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コスパ思考の末路




「絶対に知っておくべき情報〇選」
「9割受かる〇〇法」

YouTubeやInstagram、TikTokを見ていると、上記のような謳い文句の投稿に出会うことが多くなった。あとはそれに付随して「サムネ詐欺」と俗にいう現象もよく見るようになった。

YouTubeやLINE、Instagramといった主要SNSが周囲で使われるようになったのは、私が中学生になってからだった。特にYouTubeに関しては、ユーチューバーなんて言葉がまだあまり根付いていない頃で、音楽やそれに関するPⅤを見るためのものだけだった。

あれから10年経ってもなお、これらのSNSの力は衰えていない。それどころか、より私たちの生活にとって身近になっている。しかしあの頃とSNS内の情報は大きく変化を遂げている様に感じている。それは「情報のコンパクト化」が進んでいるということである。

就職活動をしているときには「これさえやれば受かる方法〇〇」といったInstagramやTwitterの投稿を飽きるほど見たし、YouTubeのサムネイルを見れば過激なタイトルと共にオススメ動画が流れてくる。

はっきり言って鬱陶しい。見ていて疲れるし。。
そもそもそんなシンプルな情報だけで上手く行くなら世の中苦労しない。何より問題なのは情報をコンパクトにすることで、その背景にある大事なことが見落とされてしまうこと。
これが一番問題だ。

就職活動をしているとき、所謂就職支援アカウントの類のものをよく目にした。自己紹介の仕方、ドアのノックの仕方、学生時代に力を入れたことの話し方などなど全てをパッケージ化した投稿をよく目にした。

就職活動を終えて分かったことだが、上記のマニュアル通りやってもやらなくても受かるところは受かるし、落ちるところは落ちる。そして大体の企業はドアのノックの数を理由に選考に落としたりしない。

大事なのはそのマニュアルをもとに、どうやって相手に自身の強みや誠意を伝えていくかを考えることであって、そのマニュアルを型通りに真似ればいいというわけではない。
こうした状況を語るうえで「コスパ思考」という言葉は欠かせないと私は思っている。

「コスパ思考」は他にも色々な分野で見られる。

例えば、動画を2倍速にして視聴する人も増えてきている。実際、私は動画を2倍速にして素早くコンテンツを消費しようとしている。Short動画の台頭も最近では注目に値する。1分程度あるいはそれにも満たない動画や動画の切り抜きがすごい回数で再生されている。それはTikTokが人気なことからも容易に想像がつくだろう。

私自身も動画を2倍速で見ている。今でこそ当たり前になっているが、以前は親や大人から驚かれることが多くあった。私の場合、効率的に情報を得ることができるからという理由で、勉強系など学ぶことを目的とした動画はもちろん、エンタメ系の動画に関しても2倍速で見ている。

コスパ思考とは効率よく何かに取り組むことを目的とした考え方のことだが、動画を2倍速で見た際に浮く時間を何に使っているのだろうか。私の場合は空いた時間を使ってまた動画を見ている。と言うより、見させられている。

目を惹くサムネイルやユーザーによる検索や見ているコンテンツの特徴から、あちら側が私たちに次はこのコンテンツがオススメと言わんばかりのコンテンツを絶えることなく紹介してくる。

私はこの誘惑になかなか勝つことができない。所謂Z世代はコスパ思考、タイパ思考と言われることが多く、効率的に何かをしている様子は生き急いでいるように見られているかもしれない。

しかし私を含めて大抵の人は他にやるべき明確なことがあるわけでもないし、何となく動画や投稿をダラダラと見続けている。効率よくコンテンツを消費している様子を見れば生き急いでいるように映るが、実際はぐーたらの日々を過ごしている人が多いのが多数派なのではないだろうか?

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