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花束ではない恋だった

恋人の関係が終わり1か月が経とうとしている。
人生で初めてお付き合いをした女性。


心の底から大切にしたいと思えるような人に出会えたのはこれが初めてで、こんなにも幸せなことなのか、と何度もにやけていた。

ただ、そんな彼女との甘い時間も半年という時間の中で消え去ってしまった。
理由のひとつは、遠距離ということもあったのかもしれない。

ただ、彼女がこの決断に至ったのには、「もう1つの恋」があったようだ。


連絡の頻度が減り、何となく波長がズレ始めていると感じていたある日、彼女から「女の子を好きになった」と告げられた。
加えて、自分とその子、どちらも大切にしたい人、そしてこの気持ちにどう対処したらいいのか分からない、と。


聞いた時、事前に何かを察していたからか、僕は想像以上に心穏やかだった。

何かは感じているが喜怒哀楽のどれでもない感情で、ポツリと出た言葉は、貴方の選択を支持するよ、だったと思う。
唯一、貴方の特別な存在でありたかったから、未来を共にしたい人だけは決めて、と。

俺についてこい、とか、絶対に幸せにするから、とか、ドラマのようなキラキラしたセリフを言えたらよかったのかもしれない。
感情爆発させて、駄々こねてもよかったのかもしれない。

ただ、現実はさざ波すら立つ気配もないような、しっとりとした時間の中で、最後の時を迎えた。



あの頃から季節は変わり、今は夏真っ只中。

そんな、大好きだった彼女と会えなくなった今でも、あの時を全く後悔していない。
なぜなら、その時出た言葉が自分の素で、真意で、愛で溢れた言葉だったから。
そして、素でいさせてれる彼女と、素の自分という関係が、最も好きな部分だったから。

2人でいた時間は、お互いに多くの気づきを与え、壁を乗り越える力をくれたと思う。

もし、進まなければ、気づかなければ、今までと同じ幸せを掴み続けることができたかもしれない。

ただ、お互いがピュアで居続けられたられたからこそ、かけがえのない出会いと別れがあり、輝いていたのだと思う。

原石も、磨かなければその価値や輝きなんて分からなそうだしね。


今、彼女は漫画を始めようとしているらしい。
ベロベロに酔ったまま、たまたま開いたインスタで、そんな彼女の最初の投稿を見てしまった。

思わずクスッとしてしまう、彼女らしい温かい1枚だった。

今、お互いに新たな人生を歩み始めている。
未来はまだまだ明るいはずだ。

お互い、どのような運命を辿っていくのだろう。
例えそれがどんな道であっても、そっと心の中で大切な人を応援できたらいいなと思う。

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