天文学で読む古事記 国生みと秋の夜空

前回伊邪那岐と伊邪那美がそれぞれ
鷲座アルタイルとこと座ベガを象徴している事を説明した。
天の川に浮かぶ白鳥デネブと結ぶ夏の大三角を折り返すとアルタイルの対極にあるのは小熊座の北極星になる。

つまり、12000年前の北極星ベガとの関係から地球の歳差運動が明らかになった。

古代バビロニアで黄道十二星座が生み出されたが、彼らにその星座知識を伝えたのはメソポタミアのシュメール人とされる。
シュメール人については謎が多く、どこからやってきたかもわかっていない。
わかっているのは、粘土板に刻まれた多量の天文知識。

古代、星は色と光により表現された。
古事記の漢字も、星の特徴を表現している。
日はヒカリだが、恐らく一等星以上の明るい星につけられている。
伊は北極星へ導く指極星を象徴しているように思う。

黄道十二星座で最初に作られた宮は
古代バビロニアで春分点があった牡羊座である。
2000余年前、東方諸国はこの日を元旦としたらしい。

伊邪那岐と伊邪那美の二人は、まず大八島国を生む。
・淡道之穂之狭別嶋
・伊予の二名嶋(四面あり、それぞれ伊予国ー愛上比売、讃岐国ー飯依比古、粟国ー大宣都比売、土左国ー建依別)
・隠伎の三子嶋またの名は天之忍許呂別
・筑紫嶋(4面あり、筑紫国ー白日別、豊国ー豊日別、肥国ー建日向日豊久士比泥別、熊曽国ー建日別)
・伊伎嶋またの名は天之狭手依比売
・佐度嶋
・大倭豊秋津嶋またの名は天御虚空豊秋津根別


淡道之穂之狭別嶋
これは、天の川が薄く狭くなる初秋を象徴している。

天の川銀河は複雑な形をしている。
天の川がもっとも広がるのは7月初旬。
逆に狭くなる時季は、秋。

夜空に見える黄道星座と、太陽の方向にある黄道星座は対極の関係にある。
秋に夜空に見える星座は、黄道の春分点付近にある星座という構図にある。
牡羊座は春分点を示すが、秋の星座であるのはこの為。

伊予は、伊が指極星を、予は横糸を通す道具つまり
アンドロメダとペガススの大方形の一辺を結ぶ横線。
明るい2等星をつなぐ。

四星あり、
アンドロメダγ、
アンドロメダβ、
アンドロメダα、
ペガススβ
故に二名嶋になる。アンドロメダとペガススの2星座にまたがる。
アンドロメダγー伊予国、愛上比売

アンドロメダβー粟国、大宣都比売
この星の近くに、唯一肉眼で見える大星雲である
アンドロメダ大星雲がある。
宣という漢字は、半円形のものを収めた室を意味し、
沢山の星の塊の家つまり星雲を表現した。
泡のようにモヤモヤした塊の場所。

アンドロメダαー土左国、建依別
別(和気)は関連した別の事象だが、建はオリオン座を指す。
オリオン座の三ツ星は古代日本(日本海側)では「竹のふし」と呼ばれていた。
オリオン座は竹に見立てられ、その勇者の伝説と相まって建と表現したのだろう。
アンドロメダαが夜南中する時、東からオリオンが昇る。真東がわかる。こっちが重要な事象になる。

ペガススβー讃岐国、飯依比古
ペガススβが南中する時、南のうお座フォーマルハウトも南中する。南のうお座は、うお座とは別モノ。
秋の一等星になる。
秋は、天の川が狭くなるため、夜空も寂しい。
その中にある唯一の1等星が、このフォーマルハウト。
この星は、白道(月の通路)に沿う9つの航海用星の一つであり、船のある経度を測定するのに利用された。

隠伎の三子嶋は、別名天之忍許呂別。
とかく寂しい秋の夜空に、牡羊座の2等星α、3等星β、4等星γの3つは見つけやすい。
この三子星が南中する時、うしかい座アルクトゥルスが対極にある。

筑紫嶋は、紫微星を指す。紫微星は指極星でもあるが最も重要な道標となる星を指している。おおぐま座。
四面(四星)あり。
筑紫国ー白日別
おおぐま座η(破軍星)
この星を延長すると春の大曲線が描かれ、乙女座のスピカに到達する。白日は乙女座のスピカのこと。
スピカは純白の一等星で、かつての秋分点になる。

豊国ー豊日別
おおぐま座ζ、アルコルという6等星をそえた豊かな星。
これが天中する時、鷲座アルタイルが現れる。
実りの季節の到来を告げた。

肥国ー建日向日豊久士泥別
おおぐま座γこれが南中する時、シリウスが沈む。
シリウスは古代夏至点と共に南中し、ナイルの増水を知らせ、肥沃な大地と結びついた。

津島またの名は天之狭手依比売
これはカシオペア座。狭くなった天の川の中に鎮座する。
カシオペア座は、北極星を結ぶ重要な星であり、またカシオペア時計とも言われ時刻を教えるため、航海の大切な星である。

佐度嶋は、
古代から有名な星座であり、アラビアでは「はかりざお」と名付けられていた。
度は角度を指し、その測量道具の意味があったのだろう。

大倭豊秋津嶋ー天御虚空豊秋津根別
うお座
目につく星はほとんどない。だが黄道上重要な星座。
このうお座は、チグリスユーフラテス川を示しているともいわれ、ユダヤ人の国民的星座ともされていた。
初期のキリスト教徒も、魚を信仰の象徴として神聖視していた。
かつて牡羊座にあった春分点は、うお座に移動している。つまり、春分点を別にした星座になる。
秋分の日の黄道には、うお座がいるが、目立たない。
また対極にあるのが秋分点乙女座スピカ。


このように、国生みとは、秋の夜空の星座に関する知恵が生み出された話になっている。















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