果物と子どもと思い出

 うちの娘の好きな色はブドウ色。ピンクと赤と並ぶ。紫色とは言わず、「ブドウ」と呼ぶ。果物のブドウも好きで、買い物に行くとお手頃価格でブドウはないかと探す。

 子どもに果物を食べさせるのは楽しいもので、次々と食べるペースに間に合うように必死に皮を剥く。種を取る。サクランボ、スイカ、ブドウ、柑橘などなど。
 自分の口に入る量は少なくて、でも構わない。私も子どもの頃こうして母に次々と甘栗を剥いてもらったり伊予柑を食べさせてもらった。子どもが嬉しそうだと自分は少量で満足する。子どもに食べさせて知ること。
 サクランボやらを食べさせてもらったことは記憶になく、自分で食べられるようになってからしか覚えていない。早くに自分で食べていたからだろう。今のこの時間も私だけが覚えているかもしれない。

 果物って贈りもの。自分へだったり、誰かへだったり。そして頂きもの。

 「この冬はミカンをどこからかもらっていて買っていない」と思ったことがあったり、母の田舎のおじいちゃんが生きていたころは困るほど毎年柿が送られてきていた。柚子をどっさり職場の人に頂いていた頃も。人とのつながりが果物の形になることは多い。

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