「魔女の芽」第2話

p1
魔女「魔女の苦しみを思い知りなさい」
→魔女が瑞希を指差す。

自分の腕を見つめる瑞希。
→腕に小さな切り傷がある。
→傷を中心に菌糸が発生している。

p2
瑞希「そ、んな……」
→震えながら後ずさる瑞希。

修也「瑞希、落ち着け」
→修也は冷静に近寄ろうとする。

瑞希「いやっ」
→瑞希が修也を置いて逃げ出す。

p3
瑞希「嘘だよ、こんなの……!」
→半泣きで走る瑞希。

瑞希「誰か助けて!」
→涙を流す瑞希。

客A「感染者だ!」
客B「こっちに来るな!」
客C「やめてくれ! タケビトになりたくないっ!」
→避難中の客が瑞希を拒絶。
→血相を変えて追い払おうとする。

怒鳴られた瑞希が怯む。
→拒まれてショックを受ける。

p4
瑞希「あたしがタケビトに……!?」
→逃げ出す瑞希。

瑞希を見た人々。
→驚いたり、怖がったり、怒鳴ったり。
→差別される側の視点を数コマで表現。

p5
母「大丈夫、ママが守るから……」
→壁際で瑞希を怖がる母と子供。
→母が子供を庇っている。

呆然と佇む瑞希。
→鼻血を垂らす。

瑞希「……ごめんなさい」
→瑞希が泣きながら頭を下げる。

瑞希は元来た道を引き返す。

p6
歩く瑞希。
→菌糸の付いた腕の傷を掻く。

瑞希「消えろ……」
→掻きむしる腕をアップ。

瑞希「消えろ!消えろ!」
→激しく掻きむしる。

通路の真ん中で瑞希がへたり込む。

p7
瑞希(魔女ってこんな気分なんだ)
→絶望した瑞希の顔。

警備員「動くな」
→瑞希の背後に警備員の人影。

警備員「感染者め。余計な仕事を増やしやがって」
→警棒を持った警備員(ガスマスクを装着)

警備員が警棒を振りかざす。

p8
ガスマスクを着けた修也が消火器で警備員を殴り倒す。
→背中に武器ケース、片手に黒い刀。

修也は倒れた警備員から平然と警棒を奪う。
→消火器は捨てる。
→瑞希はぽかんとしている。

修也「行こう」
→修也は瑞希の手を引いて移動しようとする。

瑞希「ちょ、ちょっと待って!」
→瑞希が動揺しながら引っ張られていく。

p9
瑞希「触っちゃだめだよ! 感染しちゃうって!」
修也「この程度なら問題ない」
→慌てて振り払おうとする瑞希。
→無理やり連れていく修也。

瑞希「もう手遅れだよ……」
修也「諦めるな。まだ猶予はある」
→悲観する瑞希。
→毅然とした態度の修也。

二人の進む先から三人の警備員が走ってくる。

警備員「タケビトは殺せ!」
→警棒を持つ警備員達が襲いかかってくる。

p10
修也は冷静に警棒と刀を構える。
→瑞希を守る位置に。

戦闘の警備員が警棒で殴りかかる。
→修也は半身で躱す。

修也が相手の顔面を警棒で殴り飛ばす。

p11
二人目の警備員が警棒で突いてくる。

修也は警棒で弾いて防ぐ。

修也は警備員の腹を蹴り飛ばす。

警備員は泡を噴いて倒れる。

p12
三人目の警備員が怯む。
→修也は静かに歩み寄る。
→他の二人は倒れて気絶している。

修也は足払いで警備員を転倒させる。

警備員「ひいっ」
→修也は警備員に刀を突き付ける。
→警備員は怯える。

修也はとどめを刺さずに歩き出す。
→瑞希も恐る恐る付いて行く。

p13
瑞希「あんなことしていいの?」
修也「やらなければ殺されていた」
→不安そうな瑞希。
→冷淡な修也。

修也「ここもじきに封鎖される。脱出するぞ」
→自動ドアが開き、修也がそこを通る。
→修也の手元と胴体をアップ。

立体駐車場に出る二人。
→客が多く、混乱状態。

何かに気づく修也の顔。

p14
軽自動車の運転席からスマホで動画を撮る男。
→興奮した様子で二人を撮っている。

修也「乗せてほしい」
→車のそばに寄って男に話しかける修也。

男「その子は感染者だろ!? 助けるのは犯罪だっ!」
→スマホで撮りながら答える男。

男「僕は絶対に――」
→男の首を掠めるように、刀が突き出される。

p15
刀が車のヘッドレストに突き刺さる。
→男は顔面蒼白で固まる。

修也「早くしてくれ」
→修也が男をじっと見つめる。

男「ひぃっ」
→恐怖する男の顔をアップ。

p16
車が発進してショッピングモールを出る。
→街中を走る。

車内の光景。
→怯えながら運転する男(ハンカチで鼻と口を押えている)
→後部座席で銃を構える修也。
→修也の隣で落ち着きがない瑞希。
→車のすべての窓を開けて換気を徹底している。

男「あ、あの……どこに行くんですか?」
→バックミラーで修也を見て尋ねる男。
→バックミラーをアップ。

修也「あなたが知る必要はない」
→修也は後方を確認しながら答える。

p17
瑞希は自分の身体を抱いてうつむく。
→ガリガリと掻いている。
→顔色が悪く、鼻血も垂らしている。

修也が瑞希を横目で観察する。

修也「魔女狩りに支給される抑制剤だ。気休めだが楽になる」
→修也はカプセル型の薬を手渡す。

【タケビト化の治療薬は存在しない】
→薬を飲む瑞希。

【抑制剤は初期症状を鈍化させるだけだ】
→菌糸に覆われた瑞希の腕をアップ。

修也(菌は全身に回っている。感染部位の切除は不可能だ)
→瑞希を観察する修也。

p18
瑞希「どうして助けてくれたの。あたしはタケビトになるのに」
→薬を飲んだ瑞希は、横目で修也を見る。

修也「家族だからだ」
→修也は窓の外を見ながら淡々と応じる。

瑞希「馬鹿じゃないの!? 修也も殺されちゃうかもしれないんだよ!」
→瑞希が怒って詰め寄る。

運転手の男がハンドルを叩く。

p19
男「逃げても無駄だ。絶対に捕まる……」
→震える男は歯を食いしばっている。

男「なあ、迷惑かけずに死んでくれよ!」
→振り返った男が瑞希に怒鳴る。

瑞希「あたしだって好きでこうなったわけじゃないのに」
→瑞希は涙を流して呟く。

瑞希がハッと何かに気づく。

【あたしも似たようなこと言ってたんだ】
→1話の回想。
→瑞希が魔女に訴えかけるシーン。
→瑞希「魔女には隔離地域があるじゃん……そこなら誰にも迷惑をかけずに暮らせるでしょ!」

p20
修也「反省はいいが後悔は不要だ」
→修也の声で瑞希が我に返る。

修也「生きたいなら全力で抵抗し続けろ」
→修也が瑞希を諭す。

瑞希「……うん」
→瑞希が頷く。
→絶望から覚悟を決めて意識が変わる。

男「警察だ」
→喜ぶ男。

p21
前方の道路を警察が封鎖している。
→パトカーが並んで警官が待機している。
→修也達の車を指差している。

警官達が一斉射撃を開始する。

男「うわぁっ!?」
→車内に弾が入ってきて慌てる男。
→フロントガラスが砕け散る。

p22
修也「既に捕捉されていたか」
→修也が瑞希を押さえ付けて守る。

瑞希「修也、血が……」
修也「掠り傷だ」
→瑞希が修也の肩の出血を見てぎょっとする。
→修也は痛がらずに前方を観察。

修也「加速してください。強行突破します」
男「ふざけるな! そんなことできるわけがないだろうっ!」
→姿勢を低くして指示をする修也。
→怒鳴り返す男。
→警察からの射撃は続いている。

修也「やらなければあなたも死ぬだけです」
→撃ち続ける警官。

修也「どうしますか」
→問われて葛藤する男の顔アップ。

p23
加速した車が封鎖を強行突破。
→パトカーに衝突しながら無理やり進む。
→慌てて避ける警官。

p24
男「はーはっはっは! やってやったぞ! ざまあみろ!」
→ヤケになって運転しながら叫ぶ男。
→ハイテンションで笑っている。

修也「大丈夫か」
瑞希「うん。ちょっと車酔いしたくらい」
→瑞希を案じる修也。
→瑞希は苦笑して車内のドアに触れている。

瑞希の触れた箇所に菌糸が伸びる。
→コケや小さなキノコが生える。

修也「…………」
→神妙な様子で観察する修也。

p25
修也(菌類を操れるのは魔女だけだ。タケビトにはできない)
→生えてきたコケやキノコを不思議そうに見る瑞希。
→指でツンツンと触る。

修也(まさか……)
→修也は瑞希の状態について閃く。

男「あっ、魔女狩りだ!」
→男の声で修也の思考が中断される。

修也が後方を見る。

p26
黒の揃いのワンボックスカーが追跡してくる。
→計五台。
→黒スーツの魔女狩りが乗っている。

助手席から顔を出した魔女狩りがクロスボウを構える。

修也「加速してくれ。このままだと――」
→修也が指示を出そうとする。

修也の横顔。
→ズガッと鈍い音がする。

きょとんとした顔の瑞希。
→胸から矢が飛び出している。
→後方の魔女狩りが発射したもの。

p27
矢を中心に瑞希の身体が燃える。

修也が運転席に跳びかかる。
→ハンドルを掴んで一気に回す。
→男が驚いている。

修也達の車が、橋から川へと落下する。

車が川の中へ沈んでいく。

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