物心がついた頃

私が生まれ育った家は田舎にあって、周りには田んぼと山があり、大自然の中にありました。

春はタラの芽などの山菜が取れて、夏は日中蝉時雨が降り注ぎ、夜には蛙の大合唱。たまにホタルが庭に遊びにやってくる。

秋の初めの頃になると稲刈りが始まり刈ったばかりの稲の甘い匂いが田んぼを彩って、秋の終わり頃になると田んぼで藁を燃やす匂いが漂い、季節の終わりを感じるような寂しい気持ちになる。

冬は雪が積もって白一色。雪が積もって月が出た夜は、夜中なのに雪が月光に照らされて。冷たい凛とした空気と相まってとても素敵な風景でした。

このような自然に囲まれた一件の家に、父と母、祖母、年の離れた兄弟達と私は暮らしていました。

物心ついた頃から、両親の喧嘩が頻繁に起こっていました。父はお酒を飲んでは母に難癖をつけ暴れ、母もそれに対抗して言い合いになり、酷いときには父が母へ暴力を振るうこともしばしばありました。

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