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ジモン・ルンメルレクチャー①

さっきょく塾、今期は「楽器・非楽器」をテーマに進めていきます。楽器とは何か?そしてその範疇は人により異なるものであります。子供にとっては食べている食器さえもすぐ楽器になってしまう。そのモノのどこに、音楽を見出すのか、それも作り手自身が発見していくものなのかもしれません。今期一回目のゲストレクチャーは、ドイツ・ケルンより作曲家のSimon Rummel(ジモン・ルンメル)をお招きしました。3時間にわたるレクチャーより、一部を抜粋でみなさまにお届けします(風邪っぴきで、マガジン更新が遅れています。4月23日更新)。

ジモン:まずは自己紹介から始めたいと思います。私は現在42歳で(2021年時点)、ドイツのトリーア(Trier)というところで生まれました。7歳のときに少年合唱団に入って、そこで音楽にかかわり始めました。私の音楽は、この時代、7歳から10歳にかけて、そこで勉強したことがベースになっています。例えば、西洋音楽の伝統であったり、宗教的な事柄なども、全てそこで学びました。

トリーアの市内には、小さなジャズクラブがあって10代の頃、それに憧れていました。すごくクールな印象でした。当時私は全然うまくなかったのに、そのジャズクラブの大人達は可愛がってくれて、演奏もさせてくれたんですね。その後、練習を重ねて何年か後に、ケルン音大のジャズピアノ科に入学しました。

当時ケルン音大には、とても有名なジョン・テイラー(John Taylor)というジャズピアニストがいて、彼に指導を受けていたんですね。

でも、ジャズを勉強しているときに思ったんです、ジャズの語法は、自分の音楽性を狭めているんじゃないかと。それは根本的な疑問の発見でもありました。伝統的な技法は、ある種新しい創造性を限定してしまう可能性があるということです。

それに対してまだ答えも見つかってないし、まだジャズも弾いているけれども、当時その葛藤の末、全く違うことを始めようと思いました。それはビジュアルアートです。ケルン音大でジャズピアノを勉強した後、デュッセルドルフ美大でアートの勉強を始めました。その間(今もですが)はオルガン奏者や合唱指揮者として日銭を稼ぎつつ、勉強をしました。

これが私の大まかなプロフィールになります。音楽を聴く中でこれら多様な経験が音の中にも見え隠れすると思います。

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