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新しい風が吹く。九谷焼作家さんとの出会い| #うつたび 九谷焼編

九谷焼の歴史を知り堪能した後で、すてきな出会いがありました。それは小松でものづくりをする若手作家さんとの出会いです。緒方康浩さんのご紹介で(ありがとうございます!)、能美市にある「九谷陶芸村」へお二人の工房を見学させていただきました。

※「九谷陶芸村」では若手作家の育成として職人工房を貸し出しています。

絵本の挿絵のよう、ユーモラスな絵付けの堀畑蘭さん

一人目は堀畑蘭さん。石川県立九谷焼技術研修所をご卒業後、デンマークへ留学を経、さらに九谷青窯さんで三年働かれてから独立されたのが2020年。若きホープです。

伝統的なパンチある九谷焼の絵柄からヨーロッパのアンティークのようなやわらかい絵柄までさまざまな作風を手掛けられてますが、特に堀畑さんらしいなと感じたのが思わず「くすっ」と笑みがこぼれてしまうような、ユーモラスな絵付け。

このお皿はジュースをめぐって真剣にジャンケンしてる様子なんですって。

https://www.instagram.com/p/CGg1i2Hl_95/

こちらはお友達のペットのワンちゃん。左足を上げる癖があるそうです(笑)面白いですよね。

工房見学の際にも、一つ一つの絵柄にストーリーがあって「この子はこういう性格なんです」「この人はこういう癖があるんです」なんて登場人物のキャラクター説明もしてくれて。まるで絵本の挿絵を書くように絵付けを楽しむ姿が印象的でした。

ご本人もどこかマイペースで飄々としていてでもぽろっと面白いフレーズを投げてくれるような。なんとも可愛らしい方でした。きっとご本人のユーモラスでかわいらしい雰囲気が作風に反映されてるのかな?

洗練されたカッティングが美しい丸谷牧子さん

もう一人の作家さんとの出会いは九谷焼ブランド「MUMCA」を立ち上げた丸谷牧子さん。

京都精華大ご卒業後インテリアショップに勤められ、そこから改めて九谷焼技術研修所で学び九谷焼の窯元にてろくろ師として経験をつまれたとのこと。プロダクトデザインの経験から作家へというキャリアも産地では珍しいそうです。

金沢にできたおしゃれなブティックホテル『香林居』のサイン制作もされています。このシャープなカッティングに”らしさ”詰まってます。

https://www.instagram.com/p/COPM0Mig4BQ/

「MUMCA」のうつわで印象的なのが縁を彩るカッティング。すっきりまっすぐなラインや、ひらひらとした縁取りなど面を切り取る線が印象的です。

丸谷さんに「うつわづくりでどんな工程が一番面白いですか?」とお聞きしたら、「カットするところ」なんだそうです。

うつわはこねて成形して釉薬をかけて絵付けして焼いて…たくさんの工程を経ますが、このひらひらした縁取りや鋭利なカットはカッター(のような器具)で切り取るからこそ出るフォルムなんだそう。なるほど…!

お仕事って細分化すると自分にとってご褒美みたいなワクワクするフェーズと、そうでもないけど頑張ってやらねばというフェーズがありますよね。私だったらスタイリングの提案を考えたり撮影現場のアドレナリン出る感じは楽しいけど、制作過程でものを選んで決めたり運んだり、ましてやその他の経理総務の部分は楽しいとは言えない。。。そういうフェーズごとにご褒美みたいに嬉しい時間もあるし、そうではない時間もあるけど、それぞれと向き合うのって大事ですよね。

うつわづくりでここが一番楽しいんだよね!という部分が即答できる丸谷さんって自分の個性や特徴をよく理解されてて素敵だなって思いました。

お二人コラボのうつわも

そしてお二人とても仲良しで、なんとコラボで器も作られてるんです。

フォルムのシャープさは丸谷さんらしいし、絵付けの細かい書き込みは堀畑さん。お二人の特徴がよく出ている、すてきなうつわです。個人作家さんってこういうコラボして作ることもあるんですね…!

旅から帰ってきてこのカップでお茶を飲むのが楽しみになりました。こうして #うつたび しながら出会ったものを持ち帰って家でもあの時の空気と一緒に楽しめるっていいですね。

窯元さんと個人作家さんの違い

私は自分自身がフリーランスのスタイリストなので、うつわを作るならではのお悩みというよりも、一人で仕事をする大変さの部分で共感することが多く、お二人とフリーランスあるあるトークで盛り上がってしまいました。
アーティストとして尊敬する一方どこか遠い存在だった作家さんにちょっと親近感(笑)

一人ですべて担う作家さんだからこそ自分の美意識や好きなことを一つのお皿に詰め込めるし、窯元さんだからこそ地域や歴史との繋がりの強さや知見の深さ、作れる規模感やクオリティの高さもあり。

窯元さんのように大きな会社としてチームとしてうつわづくりをするのと、作家さんのように一人で一から全て担うのと仕事の面白みも出来上がるうつわは全然違うし、その違いか面白い!
今回両方を知ることができてとっても勉強になりました。

おまけ:おいしいお寿司屋さん

ランチでみなさんと食べたお寿司やさん「福喜寿司」さん。
全員で写真撮ればよかった〜!とあとから後悔したけど食べたものとお店の写真しかなかった。。

北陸の魚介は美味しいね。

さて、九谷焼をめぐる #うつたび 今回の旅はこれまでです。
次回は同じく石川県の山中漆器をめぐる旅のお話になります。お楽しみに!

📍旅のメモ

今回の作家さん
■堀畑蘭さん Instagram
■「MAMUCA」丸谷 HP  Instagram

今回訪れたスポット
■福喜寿司
石川県能美市大成町リ-96-1
0761-55-1166



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