「魔女の芽」第3話
p1
修也が瑞希に肩を貸して川から出てくる。
→瑞希の火は消えているが、矢は刺さったままで意識はない。
→後ろで運転手だった男が溺れている。
橋の上からスマホのシャッター音。
市民A「なにあれ」
市民B「タケビトじゃん。キモっ」
市民C「あれって犯罪でしょ」
市民D「SNSに上げたらバズりそうだね」
→人々が修也達を見下ろしてスマホ撮影をしている。
→人間の醜さを強調する感じで。
修也は気にせず瑞希を運ぶ。
p2
魔女狩り「笹渕修也だな」
→川沿いで、二人は魔女狩りに包囲される。
→サブマシンガンやクロスボウ、刀で武装。
魔女狩り「タケビトを匿う反逆者め」
修也「職務より家族が大切なので」
→魔女狩りの一人が蔑む。
→修也は返答する。
魔女狩り「射撃用意」
→魔女狩り達が銃を撃とうとする。
p3
頭上から祖母が降ってきて、魔女狩り達を踏み潰して粉砕する。
→魔女の力を解放し、胞子と菌糸で肥大化したモンスターになっている。
魔女狩り「なにっ」
→驚愕する魔女狩り。
直前のコマの魔女狩りの首が刎ね飛ばされる。
魔女狩り達が慌てて応戦を始める。
→菌糸の外殻が銃弾を弾いている。
p4
修也は隙を見て魔女狩りの一人を刀で刺す。
→瑞希を手放す。
修也は刺した魔女狩りから銃を奪う。
修也は近くの魔女狩りに乱射して撃ち殺す。
撃たれた魔女狩りが倒れていく。
p5
魔女狩りが修也にクロスボウを発射する。
修也は躱しながら接近する。
修也が魔女狩りを斬る。
魔女狩り「なぜ魔女の味方を……」
→倒れた魔女狩りが問う。
修也が祖母のいる方角を見る。
→顔のアップ。
p6
修也「家族だからだ」
→燃やされながらも暴れる祖母
→次々と殺されていく魔女狩り。
→凄惨な感じで。
p7
眠る瑞希の顔アップ。
瑞希「ん……」
→目覚める瑞希の顔アップ。
→片目が変色している(症状進行を表現)
瑞希が勢いよく上体を起こす。
→場所は橋の下の柱の陰。
→そばに修也が立って周りを見張っている。
修也「起きたか」
→あちこちを負傷した修也。
→手には銃と刀。
p8
瑞希「いたっ……」
→瑞希が胸を押さえる。
→矢はもう刺さっていない。
修也「菌糸が傷を塞いでいるが、あまり動くな」
→瑞希の胸元アップ。
→矢の刺さっていた箇所が菌糸で覆われている。
瑞希「どうなってるの?」
→困惑する瑞希。
修也「あれを見ろ」
→修也が少し遠くの川沿いを指差す。
p9
祖母が魔女狩りを殺しまくっている。
→あちこちが燃えて矢や刀が刺さっている。
河川敷を逃げる人や渋滞する車を数コマで。
瑞希「また魔女が出てきたの!?」
修也「あれは婆ちゃんだ」
→驚愕する瑞希。
→修也は険しい顔。
p10
修也「婆ちゃんは有名な"魔女殺しの魔女"だった」
→暴れている祖母をクローズアップ。
→魔女狩りに撃たれながらも反撃して殺しまくっている。
修也「俺達が追われているのをニュースで観たんだろう」
→祖母が家のテレビでニュースを観るイメージ。
→覚悟を決めた表情。
瑞希「そんな……修也はお婆ちゃんが魔女って知ってたの?」
→瑞希は深刻な表情で尋ねる。
修也「ああ、学生の頃から戦闘訓練を受けていたよ。かなりのスパルタだった」
→修也は冷静に語る。
p11
修也「婆ちゃんはこのまま死ぬつもりだ」
→反撃で焼かれながらも捨て身で暴れる祖母。
→撒き散らされた菌糸に魔女狩り達が囚われている。
瑞希「じゃあ助けに行かないと」
→瑞希が立ち上がって外に出ようとする。
修也が手を掴んで引き止める。
修也「駄目だ。婆ちゃんの邪魔になる」
→説得する修也。
p12
瑞希「どうしてそんなに冷静なの……?」
→瑞希は涙を浮かべて問う。
修也「婆ちゃんの想いを尊重したいだけだ」
→修也は外を観察しながら冷静に応じる。
【俺は自分を犠牲にしてでも家族を守りたい】
→傷だらけの修也の身体をアップ。
【婆ちゃんも同じ気持ちだった】
→暴走する祖母。
→燃え上がりながら魔女狩りを次々と蹴散らしている。
p13
青空の風景。
→真夏の暑い雰囲気。
暴走する祖母が道路の中央にいる。
→銃撃で血だらけになり、各所が焼け焦げている。
→周囲のアスファルトの上に魔女狩りの死体や、潰れた車が散乱している。
修也「婆ちゃんを殺してくる。ここで待っててくれ」
瑞希「何言ってんの!?」
→川沿いから観察していた修也が歩き出す。
→瑞希は驚愕。
修也「もう理性が飛んでいる。元には戻れない」
→祖母が咆哮を上げている。
→胞子が散っている。
p14
修也「いつか魔女の力が暴走したら殺してくれと頼まれていた」
→修也は魔女狩りの死体から武器を拾う。
修也「婆ちゃんはこうなることも覚悟して来た。だから俺も覚悟を決める」
→祖母のもとへ歩いていく修也。
→手には刀と銃。
祖母が修也に突進する。
瑞希「やめてッ!」
→修也は銃で迎撃する。
p15
祖母が修也を殴り飛ばす。
修也は放置されたトラックの側面に激突する。
→トラックの荷台部分が大きく陥没する。
着地した修也はふらつく。
→ガスマスクに亀裂が走っている(片目のレンズが割れて目が見える)
→銃がひん曲がっている。
修也の足下がキノコで埋め尽くされていく。
p16
祖母の足下からキノコが大増殖している。
→濃い胞子が漂っている。
祖母が菌糸を発射する。
菌糸が絡みついて、修也が拘束される。
→粘着質で身動きが取れない。
瑞希「修也っ!」
→瑞希が二人のもとに駆け出す。
p17
瑞希は泣きながら走る。
→症状が進んでほぼタケビトに。
瑞希は魔女狩りの死体から手榴弾を掴み取る。
瑞希「お婆ちゃん、やめて!」
→瑞希はピンを抜きながら祖母に抱き着く。
p18
手榴弾が炸裂し、大爆発と炎上が発生。
→瑞希が吹っ飛ぶ。
→祖母が大きく燃え上がる。
瑞希が地面を転がる。
→満身創痍で焼け焦げている。
祖母が炭化して黒くなっていく。
→肥大化した部分が崩れていく。
p19
修也は瑞希のもとへ駆け付ける。
瑞希「お婆ちゃん、ごめんなさい」
→瑞希はなんとか立ち上がる。
瑞希「あたし、魔女の悪口ばかり言ってた。お婆ちゃんが魔女だったのに……」
→屈む瑞希の太腿や手に涙が滴り落ちる。
祖母「気にしないでいいんだよ。しょうがないことだから」
→燃える祖母が優しく告げる。
→徐々に体が崩壊している。
p20
祖母「辛い役目を押し付けたね」
修也「婆ちゃんが来なかったら死んでいた。感謝しているよ」
→祖母が修也を見る。
→修也はガスマスクを外す。
瑞希がせき込む。
→傷だらけで菌糸と苔が溢れそうに。
祖母「…………」
→祖母が無言で手を伸ばす。
祖母の手から伸びた菌糸が瑞希の胸の傷に潜り込む。
p21
瑞希が驚いて倒れ込む。
→激しく嘔吐。
咳き込む瑞希の頭からポンッとキノコが生える。
瑞希「あれ……」
瑞希が顔を上げる。
→顔色が良くなって他の症状が消えている。
祖母「魔女の因子を託したよ……これでタケビトにはならない」
→力を失った祖母が一気に衰弱していく。
→後悔していない安らかな表情。
p22
祖母「二人とも兄妹仲良くね」
→幸せそうな祖母の顔。
祖母「ちゃんとご飯を食べてよく寝て、それから……」
→傷だらけの祖母の身体アップ。
→血だらけで服が焦げている。
涙でぐちゃぐちゃな瑞希の顔。
傷だらけだが毅然とした修也の顔。
p23
祖母「今までありがとう」
→三人が映るアングルで。
→ドラマチックな雰囲気で。
祖母の身体から力が抜けて死ぬ。
瑞希は顔を手で覆って泣く。
→そばに修也が立っている(顔は見えないアングルで)
p24
瑞希「これからどうすればいいんだろう」
→瑞希の寂しげな後ろ姿。
瑞希「あたしは誰を恨めばいいの……」
→泣きじゃくる瑞希。
修也「すべて恨めばいい。俺達には復讐を糧にしてでも生きる義務がある」
→修也が目を閉じて合掌。
p25
【大切な祖母が死んだ】
→魔女狩りの車を運転する修也。
【たった一人の妹は魔女になった】
→助手席で不安そうにする瑞希。
→頭からキノコが生えたまま。
【俺は犯罪者になった】
→カーナビの画面で臨時ニュース。
→修也が顔写真付きで指名手配されている。
p26
【世の中の善悪に興味はない】
【やるべきことは一つだけ】
→後部座席に積んだ大量の武器をアップ。
【たとえ世界を滅ぼしてでも家族を守り通すだけだ】
→走り出した車を俯瞰するアングルで。
→後方には戦いの痕跡と魔女狩りの死体が散乱。
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