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ニュージーランド英語と孤独なホステルについて(ニュージーランド初日)

街中を歩いていて白人の体格の大きさに驚く。イギリス人よりニュージーランド人が大きいのか、5年間欧米の街に触れていなかったせいで自分がそう感じるのか。

特にこの1年でよく行っていたバングラデシュの記憶との比較もあるのだろう。バングラデシュ人は日本人より小さい、少なくとも縦は(栄養の偏りのせいで、お腹は驚くほど出ている)。
ちなみに日本人も昔より背が高くなったり女性の体型が豊満になったりしているというけれど、バングラデシュでは貧富の差が体格にすごくよく表れている。大学卒の人と、中学くらいまでしか出ていない人の体格の差は圧倒的だ。食べ物で国民の身長が変わるのは本当です。なんの話だっけ。

半日しか聞いていないけどニュージーランドの英語について

ニュージーランド英語(キーウィイングリッシュ)の発音はイギリス英語に近く、街中で聞いていて心地よい。

ニュージーランド英語の発音として、”ay”(「エイ」)を 「アイ」みたいに発音することはよく聞く。「フライデー(金曜日)」「フライダイ」に聞こえるというやつ。
確かにときどきそういうアクセントがあるように感じる。話しかけてみて、「ん、この人外国人なのかな?」と一瞬思ったけれど(そもそもお前が外国人)、そうじゃなくておそらくこれがニュージーランド訛りなのだろうな、と気づく。

イギリス英語に似ていると言ってもイギリス英語には色々あるが、ニュージーランドの英語は、労働階級の英語(コックニー)よりは、どちらかというと上流階級の英語に近く、”Posh”(優雅、上流階級風)に聞こえる。ぱっと聞いた感じでしかないが、イギリスほど階級の差も、階級による英語の差もないようでみんな似たような英語を話している。初日の所感なのできっといろんな英語があって、地域や人種によってもまた違うのだろうが。

ただ、イギリスではあまり使われていなかった表現もある。いちばんすぐ気がついたことで深刻な問題は、 “Toilet” が通じない。ニュージーランドでは "Bathroom"とか "Restroom" と書いてあることが多く、これはアメリカ英語が入ってきているようだ。

入国して一番最初のニュージーランド人との会話は、ホステルのチェックインだった。「Toilet使っていい?」と聞いたら"Pardon?”と言われたので、"Wash room? Bathroom?" と色々試したら通じた。

あとは飲食店で店員が注文を受けるときに “Of course(もちろん)”のニュアンスで “Easy(簡単よ)”と言う。これはイギリスでは聞いたことがないが、もしかしたら個人的な言葉の選択のクセの可能性もある。

カフェのメニューについて

●ウェリントン空港

とりあえず空港でフラットホワイトを一杯。
そうそう、これのためにきたんだよな、と思う。結局初日はこれが唯一のフラットホワイトになった。

フラットホワイトは、ラテに比べてミルクが少ないためエスプレッソが濃い。また、フォーム(泡)が少ないので舌触りがとろりとしている。カフェで働いているときは、作るのも飲むのもフラットホワイトが好きだった。
ウェリントンはフラットホワイトが発展した土地とも言われており、今はニュージーランド、オーストラリア、イギリス系のカフェに行けばメニューに載っている。

●Wellington Chocolate Factory

歩いていてたまたま見つけ、ウェリントンで入ったカフェ第一号になった。
店員さんも気持ちがよく、お店の雰囲気もいい。大雨が降り出したこともあり、文章を書くのに集中できたこともあり、すごく長居してしまった。

●Whistling Sisters Beer Co

ムール貝(Mussels)とビールを頼んだ。ニュージーランドではラム肉がよく食べられているようなので試してみたかったが、今日はろくにものを食べていないせいか、胃がラム肉を消化できる気がしない。ここでは店員に勧められるままIPAを飲む。正直、ビールにこだわりはないので味はわからなかった。

食べ終わると、お腹が刺激されて少し空腹感を感じてきたのでポテトを追加で注文する。ムール貝の半分の値段で、4倍くらいの量のポテトが出てきた。この国もいろいろと物価が高いけれど、ポテトが安上がりなのはどこの国も同じようだ。皮付きのまま揚げたポテトは美味しかった。

“Easy(簡単よ)” と注文を受けていたのはここの店員さんだ。たぶんムール貝の注文には使わない相槌だろう。ビールとか、ワインとか、そういうときに使っていた。
ニュージーランド英語というよりは、その店員さん個人の口癖という可能性もある気がした。きっと可愛いだろうに、顔に合っていないサイズのマスクをしていて横から見るとマスクがとんがっている。

暇だなぁと考えていると、ビールの酔いと昨夜からの移動の疲れが出たのか、ソファの心地よさの中でうとうとしてしまった。

●Espresso Bar Wellington

ここは遅くまでやっていると聞いてやってきた。
酔醒ましにマキアートを注文する。豆が南米系なのか、浅煎りなのかわからないがとても酸っぱくてあまり好みではなかったが、少なくとも酔いは醒めた。
これで$4(約350円)。

そういえばエスプレッソの量について、イギリスやヨーロッパでは "Single" と"Double (Doppio)" だったけれど、ニュージーランド(日本のオーストラリア系カフェでも)"Long" と "Short" と言うみたいだ。

街を見ていると、中国人らしきアジア人がけっこういる。ベビーカーを押している家族も少なくないことから、移民も多いのだろう。まぁ、中国人はどこにでもいるけれど。アジアンスーパーマーケットも結構大きかったし、スシ屋もちらほらあるし、日本人もきっとたくさんいるのだろう。

いい音楽と、自分がPCをタイプする音。薄く開いた窓から心地の良い涼しい風。ところどころしかわからない隣の会話。ようやくウェリントンが楽しくなってきた。

孤独なホステルについて

●Cambridge Hotel

ひとり旅だから宿泊は人と一緒でもいいか、と思ったけどやはりコロナ禍。6人部屋なのに一人部屋。人っ子一人見かけない。1階にバーが併設されていたが、帰ってくるともう椅子が机の上で降参したかのように脚を上に向けて並んでいる。何時に閉まるのか、と聞いても「今日は人があまりいなかったから早く閉めた」とのこと。バックパッカー同士でホステルのバーで夜までビールを飲みながら情報交換をする、ということを思い描いていたが、諦めたほうが良さそうだ。スタッフだけ、23時を過ぎても勝手にわいわいやっているようだ。

そもそもウェリントンの雰囲気はやはり近代都市だ。都会だから、知らない人に話しかけるハードルは高い。地元の人と仲良くなるような雰囲気もない。ニュージーランドの首都にいるのだから文句は言えないけれど。

水回りの悪さについて

さて、共有のシャワー室は、3つの突起によってすべての機能がまかなわれている。

  1. 回すと水とお湯が出るレバー。どちらがお湯でどちらが水かはわからない。

  2. 電気と換気扇がつく黒いボタン。非常ボタンみたいな見た目で押すのが怖かった。

  3. なにか袋をかけられる棒。着替えや部屋の鍵、化粧水などすべてを袋に入れてかけておく。たぶん濡れないようにという配慮を一応したらしく、すごい高いところにある。

黒いボタンを押すと電気と換気扇がつくが、しばらくするとバチっという音ともに消えた。それに懲りて、温泉のシャワーみたいに消える前に押し続けるという忙しい行水になった。誰かに見られてもいいからドアをあけておきたい。そうすればお湯を浴びている最中に真っ暗にはならなくて済む。お昼に、暇で無料だから入った市内のミュージアムで戦争記念館みたいなエキシビジョンに入ったのを悔やんだ。

日本では宿泊すればタオルもシャンプーもついているのが当たり前だが、海外で安宿に泊まるとそういうものはない。シャンプーの小袋とビーサンを持ってきたことは我ながらファインプレーだった。置いてあったドライヤーも2つとも使えなくて大変困ったので、髪を乾かしがてらロビーでこの文章を書いている。

イギリスは、水回りに関しては決して先進国とは言えない。その植民地であったニュージーランド、独立したからには水回りは独自に発展してほしかったが、そういうわけにはいかなかったようだ。
バングラデシュでビーサンを履いたまま水を浴びたり、バケツにくんだお湯で髪を洗ったり、1年間お湯の暑さの調整ができず火傷しそうなシャワーで乗り切ったイギリス生活を考えると、日本人女性の中でも、水回りの悪さへの耐性はトップクラスという自負がある。

というわけで夜はなんだか微妙な感じになった。

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