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九谷焼を知るならギャラリーへ| #うつたび 九谷焼編

これまでVol.01 Vol.02と、九谷焼の窯元さんをめぐってきましたが、いやそもそも九谷焼って?九谷焼のことまだよく知らないんだけど、、というみなさん。今日はそんなあなたにぴったりなギャラリー探訪のお話です。

洗練された九谷焼複合文化施設「CERABO KUTANI/九谷セラミック・ラボラトリー」

まずなんといっても抑えておきたいのが「CERABO KUTANI/九谷セラミック・ラボラトリー(通称:セラボクタニ)」。製土工場、ギャラリー、体験施設や個人作家さんの工房などを兼ね揃えた、九谷焼の複合文化施設です。

隈研吾建築、かっこいいけどどこから写真撮れば正解なのかわからない。

著名な建築家 隈研吾さんが建てられた施設そのものも話題ですが、中のギャラリーも見どころ満載です。うつわが作られるまでを追った展示がとてもわかりやすくてよかった!

九谷焼ができるまで。結構手間のかかる土作り

採石場から発掘された花坂陶石の岩石。これが九谷焼のもととなります。花坂陶石は粒子が細かく腰が強くて柔らかいため、細かい成形をしやすい粘土だそうです。

花坂陶石の岩石

これをクラッシャーで粉砕して質のいい粘土の分を取り出せるようにします

粉砕します

そのあと水簸という工程で荒い粒子と細かい粒子を分離させます。最終的に杯土となる粘土が沈澱されて選別される仕組みです。写真ちょっと見づらいのですが右側のほうに沈澱している様子が見えます。

水につけて重さで選別する方法

さらに圧搾という工程でプレスをして円盤状の粘土が作られます。ここまででうつわを作るための粘土のベースができました。以上が土作りの工程。土作るだけでかなりの手間がかかっていることがわかりますね。

プレスして水分と空気を抜いて土作り完成!

唐揚げ方式で二度焼きする磁器

ここからやっと皆さんがイメージするであろう「うつわづくり」の工程に入ります。できた粘土を使って形を成形。円盤上の粘土を使っているのでろくろ成形でしょうか。

やっと成形

そして焼きます。

焼きます

まずは「素焼き」といって800度ほどの低めの温度で焼きます。最後に「本焼成」といって1300度くらいの高温度で焼いて仕上げます。磁器って唐揚げみたいに二度焼きするんです。一回焼いて、出して、最後に高音で(カラッと)焼く。この説明聞くたびに毎回「唐揚げだ、、、」って心の中で思ってます。

化学変化で色が変わる絵付けの不思議

絵付けの変化

最後に絵付け。九谷焼といえば!の加飾をふんだんに施して完成です。実際には素焼き→下絵付け→施釉→本焼成→上絵付け→焼成という具合に何度も何度も焼いては書き、書いては焼き、を繰り返して仕上がります。

途中経過で最終系が想像できないくらいの変化

面白いのは、絵付けをしている段階と最終的に仕上がる色が全く異なること。右上が下絵付けの段階、真ん中が上絵付け、左下が完成系だと思いますが、途中経過を見ても最終系が想像できませんよね。発色は絵の具のように同じ色ではなく、化学変化で異なる色に発色するのでそれを想像しながら絵付けしていくのも大変だなと思います。細かくなればなるほど隣接してる色、何色塗ったかわからなくなりそう。。

という感じで山から削られてきた石が華麗な九谷焼になるまでこんなにいろんな工程を経てるんだよってお話でした。ギャラリーで一気に陳列してくれてるのわかりやすい。

セラボクタニのギャラリー

セラボクタニではほかにも期間ごとに変わる展示もあり、九谷焼の #うつたび をするなら是非訪れて損ないスポットだと思います。

九谷焼の新ブランド「ETHNI9」
花坂投石の素材そのものに着目したブランド「HANASAKA(ハナサカ)」

歴史的な背景を知る「 能美市九谷焼美術館」

九谷焼ができるまでを知りたい、今熱い新しいブランドに出会いたい、体験プログラムに興味があるときはぜひセラボクタニへ。一方、九谷焼の歴史を知りたいというときには今回訪れた「能美市九谷焼美術館」見応えあってよかったです!

能美市九谷焼美術館

どういう歴史的背景があって九谷焼が発展してきたのか学べます。17世紀九谷高山からはじまる九谷焼の歴史。18世紀には有田から陶工を呼んでの春日山窯の製陶など、何度も挑戦しては廃窯になりつつも、花坂陶石を発見した19世紀初頭からやっと量産体制が整い、改めて古九谷の再興、明治時代におけるJAPAN KUTANIの輸出、そしてかの魯山人が窯をひらき確固たるブランドへ。と、九谷焼をめぐる紆余曲折が垣間見れます。

技法も細かく解説されており、スタイリッシュでわくわくするセラボクタニに対してかなり丁寧に良くも悪くも教科書的に(個人的にはよりわかりやすいと感じました)解説が丁寧なので、勉強したいと思う方は訪れる価値ありだと思います。こういった地味なギャラリーはマニアックな興味がある人しか興味ないかもしれませんが、うつわのことっていざ学ぼう!と思うと案外ネット上に網羅的な情報がなくて。こういった美術館でまとまっていると本当に助かるし役立つことこの上ないです。ディープに九谷焼を知りたいともう方にはぜひおすすめします。

#うつたび  をしながら各地の美術館やギャラリーを訪れているのですが、深く知りたい、知るほどにうつわのことがより楽しくなると感じています。旅程の一つにギャラリーを加えると、自分が見聞きしたものを整理して理解できるようになるのでこれから #うつたび しようかなという方はぜひ旅程の選択肢の一つにギャラリー訪問も加えてみてもらえたらと思います。

📍旅のメモ

今回訪れたスポット
■ CERABO KUTANI/九谷セラミック・ラボラトリー HP    Instagram
・開館時間10:00-17:00(最終入館は16:30まで)
・休館日 水曜日・年末年始
・入館料 一般 300円/学生(高校生以下)150円
・アクセス 〒923-0832 石川県小松市若杉町ア91番地
■ 能美市九谷焼美術館  HP
・開館時間9:00〜17:00
・休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日休館)年末年始
・入館料 一般 430円
・アクセス 石川県能美市泉台町南56

サポートありがとうございます!いただいたサポートで新しい食器を買って、みなさんが「読んでよかった」と思ってもらえるようなnote書きたいです🌿