呪杖をもつ人ー伊


イ、よる、これ
声符は尹(いん)
尹は手に神杖をもつ形で神意を媒介する聖職の人をいう
尹に祝祷を収める器サイを加えたものが君。
君は女巫にして女君たるものをいう。
伊は君に対して、これを助ける聖職者をいう語であった
伊は神の依り憑くその呪杖をもつ人を意味した

さて、神の依り憑く呪杖とは何だろう

仮説 磁性のある鉄の杖ー磁石
磁石の歴史を調べると、BC十数世紀頃、古代ギリシャ遊牧民が鉄製の杖先にくっつく石を発見。

雷による大きな電流によって磁気を帯びた磁赤鉄鋼だそうだ。
磁赤鉄鋼は磁鉄鉱の地表風化による産物として産し、またある種の火成岩の微量成分や温泉沈殿物あるいは海底堆積物中に存在する。
磁鉄鉱より磁力が強く、塊状磁鉄鉱中に含有される場合には、とくに天然磁石とよばれることもある。

神話世界では、BC2600年中国の黄帝が磁石を利用したカラクリ車を作ったそうだが、現実的に歴史に登場するのはBC100年頃。
占術盤、羅針盤、方位磁石としての用途を持った。

磁赤鉄鋼より磁性は弱いが、磁鉄鋼も同じく天然磁石。
磁鉄鋼は、火成岩中に含まれる酸化鉄。
砂鉄や餅鉄として自然に採取される磁鉄鉱は、かつてたたら製鉄の原料として盛んに利用された。

磁鉄鋼が強い磁性を持つための因子が、雷。
雷は神。
ギリシャ神話では、ゼウスの雷霆
古事記では建御雷之男神。

つまり神の依り憑く呪杖は、磁石の杖。

その意味する所は、方向を導く人。


BC13世紀、預言者モーセは、羊飼いをしていた。
羊飼いは杖をもつ。羊の飼育は山間部で行われる。
山間部は鉱物資源の宝庫。
磁石はその探索に必要。

モーセの預言者としての3つの印
1.杖が蛇になる
2.ナイル川の水が血に変わる
3.手が癩病で雪のように白くなる

1の解釈
鉄を溶かしてみせた。
高温の熱、高炉の技術
2の解釈
川の上流での鉱山開発、酸化鉄の流出
3の解釈
水銀もしくは鉛を扱うため
これらは白粉の材料
癩病で手が白くはならない。
水銀、鉛中毒が多発した。
それを癩病とみなした。

杖をもつ人は、その賢さで人々を導く役割を持ったのだと思う。

さてさて、また話が飛ぶ。
古事記の建御雷之男神だが、火の神カグツチが殺される時その血から生まれる。
またの名前を建布都神、豊布都神。

雷と磁石。
大国主の国譲りの建御名方神との力競べは、この磁性の強さに関する話だと考えられる。
出雲の砂鉄の磁性vs磁赤鉄鋼の磁性。
建御雷之男は、カグツチを切った刀の本についた血から生まれる。
カグツチを切る刀は、火山列島日本を東西に分断する飛騨山脈帯。
その本についた血は、立山連峰。
別名がさらに詳しい場所を教えてくれる。
布都。
富山県尖山。布倉山。
布倉姫の住む場所。
度重なる落雷にあい、磁場は狂っているらしい。
尖山では岩稲累層が見られる。
岩稲累層は福井県坂井市から富山県魚津市にかけて分布する新第三紀八尾層群の地層。グリーンタフを含む。
分布は富山県大沢野・細入・八尾など神通川流域が中心で、石川県・福井県にはごく一部に分布する。

グリーンタフとは、凝灰岩のうち、緑色系統の色調を呈する物のことを指す。
ここに、糸魚川翡翠との関連が発生する。

翡翠は、蛇紋岩中に存在する。
カンラン石と水から蛇紋岩と磁鉄鉱が生成される。
翡翠と磁鉄鉱は一緒に生まれる。
古代の翡翠の重要性は既に明らかだが、そこに結びつく磁鉄鉱には目が向けられていないと思う。

神武天皇が建御雷神より授かった刀の名は佐士布都神、またの名は甕布都神。その後八咫烏に導かれる。
方位磁石を象徴している話である。

女君たる女巫を支える伊。それはいつしか佐に代わる。
鉄が、祭祀の役割から武力の役割に変化したためだろう。

伊からそんな歴史が見えてきた。




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