見出し画像

日大アメフト部に関して思うこと

最近、世間を賑わせている日大アメフト部の問題について私なりの見解を述べたい。今回の論点は以下の2点にある。
⑴ アメフト部の廃部に関する是非
⑵ 「問題に関わっていなかった学生」の今後

1点目のアメフト部の廃部に関する議題が波紋を呼んでおり、「廃部は妥当」とする声もあれば、「真面目に活動している学生が可哀そう、連帯責任の悪いところが出ている」という声もあり、実に多様な意見が出ている。ちなみにヤフーニュースでは日大がアメフト部を廃部にしたことの是非を調査したところ、7割弱の人が廃部方針を「大いに評価する」と答えている。

さて私の見解に移るとするが、私も今回の廃部方針は当然の結果だと考えている。廃部方針を巡って問題をややこしくしているのが、「学生が悪いVS大学上層部が悪い」という2項対立である。

意見を見てみると、「大学の上層部の判断が悪いから廃部になった」という意見もあれば「学生は成人しているのだから学生が悪いに決まっている」という意見もある。しかし、学生が大麻使用をしていることと大学側の対応が悪いことは別の事象であり、切り分けて考える必要がある。

ではまず、大学の上層部が悪いという問題について見てみる。例えば大麻が使用されているという問題を12日間にわたって隠蔽したり、いまだに監督の声が出ていない様子、廃部となった経緯が説明されていないことを見れば、大学の上層部に説明責任や自浄作用がないことは判断できるだろう。だが、それは必ずしもアメフト部の廃部につながったわけではないというのが私の意見だ。

と言うより大学の対応が仮に良かったとしても、今回の廃部は免れなかっただろうと言うのが私の意見だ。その理由は今回の大麻活用問題が部による組織的なものだと考えられているからだ。12月1日時点で4人の部員が学内の寮で大麻を使用したとして逮捕されている状況に加えて、寮内ではいわゆる「大麻部屋」が黙認の存在とされていたことが報告されている。学生の自治によって運営されている寮内でそのような光景があるとすれば、知らなかったでは済まされない事態であろう。また、日大アメフト部ОBの話では大麻使用について「ついにばれてしまったか」という声もあった通り、組織的な問題であることが示唆されている。言うまでもなく日本においては大麻を使用することが禁止されており、それを組織的に破ってきた犯罪組織日大アメフト部が廃部になることは当然の結果だと考えている。

続いて2点目の「問題に関わっていなかった学生」の今後について考えてみる。後にも説明するつもりだが「問題に関わっていなかった学生」と条件付きかっこで表現したのには理由がある。それは本当の意味で問題に関わっていなかった学生を見分けるのが難しいからだ。

現在4人の学生が大麻使用によって逮捕されている状態だが、それ以外の学生を潔白と見なすことはできるのだろうか。答えはそんなに単純ではないというのが私の考えだ。その際に考えるべきなのが、もともと大麻を使用していた学生のことを噂程度であっても知っていたのにも関わらずそのことに言及しなかった学生の存在である。これを便宜上、学生A群とする。

昨年にアメフト部部員の保護者から大麻使用に関する疑いがあり説明責任を問われた事例や、ОBまでもが麻薬使用に関することについて認知していたこと、さらには寮生活という同じコミュニティで生活していた学生がいたことを踏まえると、大麻使用がされていたことを「全く」知らなかった学生というのは存在するのか。この点は世間で大いに疑問を抱かせている箇所だろう。私もこの点に関しては疑問を感じざるを得ない。

仮にこれらの事態を知っていたとして、異議を唱えようとする学生はいなかったのだろうか。犯罪行為である活動を見過ごしたまま、平然とアメフトをやっているのはどう見ても異常行為であるし、大学を卒業し社会に出るとなったときに気持ちよく自身の過去を誇ることはできるのだろうか。私は学生A群も大麻を使用した人と同じく同罪だと考える。

ここまではどのようなメディアにおいても議論されているが、ここからは私なりの考察である。つまり、大麻使用に関する事情を知っておりそのことを部や大学に訴えたが、「揉み消された」パターンである。この行為をした学生を学生B群と呼び、後に論じるが、仮にアメフトを続けるという選択肢が許可された場合、学生B群であればアメフトに関わってもいいなと思える存在である。

昨日、アメフト部再開への署名を目指すため2人のアメフト部員がニュース番組に出演した。そこでは「数人の問題によって他の真面目に取り組んできた学生が影響を被るのに怒りを覚える」という内容が挙げられていたが、そもそも今回犯行に及んだ学生数を正確に把握することは極めて難しい。

その一番の理由に挙げられるのが大学側の隠蔽を中心とした対応にある。12月1日に最初に逮捕された北畠被告は大麻使用に関わっている現役学生を10人程度と評している。一方、先ほどの話では数人程度という風に話が食い違っている。同じ部活動内においても情報が風通しよく共有されていない事例を見れば、大学側の対応に問題があることは容易に考えられるだろう。元々は北畠被告のみによる犯行と説明していた日大だったが、現在においては4人の逮捕者を出しており、北畠被告による証言が本当だとすれば10人程度であるという話も上がっている。

もはや大学の説明に信憑性を感じることはできないのが現状だ。そのため、もし今後アメフトの活動が復活し、「罪を犯さなかった学生」は活動を再開してもいいよーと日大が言ったとしてもその発言には信憑性がないのである。

廃部は決定だとして、それ以外の活動で考えられているのは、同好会や他大学での部活動への編入・入学、社会人チームでの活動である。だが、これらの団体からの視点を考えてみて欲しい。これらの団体は元日大アメフト部だった学生を「受け容れる」ことはできるだろうか?

信憑性に乏しい日大上層部が与えた「この人は大丈夫」というお墨付きを信じ切ることは難しいだろうし、私だったら「犯罪をしていたかもしれないであろう人」とスポーツをすることに怖さを感じる。

先ほど学生A群と学生B群の話をしたが、これらの群というのは日大アメフト部の当事者のみが知っていることであり、外部からは判断・証明するのが極めて難しいことにある。

そのため私が考える今後の方針としては、元日大アメフト部による同好会を作ることになると考えている。他の団体に受け入れてもらうことはかなり難しいだろうと考えたからである。

当然だが、同好会を作るに当たって大学側はもちろん、アメフト部ОBによる支援は一切必要ない。代々麻薬が受け継がれてきたОBからの支援を少しでも受け取ろうとすれば、悪い意味での連鎖からずっと抜け出せなくなってしまうからである。完全に膿を出しきるためにも、悪い意味で「染まった」外部からの支援は受けてはならないだろう。グラウンドやボール、練習着、スパイクなどは自ら調達しなければならないが、そんなことはマイナースポーツであればある程度当然の話である。

犯罪をやっていたかもしれない学生に対して支援をする方がどうかしている。そんなことは少し考えれば分かることだ。公式戦に出場することができないという問題に関しても、罪を犯したかもしれない人と試合する側の方も考えてみて欲しい。怖くて仕方がない。公式戦ができないのは当然として、練習試合であっても対外試合はできない可能性もある。もしそれが無理なら、同サークル内で試合をすればいい。

「夢や目標がなくなって絶望する」という声を聞くが、必ずしも与えられた目標を達成するだけが道じゃない。同好会として自ら運営自治し、内発的に出てくる目標を探し達成しようとするのもまた道である。

最後になったが、私が今回の文章で著した学生B群が報われるようになることを心から願っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?