結城からく

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「魔女の芽」第1話

【あらすじ】 舞台は現代日本。 そこでは魔女に変貌する寄生キノコが蔓延していた。 人々は胞子の被害を防ぐためにガスマスクを常用し、魔女による災害を警戒している。 魔女は差別及び駆逐の対象とされ、少しでも魔女の疑いがある者は差別されてしまい、誹謗中傷やパニックが起きていた。 そのような時代に、主人公の修也は妹が魔女になってしまう。 【設定・用語】 ・魔女茸(マジョタケ) 胞子を介して人間に寄生する特殊なキノコ。 目玉のような模様が入った外見。 冬虫夏草のような性質で、寄生した

    • 「魔女の芽」第3話

      p1 修也が瑞希に肩を貸して川から出てくる。 →瑞希の火は消えているが、矢は刺さったままで意識はない。 →後ろで運転手だった男が溺れている。 橋の上からスマホのシャッター音。 市民A「なにあれ」 市民B「タケビトじゃん。キモっ」 市民C「あれって犯罪でしょ」 市民D「SNSに上げたらバズりそうだね」 →人々が修也達を見下ろしてスマホ撮影をしている。 →人間の醜さを強調する感じで。 修也は気にせず瑞希を運ぶ。 p2 魔女狩り「笹渕修也だな」 →川沿いで、二人は魔女狩りに

      • 「魔女の芽」第2話

        p1 魔女「魔女の苦しみを思い知りなさい」 →魔女が瑞希を指差す。 自分の腕を見つめる瑞希。 →腕に小さな切り傷がある。 →傷を中心に菌糸が発生している。 p2 瑞希「そ、んな……」 →震えながら後ずさる瑞希。 修也「瑞希、落ち着け」 →修也は冷静に近寄ろうとする。 瑞希「いやっ」 →瑞希が修也を置いて逃げ出す。 p3 瑞希「嘘だよ、こんなの……!」 →半泣きで走る瑞希。 瑞希「誰か助けて!」 →涙を流す瑞希。 客A「感染者だ!」 客B「こっちに来るな!」 客C

        • 「怪異捜査官」第1話

          【あらすじ】 様々な異常存在【怪異】を取り締まる怪異捜査官。 黄昏市の怪異対策課に移動となった葛城は、そこで怪異の力を持つ殺人鬼とコンビを組み事になる。 【第1話】  夜の闇に沈むシャッター通り。  その一角に簡素な白い建物がある。  看板は文字が掠れて読めず、辺りには用途不明のガラクタが野晒しで転がる。廃墟と見間違えるような佇まいだった。  玄関扉の隙間から、仄かに明かりが漏れている。  その奥に広がる室内には、一人の男がいた。視線の先にあるのは小さなテレビ。ニュース報道

        「魔女の芽」第1話

          「怪異捜査官」第3話

          「えっ……」  葛城の目が僅かに見開く。  それと同時に課長室の空気が張り詰めたものとなった。ぴりぴりとした殺意が肌を突く。  臨戦態勢となった葛城に、銀条は苦笑混じりに弁明した。 「はっはっは、驚かせてすまないね。怪異なのに違いはないが、国より認可された者ばかりだ。現に吸血鬼の私だって、課長を任されている」 「そうなんですか」  怪異たちにも様々な事情がある。  その中には人間に協力的な者や、怪異同士で不仲な者、さらには単なる道楽として怪異を殺し回る者もいた。  口

          「怪異捜査官」第3話

          「怪異捜査官」第2話

           黄昏市警察署。  都心部に位置するそこは、治安維持の要だった。  鉄柵が敷地を囲み、無数の監視カメラが周辺を睨む。正門では武装警官が見張りを勤めていた。  厳かにそびえる警察署に、長身の女が現れる。 「…………」  無表情の女は足早に署内を進んだ。  暗い茶髪にパンツスーツ。すらりと伸びる肢体は、服の上からでも分かるほどに引き締まっている。  すれ違う警官が頭を下げる中、女はエレベーターに乗った。地下三階のボタンを押し、じっと到着を待つ。  エレベーターが開くと、女はす

          「怪異捜査官」第2話

          「全知全能の力をもらったのでスローライフを満喫することにしました」第1話

          【あらすじ】 アラサー男の菊池は、いい加減な神から様々な道具や設備をクラフトする能力を授かる。 特に使命や目的を与えられなかったため、菊池はのんびりと平穏に過ごすことにする。 しかし彼の方針とは裏腹に、チート能力が原因で様々な事態に巻き込まれていく。 【第1話】  俺の名前は菊池(きくち)恭祐(きょうすけ)。  製薬関係の会社に勤務する、しがないアラサー営業職だ。  独身で彼女はなし。  郊外の安いマンションで一人暮らしをしている。  これといった趣味はなく、休日にする

          「全知全能の力をもらったのでスローライフを満喫することにしました」第1話

          「全知全能の力をもらったのでスローライフを満喫することにしました」第3話

           気が付くと日は落ちて夜になっていた。  辺り一面が闇に包まれている。  月光が唯一の光源だ。  ドラゴンが去った安心のあまり、そのまま眠ってしまったらしい。  我ながら呑気なものである。  俺は伸びをしながら、ゆっくりと身体を起こした。  地べたで寝たせいで身体が痛い。 「あ、おはようございますー。菊池さんったら、スヤスヤと気持ちよさそうに熟睡されてましたよー」 「おはよう。きっと日本での仕事疲れが残ってたのさ」  ナビは隣で胡坐を掻いていた。  豪快な寝癖と口

          「全知全能の力をもらったのでスローライフを満喫することにしました」第3話

          「全知全能の力をもらったのでスローライフを満喫することにしました」第2話

           菊池恭祐、二十八歳。  ただいまドラゴンと対峙しております。  これはまずい。  どうすればいいいのか。  ドラゴンは今にも襲いかかってきそうだ。  逃げ出せそうな隙はなかった。  パニック寸前の俺に、落ち着き払った声がかかる。 「菊池さーん、慌てず騒がずランドフラッグで支配領域を設けましょう。それで助かりますー」  ナビからのアドバイスだった。  彼女はこんな状況なのに冷静で、むしろリラックスしている節すらある。  だって、思いっきり欠伸とかしてるし。  いく

          「全知全能の力をもらったのでスローライフを満喫することにしました」第2話

          「不運な勇者はガチャ課金厨 ~金はないけど十連回す~」第1話

          【あらすじ】 異世界に召喚された男、平井は落ちこぼれの勇者だった。 彼のチートスキルは完全ランダムのガチャ能力で、不運な彼は低レアリティーのアイテムばかり出してしまう。 そんな彼はガチャ運に翻弄されながらも勇者として自分なりに奮闘する。 【第1話】 「あー、ガチャを回したい。そこらへんに金が落ちてねぇかなぁ」  草原をまっすぐに伸びる街道。  そこを歩く俺は、誰にともなく愚痴る。  もう何度目になるか分からないセリフだ。  自分でも半ば呆れている。  ただ、この衝動が

          「不運な勇者はガチャ課金厨 ~金はないけど十連回す~」第1話

          「不運な勇者はガチャ課金厨 ~金はないけど十連回す~」第3話

           ゴブリンとの戦闘を終えた俺は、すぐに町のギルドへと帰還した。  依頼品だったタンポポモドキを受付に渡し、報酬の四千ゴールドを受け取る。  とりあえず、これで今夜の宿代は確保できた。  報酬全額をガチャに使いたいところだが、さすがに我慢する。  そろそろベッドで寝たいからね。  野宿にも限界がある。  しかし。  今の俺には、それよりも重大な問題が立ち塞がっていた。  活気溢れる夜のメインストリート。  宿屋を探す俺の隣から、元気な声が飛んでくる。 「あの! 今から

          「不運な勇者はガチャ課金厨 ~金はないけど十連回す~」第3話

          「不運な勇者はガチャ課金厨 ~金はないけど十連回す~」第2話

           ファンタジーの知識に疎い俺でもさすがに知っている。  こいつはゴブリンだ。 「――! ――――ッ!!」  ゴブリンが何か喚いている。  しかし意味は分からない。  異世界人のデフォルト能力なのか、こっちの人間とは不自由なく会話ができているが、魔物の言語はまた別物なのか。  でも、異形だった魔王軍の四天王とは意思疎通できたな。  一体どういった基準で言葉が通じるのやら。  余計なことを考えながらも、俺は拳銃の照準をしっかりとゴブリンに合わせていた。  ぶっ殺してやる

          「不運な勇者はガチャ課金厨 ~金はないけど十連回す~」第2話

          「生贄地区にて」第1話

          【あらすじ】 ある日、世界は謎の存在である怪異の出現によって危機に陥る。 甚大な被害が続出する中、各国はあらゆる技術を駆使して怪異の隔離に成功する。 ある日、雑誌記者の八重は生贄地区の記事を作るため隔離地域への取材を命じられる。 【第1話】  私の前には壁と門があった。  壁の端はここからだと分からない。  最低でも数キロ先まで続いているのだろう。  自衛官による簡単なチェックを受けて、開かれた門を通り抜ける。  その先には分厚いコンクリートのトンネルがあった。  音声案

          「生贄地区にて」第1話

          「生贄地区にて」第3話

          ネモは白衣のポケットからペンチを取り出した。  自然な動きで私の手に刺さる釘の頭をつまみ、優しく告げてくる。 「一瞬だけ我慢してくれよな」  発言と同時にペンチで釘を引き抜く。  強烈な痛みに私は声も出せずに震えた。  傷口からどっと血が流れ出してくるも、ちゃんと赤色なのに安心する。  ネモは透明な液体の入った瓶の蓋を開けると、中身を私の手に垂らした。  ねっとりとして生温かい。  あまり好きではない感触だ。  ところが傷口からの出血が止まり、痛みは薄れ始めた。  試し

          「生贄地区にて」第3話

          「生贄地区にて」第2話

           十五分くらい走っていた車が減速し始める。  前方の建物に人だかりができており、周囲の廃墟と明らかに雰囲気が違う。  元は小さなデパートだったのだろうが、窓はすべて鉄板で塞がれてさらに木材で補強されていた。  ちょうどこの車と同じような感じだ。  店舗の外も鉄柵で囲われており、有刺鉄線も施されている。  徹底した侵入者対策を見た私は指を差す。 「あれは何ですか」 「武器屋だ。軍事企業があそこに店を出している。生贄地区に長期滞在するなら、最初の百万はあそこで使った方がいい

          「生贄地区にて」第2話

          「屑鉄細工の殺人機 ~異世界で搭乗型ゴーレムのパイロットになった~」第1話

          【あらすじ】 平凡な会社員キリセは、神の頼みで異世界へと転移する。 戦時中の世界へと落とされたキリセは、搭乗型ゴーレムを使って生き抜くことを決意した。 【本編】  荒涼とした赤土色の渓谷。  粗末なテント群に火の手が回り、戦闘服を着た兵士たちが悲鳴と怒声を発している。  そこは、惨たらしい戦場の只中であった。 「うおおおおああああぁぁぁぁッ」  激情を孕んだ咆哮。  分厚い装甲に包まれた体長四メートルの金属巨人――魔術兵器ゴーレムが大地を蹴り進む。  叫び声は機体に

          「屑鉄細工の殺人機 ~異世界で搭乗型ゴーレムのパイロットになった~」第1話