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ヒロシのくせに

20代の頃、一番最初に勤めた会社で
私はインディーズのレコードレーベルの
プロモーターをやっていた。

当時は雑誌全盛期で、私は150誌近く担当していて。
レコーディングの時期じゃなければ、
1日6社ぐらい回って、アーティストの宣伝をしていた。
(若かったから、疲れ知らずだったな……)

外回りで悲しいのは、
忙しい雑誌編集者に顔を覚えてもらえないこと。
弱小レーベルだったので、
とにかく顔を覚えてもらえるよう
常に奇抜なTシャツを着て、
「あの変なTシャツを着る女」
「いつも変な時計をしている女」

として覚えてもらっていた。
(顔を覚えてもらえれば、
すぐに本題であるアーティストの楽曲の話ができるから!)

で、どんなTシャツを着ていたかというと
アラン・チャンがデザインした
毛沢東のTシャツで(笑)。

それを着て会社に行くたびに
母・正子が

「アンタ、本気でアカと間違えられるよ?
本当にそのTシャツ、やめてもらっていいですか??」

と、物凄〜くイヤな顔をして文句を言っていた。

その度に
私は今よりもさらにアホだったので、

「あたしは “毛沢東ですら” 着こなせる女だ」

と親に向かって豪語していたのだが、

その時の正子の返しが結構ふるっていて、

「着こなしじゃないだろう?
アンタは『ど根性ガエル』のピョン吉を
毛沢東に変えただけだろ?
所詮アンタは『ど根性ガエル』のヒロシなんだから、
着こなしとか言うな!」

面白えこと言うな、ウチの正子……と思いましたのさ。


(追記)
アラン・チャンの毛沢東Tシャツを
数着持っていたのですが、
当時着ていたのが写真のものです。
親は、止めるわな(笑)!!

#アランチャン #親のバカ話 #毛沢東 #陳幼堅 #ヤバいTシャツ #ヤバT

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