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アンサンブル掻き鳴らすオレ達の衝動



 先日、出張先のグループ研修で一緒になった人と自己紹介をして色々話す内に何故かヴィジュアル系バンドの話になり、MUCCDir en greyの話で盛り上がった。
 職業柄なのか周りはお堅い人が多く、ディープな趣味嗜好を持つ人を見つけること自体至難の業。狂ったようにバンドを聴いてる音楽ジャンキーみたいな人間ってほぼ居ないので、こういう同士のような人を見つけると急に饒舌になってしまうから困る。
 初対面の人とのコミュニケーションが苦手な私でも音楽の話ならば容易くゴリゴリ早口オタクに変身できてしまう。

 そんなキッカケから思い出したように聴いたらやっぱかっこいいなってことで今回は少しMUCCについて語ってみたい。
 私はヴィジュアル系に明るい訳ではないし、通ってきたのがMUCCとディルぐらいなのだが、その主観で個人的MUCCのベストソング10選を紹介するのも楽しそうなのでやってみようと思う。
 正直聴いてないアルバムもあれば、知らない曲も多々あるので、あくまで聴いてきた範疇で紹介するので悪しからず。


第10位「脈拍」

アルバム「脈拍」の一曲目であり、タイトルトラックということで、往年のフォーク×歌謡×ラウドのMUCCっぽさを全てを詰め込んだ集大成のような曲。抑揚とメロディのフックの強さが逹瑯の歌唱力によって引き立てられている名曲。哀愁混じりに挟んでくるアコギも壮大さに一役買っている。


第9位「ハイデ」

ドラマティックで少し切ないナンバー。しかし妙にクセになるというかツボに入るとこがある。サビがギターメインで叙情的なのも好きなポイント。暖かみのあるコーラスも入り、優しく煌めくような雰囲気が初期のMUCCからは想像しがたいが、飾らず真っ直ぐで美しい曲である。夏の終わりとかに合いそうだ。


第8位「蘭鋳」

大好きなアルバム「是空」の中でもキラーチューンのポジションに位置するニューメタルサウンドと昭和歌謡が融合した至高の一曲。KORNやSlipknotからの影響を感じるヘヴィで硬質なサウンドにドロドロした濃い日本語詞が乗るとこうも面白い反応が起こるのかとアルバムを通して感じられる。


第7位「零」

新しめのアルバム「新世界」よりチョイス。スラッシュメタル的重厚なリフから入りつつMUCCらしい艶やかでメロディックな曲で、最近の曲だと一番刺さってる。ラスサビで少しキーを上げ、逹瑯が声を張りながら力強く歌うところで拳を突き上げたくなる。歌謡メタルの究極形態。メタルが好きな人は是非この曲から聴いて欲しい。




第6位「前へ」

おそらく葬ラ謳に入ってなければランクインしなかったかもしれない。そのぐらいアルバムでの存在感や救いの強い曲。文字通り前へ進もうとする力強さが歌詞に現れていて、絶望感と希死念慮の強い葬ラ謳の曲達を全て拾い上げる役割を果たしている。暗さに焦点が行きがちな故にMUCCの前向きな詞はより強い輝きを放つのだろう。


第5位「ガーベラ」

春待つ赤いガーベラに恋するロマンチックな蟋蟀の曲。ハードロック調かつ情熱的で美しいリフで始まるイントロからもうクソかっこいい。イエモンっぽい妖艶さもある。そもそも”閻魔蟋蟀“というワードを歌詞に入れ込むセンスに脱帽した。普通の人間は蟋蟀のポテンシャルをここまで引き出せないって…。


第4位「遺書」

中学時代の給食時間にタイムスリップして、昼の放送でこの曲を流してやりたい。センセーショナルな程に悶え苦しむ救いのない歌詞で、真実を見てみぬ振りする薄汚い連中を切り裂く鬱ロック界の神曲。精神的に参っていた時期にとてもお世話になった曲で、ファンの間でも同じように思い入れの強い方々が多いようで少し嬉しかった。


第3位「空と糸」

ラウドサウンドでありながら繊細な世界観を構築した芸術的な曲。こういう悲壮感に満ちた激しめの曲って好物なのよ。雨のオーケストラもそうだが、MUCCは暗く悲しいストーリー性のある歌詞を曲に乗せるのが上手過ぎる。それでいてアニメのタイアップなんかも取れそうなキャッチーさもあるって無敵か。


第2位「流星」

MUCCを聴くきっかけになった曲。もう大名曲。正直、1位でも良かった。綺麗なメロディラインと緩急の付け方が見事で、ジャンルで括る訳ではないが、やはりV系ならではの強みが出ている気がする。ラストの歌詞「清空彩る星々 夜露に濡れた線路の下〜」のパートは切なく美しい日本語の嵐が吹き荒れているので必聴。


第1位「塗り潰すなら臙脂」

映えある第1位はこの曲。イントロからAメロまでエスニック且つ呪術的な雰囲気を纏いながら進み、サビのクリーンでビートを上げ加速するのがめちゃくちゃ気持ちいい。上手く言い表せないけど、絶妙なバランスのもとに成り立っていて、他の誰も真似出来ないであろう独特な曲。ミヤのギターソロも印象的で、シングルカットされてないのが信じられないぐらい圧倒的キラーチューン。敢えて1位を選ぶなら私は間違いなくこの曲。


 こうして10曲並べてみると近い路線の曲が多くて、自分がMUCCに欲している曲のテイストはフォークや昭和歌謡をメタルサウンドに落とし込んだものなんだということがよーく分かる。

 そもそもヴィジュアル系という一つのカルチャーに触れようとさえしなかった私も、邦楽ロックのシーンにまで名を轟かせていたMUCCのおかげでその垣根を越えることが出来た。
 ここまで面白い音楽をやっていることに衝撃を受けたし、クリック一つで広がる世界があるのだから、これからも食わず嫌いせずに色々聴いてディグっていきたい所存。ちなみに今はこの界隈だと-真天地開闢集団-ジグザグが面白いなと思って聴いてる。

 ということで、MUCCについても未開拓のアルバムなんかをもっと聴き込んでみたいし、ライブも対バン企画で一度見ただけなので機会があればワンマンでも是非拝見したい。


 拙い文章でバンドの魅力を最大限に語れないのが悔しいですが、最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。

 それでは、おやすみなさい。


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