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中川佐織さん(俳優)と薬師寺典子さん(声楽家)お話しました。

2020/2021前期は、作曲家ゲストに桑原ゆうさん、宗像礼さん、パフォーマーゲストに俳優の中川佐織さん、声楽家の薬師寺典子さんをお迎えします。そして、今月はゲストにお迎えする4人のインタビューをお届けしたいと思います。第三弾は俳優の中川佐織さんと声楽家の薬師寺典子さんです。俳優さんが使う言葉、そして声楽家さんが歌う言葉、二つの言葉についてお話を伺いました。

声による模倣

わたなべ:薬師寺さんは、日本とベルギーを拠点にされていて、今はictus ensembleが行っている現代音楽演奏家のためのアカデミーで研鑽を積まれているんですよね。以前少しお話を伺った論文の話、もう一度お聞かせいただけますか。

薬師寺:論文では「声による模倣テクニックの習得方法」をテーマにしました。模倣というのは面白くて、どんなに音程を合わせても似ていなかったりするんです。「正確な音程」というよりは、その音の「イメージ」を持って発することで初めて「似ている!」という印象を与えることができる。同じ音を数値化してコンピュータで出したものと、人間が模倣したものを比べた時に、後者のほうが「似ている」と感じるという検証結果もあって、論文ではそういった研究をしていました。

わたなべ:数値として正確な音よりも、「イメージを共有する」というところが大事なんでしょうか。中川さんは、もともとは作曲家を志していらっしゃって、今は役者さんとして活躍されているんですが、役者さんから見る「模倣」というのは、どういうものなんでしょうか。

中川佐織(以下中川):劇団の中に「モノマネ」というトレーニングがあるんですね。「その辺りにいる普通の人をマネする」というものなんですが、そこでは、人が感じる「違和感」にアクセスするんです。「自分が何に対して『違和感』を感じているのか」。まずは自分の感覚とすり合わせて、それをどうやって身体で表現するか、という風にやっていきます。

それを他人が見て「あ、似てる」「こういう人いるよね」ってなったら、それが認識レベルにある、ということなんです。その辺りは、薬師寺さんがおっしゃっていたことと同じですね。実際の動作というよりは、認識レベルでどうか。

物まね芸人さんを見ていると「わかるわかる!」って思うじゃないですか。だから、どうやって「わかるわかる」のポイントを探してこられるかっていうところなんだと思うんです。

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