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ひらがな

2年生の時から付き合っている、こうたろう(仮)くんは、平仮名が書けない。4年生である。
そうか、書けないんだ!
と、知ったのは最近で、なぜ分からなかったかというと、書かせなかったから、である。

体育以外、ほぼ、全ての授業に参加していなかったので、
どの先生とも、関わりは個別、となり、
個別で関わると、
気持ちを表現できないから書かないのか、文字を書けないのか、が分かりにくい。
本当は分からないといけないのだけど、分からないこともある。
どうしてかっていうと、本人のプライドを気にして、すぐヒントを出してしまうから。

漢字は苦手と聞いていて、昔からほとんど書けなかったが、
見たら書けるので、うすーく書いてなぞらせる、小さく書いて写させる、という関わりだった。

2年生で、カタカナが書けなかったり、平仮名があやしかったりする子は、普通(時々間違うレベルならクラスに半分以上いる。わりと間違うレベルもけっこういる)ので、
分からなかったら、教えてしまうのだ。
本人が、出来ないとスネたり、やらなかったりするタイプだと余計に。
大丈夫!出来てる!という声かけをしてしまう。
本当は、出来ていないのに。

3年生の時、こうたくんは、ほとんど授業に参加しなかったので、
ますますその傾向は強くなり、
彼に課されるものは、彼が出来る範囲のものに限定されてきた。
迷路とか、簡単な計算とか、漢字の部首をつなぐゲームとか。
私もその片棒を担いでいたと言える。
少しでも、彼が自信を持てるように、小さな出来たを積み上げられるように、と。

それで、今である。
理科のテストに、夏の第三角の名前を答えさせる問題があった。
デネブ、ベガ、アルタイル。
こうたくんは、それが言えたのだけど、書くことは出来なかった。
カタカナで書けないのを知っていたので、
「ひらがなでも大丈夫」
と、伝えたのだけど、書かなかった。

横に小さく、デネブ、と書くと、それを見て書いた。
夏の植物の問題で、
夏になると、草木の葉の数は、春に比べてどのようになりますか?
と、いう問題。
答えは、多くなる。
(桜やひまわりや朝顔やヘチマやホウセンカなどの勉強した植物について、であって、スギナ?タンポポ?減る・・・という答えは残念ながら不正解🤣)
おおくなる、が書けないのを見て、
心の中で仰天しながら、多くなる、と横に小さく書いた。
彼は、それを一生懸命見ながら一文字ずつ書いていた。

ひらがなが書けない状態で、今の学校の通常級にいるのは辛い。
書けない=分からない
ではないから余計に。
私には、彼に、LDの傾向がくっきり見える。と、思う。

でも、私は医師ではないので診断は出来ない。
診断が出ないと、現場は動かない。
(ちなみに、出てもなかなか動かない)
みんなが、診断を受け入れるのにも時間がかかる。

でも、伝えていかないとなあ。
こうたろうくんは、怠けてなんてないよ。
いつだって一生懸命なんだし。

もっとはやく気が付けば良かったけど、
ずっと一緒にいたけど、
なかなか難しかった。

3.4年生で、発達の遅れに気が付かれることが多いのは、
何かの能力が2学年以上下回るのを見て、
あぁ、やっぱり!
と、みんなが思うから。
うすうす気が付いているのだけど、
でももしかしたら?
を、捨てきれず、学校現場も動けない。
本当にやりきれない。

でも、私の仕事は、ここからなのである。
頑張ろう。

大好きなカフェで英気を養って、また一歩ずつ。

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