にグループの代表として、色々な番組に出ることが多くなったとしちゃんが
明らかにオーバーワークだったのはこの映画を見るまでもなく
当時を知るファンは気づいていたでしょう。

特にラヴィットのシーズンレギュラーとして朝の8時から生放送に出たかと思えば、夜の11時45分からレコメンの生放送に出る火曜日は特にしんどそうでした。
0か100しか出来ない、自分に厳しく完璧主義、出来ないと言ったら仕事が無くなってしまうんじゃないかという責任感

とうとうヒット祈願が終わるその瞬間まで、限界だと言い出せなかったとしちゃんのリアルが描かれています。
後のインタビューでも思い出しただけで泣けてきてしまうほど辛い期間だったという事実に胸が苦しくなります…

W-KEYAKI FES 2021

恐らくこの映画で最も物議を醸していそうな2021年夏のライブ。
6月にこさかなが休養を発表し21人で迎える夏。

制限が掛かっているとはいえ、久しぶりの数千人規模の客を入れてのライブでもあったし
前日の櫻坂が18時開演、翌日の合同ライブが17時開演なのに対して何故か日向坂だけ15時開演(リハの都合とかあるのかもしれないけど)とまだまだ日差しが降り注ぐ中でのライブでもありました。

これもまた配信で見ていましたが、かなり早い段階から暑さからくるキツさが目に見えていました。
そんな中でも自分たちすらをも鼓舞するような煽りを見せながらやりきった日向坂に感動すら覚えていたのですが、現実はとても厳しくスタッフからの『初めて誰跳べで感動しなかった』というダメ出し。
リベンジを果たすべく、気合を入れた3日目の合同ライブも
体力の無さやパフォーマンスの拙さを指摘される悔しい結果に…そんな風には見えなかったけどな…

さすがのキャプテンもぶつけ所のない感情を発散するかのように叫んでいました。(としちゃんとおたけも)
直後のインタビューでもすごくリアルな胸の内を明かしてくれています。

ただ、この頃ぐらいからライブの準備のためだけに時間を割くことができなくなっていて
グループとしての同じところに向かって進めていないのも事実だったようです。
当時のインタビューも当時を振り返るインタビューもネガティブな発言が良く目立ちました。

大人のみなさんどうしたんですか??

この映画の最終的な感想としては頭に書いた通りですが
1番感じたのは大人への疑問というか不安です。

もちろん、この映画を見ただけでは知りえない事実がいっぱいあって
僕らにはわからない事情が山ほどあるのは重々理解してはいるつもりですが

としちゃんがあんな風になるまで放っておいた大人のみなさんは何を思っていたのでしょうか…
グループとしても大事な時期だったのかもしれないけど、昨日の今日の関係では無いだろうし
としちゃんが持ち合わせている責任感などを踏まえても
無理をさせないように休ませるのが、大人の仕事なんじゃなかったのかな…マネジメントってそういうことじゃないのかな…

ケヤフェスについても…
確かに多忙な時期を過ごす中で、ライブをする機会も減り心身ともにパフォーマンスがイマイチだったのはプロの目から見たら嘘ではなかったのでしょうし
映画内でも触れられているように発破をかけるつもりでもあったのでしょうが
キャプテンも言っていたように7月の炎天下の中でのライブは体力をつけてどうこうなるような問題じゃなかったと思うし
ライブ後の総評もかなり抽象的な事しか言ってなかったように見えました。

前例のない状況でのライブで本人たちはベストを尽くしていたようにも見えます。
発破をかけるにしたってもっと具体的に原因や改善策の話をしてあげる必要があったんじゃないかなと思えてしまいます。

さすがにこのライブの時期の映像はメンバーが不憫で仕方なかったです。
先ほど触れたキャプテン、としちゃん、おたけの叫びもすごく人間味があふれるリアルさでした。
自分たちなりに考えてやれることはやってるのに、理不尽な怒られ方をするサラリーマンのようでした。
「じゃあ、どうしたらいんだよ…」思わずそう言いたくなる状況でしたね。

あえて全てを言わずに自分たちで考えさせる方針なのかもしれないけど、あまりに言葉足らず過ぎる印象を受けてしまいます。

アリーナツアーと芽生える自覚

悪い流れはその後の全国アリーナツアーまで引きずります。
みんな自分の事で精一杯だったとみーぱんが語るように、気持ちが追いつかなまま始まってしまう全国ツアー。
またしても、大人から抽象的な指摘を受けてしまいます。

しかし、メンバーも転んだままではいません。
このままじゃダメだと思っていたのは大人だけではないので、少しずつメンバーも変わっていきます。
本人たちが語るのは、今までメンバー同士であれこれ言って終わっていた意見を
キャプテンがまとめてしっかり自分たちの意見として大人にぶつけること

とても印象的だった話としてライブをするのは大人たちじゃなくて自分たちなんだというニュアンスの話をしています。
自分たちで曲を作るわけでもなく、メディアの仕事を取ってくるわけでもなく、ライブの箱を押さえてツアーを開催するわけでもない
言ってしまえば、大人が用意した仕事をやるしかない立場ではあるんだけども
やらされている、やらせてもらっているという感覚ではなく
最終的に表舞台に立つのは自分たちなんだとそういう自覚に芽生えていきます。

不安なスタートだったアリーナツアーも回数を重ねるごとにメンバーの気持ちが1つになっていき無事完走します。
また一回りグループとして大きなった期間だったんだろうなと思いました。

ついに辿りつく東京ドーム

激動の2年間を経て、2022年3月30日日向坂46はついに東京ドームでのライブに辿りつきます。
22人全員でとはいかなかったけど、一度はその手から零れ落ちかけた夢をもう一度つかみ取って映画はクライマックスです。


今作も存在感を放つ渡邉さん

前作もそうだったのだけど、渡邉さんのインタビューが本当によく使われています。
今回は別の縦軸として渡邉さんの卒業という決断に至るまでの葛藤もあったと思うので多く使われたのもあるかと思います。
それにしても、先行試写会の舞台挨拶でも監督が言っていたように、どんな状況でもカメラを向ければ何か喋ってくれたんだろうし
とても聡明な人なので、客観視をして話ができるし作り手側としても使いやすい話をしてくれていたんじゃないかとさえ思います。


キャプテンの語る日向坂46とは

映画の最後にはキャプテンが日向坂46とはなんたるかを語っています。
「何もないところを自分たちで道を造り、草木をかぎ分けて全力で進むのが日向坂。その先にどんな結果が待っていようと後悔はしないと思う」
こんなような事を話してくれます。
そして、エンディングに流れるのは『飛行機雲ができる理由』
以前、この曲を卒業を控える渡邉さんとファンの気持ちに例えたけれど
この映画を見た後に、この曲は日向坂とファンの関係を描いたのかとさえ思わせてくれるほどに内容と歌詞が刺さりましたね。2番サビが使われているのも粋でした。

表に見える姿だけじゃなく、裏での苦悩や葛藤も見て知ったうえで彼女たちの造る道を一緒に歩んでいきたい
そう思わせてくれる映画でエンディングでした。


最後の映像

エンドロールも終わり、ここで終了かと思いきや最後の最後にインタビュー終わりの渡邉さんとキャプテンの会話が流れます。
これはズルい…いや、最高…ありがとう竹中監督(笑)

結局、おいおい…と思うところもありつつ最後は日向坂が好きだなと思わせてくれる彼女たちの魅力を再認識する映画でした。
前作が不遇の時代を乗り越えて華々しくスターダムを駆け上がっていくサクセスストーリーだとしたら
今作はこの世の誰もが感じていたこの2年間の不安や不満をキラキラしたトップアイドルも漏れなく感じていて
1人のアイドルでありながら、1人の人間として社会や仕事に向き合い葛藤するリアルが描かれていたのかな。
キャプテンが美談にしたくないと語るのもまたリアルな話。


東京ドームライブの開演直前、こさかなを励ますみくにちゃんがかっこよすぎたな~


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