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この話をすると長い。のでnoteでぶつぶつとつぶやくことにした。

少女漫画家ってのは本来、魔女の吹き溜まりみたいなところだったんだ。私が子供の頃はそうだ。魔女も魔女じゃないひともいた。魔女ってなんだ、みたいな話は今回は端折る。

それが、バブル崩壊する頃から、少女漫画家界にも、魔女の居場所がなくなってきて、魔女だと生きていけなくなってきたんだ。それでも魔女が吹き溜まるジャンルがあって、それがやおいと、少女漫画系ミステリー&ホラーだ。

やおいは昔は特に性的なトラウマを扱っており、けっして「性の快楽サイコー!」みたいなジャンルでは無かった。たいてい主人公か相手役は死ぬか両方死ぬ、みたいな暗くて耽美系なジャンルだった。その、性の部分を引っこ抜いておおむね暗いし死にます、みたいなジャンルが少女漫画系ミステリー&ホラーだ。ふたつのジャンルは、常に死に近接していた。苦しくて死にたい、と言っているかのように。摂食障害にも近い。BLはやおいと同一視されやすいんだけど、商業主義に包摂されていて微妙にニュアンスが違う。もちろん、やおいの精神を受け継いだ作家さんはとても多いけど、=ではないんだよな。

私がデビューしたのは1996年で、私は20代はずっと少女漫画系ミステリー&ホラー志望だった。その頃の縁で、今もホラー&ミステリー人脈がある。

少女漫画界が恋愛至上主義になったのは、バブル崩壊したぐらいからだ。今現在はまた、恋愛至上主義をやめよう、みたいなムーブメントができている。ちょうど、私ががっつり現役だった期間が恋愛至上主義的かつエロも全盛期だったな。今はどちらもわりと落ち着いているんだ。はた目から見たら、今もエロ、すごいブームじゃん、と思われるかもだけど、昔と比べたらそんなこと無いんだよ。

恋愛ものは、おばさんになった今はノリノリで描けているけど(恋愛モノの韓ドラも好きだし)、若い頃はとても苦手でもんどり打ったわ。「腕をきりおとさないとここにはいられないから、切り落としてここに居る」という感覚がつきまとった。商業誌に居るには、腕を切り落とさないといられない、みたいなかんじだったんだよ。だから切り落とした。そのストレスで大病したわ。それが30歳前後かな。人生で一番良い時期に大病してしまって、今はそのせいで落ち着いている。無事に体が動いて努力できるだけで御の字なのだ。せめてもの居場所としてミステリー志望だったんだけど、そこも流行が過ぎ、爆縮してて、どうしても恋愛モノでエロしか居場所がなかった。かろうじて息が出来る場所に、腕を切り落として、そこになんとか居ることができた。

少女漫画じゃなくて、恋愛を扱わない男性誌に行けばいいじゃん、みたいに思われるかもだけど、男向けに描きたいだなんて思ったこと、実は一度だって無い。ただ、女向けだと恋愛モノしか扱ってもらえなかった。

とにかく少女漫画界に居場所がない状態で、なんとか折り合いをつけて、ここに居る、というかんじだった。腕は切り落とされてから長いので、もう生えてこないだろう。

そういうかんじでいるんだよ。

だからなんていうか、外から見ているのとは結構イメージが違っているだろう。私は、他のひとから見えるほどにはしっかりしていないのだ。しっかり少女漫画家ではない、というべきか。私にしてはいつも、この状況はよくやった!みたいなかんじでいるの。腕を切り落としてなんとかここにいるくらいに、社会不適合だった私が!!この歳までこの仕事があるだなんてすごい!!ちゃんとした少女漫画家のひとと一緒に肩を並べて仕事してるのすごい!!みたいな、そういう感覚なんだよね。もういつ仕事が無くなってもおかしくないが、他にできることがないから、できれば死ぬまでやりたいんだけど、そのためにはどうしたらいいんだろう?ぐらいなかんじで。だって今からパートとかって、身体がしんどいし。漫画の仕事、座り仕事でサイコーって思ってる。漫画の仕事が無くなったら、アシスタントさんとか、Webtoonの背景や着色とかに応募する気まんまんだ。そのためにBlenderもずっと勉強していたんだし。

少女漫画界長いけど、全然適応できないまま、26年くらい居る。


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