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やりたい気持ち


子どもたちの机間巡視をしていたら、
りえこ(仮)ちゃんが、算数のプリントに取り組んでいた。

りえこちゃんは、ほとんど授業に参加しない。
絵を描いているか、寝ている。
体育や図工はやるけれど、それも気が向かなければ教室にいる。

無理に誘うと暴れてしまう。
4年生になって、算数に、しかもプリントに取り組んでいるところを見たことがなかったので、私はすごくビックリした。

それで、彼女のそばを通って、やっているのに気が付いたときに、思わず、
「お」
と、声が出てしまった。
でもなんとかそれで止めて、
ドキドキした胸を抱えて、いったんそばを離れた。

さて、次に、どう声をかけようかな、と思いながら振り返ると、
りえこちゃんは、まだプリントをやっていた。

すると、算数の少人数の先生も机間巡視で回っていらした。
算数の先生は、りえこちゃんを見ると、
「おぉぉー✨✨✨やってるじゃん!」
と、声をかけ、嬉しそうに問題の説明をはじめた。

あ!
と、思ったけれど、何も言えず、
鉛筆の先を、折れるくらい強くプリントに押しつけているりえこちゃんを見ていた。

そしてその後、算数の先生が離れていくと、
りえこちゃんは、途中まで取り組んでいたプリントを、ぐちゃぐちゃに丸めて床に捨てた。

何がいけなかったのだろう、と考えた。
私も、算数の先生と同じように思ったのだ。
おぉぉー✨✨✨今日はやってるじゃん!
と。
だけど、声を押さえたのはなんでなのか。

りえこちゃんは、大人のアドバイスをものすごく嫌う。
タイミングによっては受け入れてくれるけれど、スルーされるか睨まれることが多いので、
まっすぐに声をかけるのを躊躇する。
彼女に、今、そのアドバイスは必要だろうか?と。
その時は、なんとなくでしかなかったのだけど、声をかけるのは彼女に失礼な気がしたのだ。

あとから、私のスーパーバイザー的な先生とお話して、
そっかぁ、と納得した。
「おぉぉー✨✨✨今日はやってるじゃん!」
という声かけを、りえこちゃんは、
「いつもはやってないのに、えらいじゃん!」
のように受け取ったのではないか、ということ。

今日はやってる=いつもはやっていない

それを大きな声で言われて(先生の方は褒めているつもりだから)、おまけに、あれやこれやアドバイスされたら、イヤになるのも分かる。

どころが、その次の時間は国語だったのだけど、
りえこちゃんは、また教科書を開いて見ていたんだよね。
ちゃんと、先生の指示通りのページを。
途中から、その上で寝ていたけども・・・。

次の週は、理科のテストに取り組んでいた。
はじめの何問かだけで、あとは、やっぱり机の下に捨てていたけれど・・・。

これらは、今までにはほとんど見られなかったことで、
彼女の何がそうさせているのか、と思う。

4年生。10歳。
大きく変化する年齢である。
夏休みを挟んで変わってきたのだろうか。

やりたい、もしくは、やってみようかな、という気持ちが見えるような、気がする。
でも、今までやってこなかった分、
思ったように出来ない自分にイライラしているようにも、周りの過剰な反応を煩く思っているようにも、見える。気がする。

小さな芽をそぉっと支えていかれたらな。

今までだったら、そこでそう思っておしまい、だったけど、
今回は、担任の先生や算数の先生や特別支援教室の先生やスクールカウンセラーさんに、そのことを、私にしては熱心に伝えてみた。
私にはこう見えます、と。

ただ話を聞くだけ、観察するだけ、が仕事ではない、って最近思うのだ。

それがどう働くか、は、また別の問題なのだけど、動いてみるのは大事かな、と。
いつも、私は、子どもたちに育ててもらっている⭐️

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