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夏、消息不明


 異様に暑い近年の夏。外に出て何かを楽しむなんて気には一切ならない。

 海水浴、花火、BBQ、夏祭り…etc
 夏のお楽しみコンテンツが軒並み苦手な私は、趣味がインドア過ぎて日焼けすることにさえ抵抗がある。
 特に苦手なのが夏祭り。あれが一番キツい。社会人になって嫌々参加したことがあったが、大衆の面前で浴衣を着て踊りを披露するのは私にとって拷問に近かった。酒でも飲まなきゃやってらんないんだろうが、そんな元気もなく、終始シケたツラ選手権優勝候補みたいな顔で踊り切った。

 昔は行ってた夏のロックフェスなんかも最近は行っておらず、世間一般からする“夏らしいこと”は何もしてない。

 おかしいな…。小学生の頃は夏休みなんて毎日プールに行ったり殆どを外で過ごして楽しんでいたのに…。
 あの頃のキラキラした気持ちは何処かに落っことして来たようだ。

 …っと、いきなりネガティブかましてしまったが、それでも夏の風景や描写を見たり聴いたりすることは嫌いではない。
 特にも夕暮れから夜にかけて涼しくなり始めるあの時間帯は音楽との相性も良く、うっかり意味もなく散歩に出掛けたりしてしまうくらいには好きだ(結局音楽の力は偉大)。

 また、ベタだが新海誠作品で描かれる夏描写なんかも良いと思う。「雲のむこう、約束の場所」なんかの夏描写は最高だった。ただ内容飛んじゃってるから近いうちに観直したいな。青森県にはこの作品の聖地巡礼が出来る場所もあるらしい(よく知らんけど)。

気絶しそうになる程美しい夕焼け描写


 青森繋がりで強引に話を変えるが、青森にいた頃、友人からamazarashiの CDを借りた。その中にあった「夏、消息不明」という曲。短めのポエトリーソングなのだが、不穏で陰鬱な夏が閉じ込められており、ハツラツとした弾けるイメージが先行する夏の影にこんなワンシーンもあるよなとハッとさせられた曲でもある。

夏、消息不明。
猛スピードで4号線を走り抜けた僕らの悲しみは、情熱の揺らぎによく似た陽炎にスリップして横転。廃車置場の片隅に放置されていた。

夏、消息不明/amazarashi

 もうなんだか、この一部分だけでも国語の教科書載せてくれとさえ思う。こんなに退廃的で情緒に溢れる比喩表現の使い手はそうそう居ない。
 
 MVもある「夏を待っていました」も本当に名曲。amazarashiを好きになる決定打になった曲なので貼っておきたい。

 amazarashiの秋田ひろむさん自身も青森出身であり、曲中にその情景を綴った詩が幾つも登場する。私が実際に青森に数年間住んでいたこともあってかamazarashiを聴いているとその原風景が少し高めの解像度で呼び起こされる。
 これがかなり影響してると思うが、青森で過ごした記憶の中の夏は今尚美しいままである(バリバリ思い出補正リバーブ)。
 もう何年も行ってないけど、また青森に行くなら夏が良いなと勝手に思ってる。
※本州最北端だからといってめっちゃ涼しい訳ではないので注意。普通に暑いから。


 ポピュラーな夏を楽しめない話から青森やらamazarashiの話に繋いで少し長くなってしまったけど、結論、現実世界の夏は嫌い&夏の風景や描写は大好き!とかいう面倒くさい感性を抱えたまま、この夏も静かに乗り切ろうと思ってます。

 では、おやすみなさい。

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