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”書けない日”の短文集(本の虫と本物の虫の話) − vol.3, 5, 7, 8/100/2021

#2021年の100冊 が達成できそうなので、書く方を始めることにしました。
9月から始める #2021年の100篇

夜遅くなっちゃった日。パソコンの前にいくら座っていても、何もとっかかりがない日。頭がいたい日。そんな日の短文集です。

「これは昨日の分」「おとといの分」とあとから書いたものもあります。

運がいい人生 - vol.3/100/2021

カフェに入る。人が多くていやだな、と思っても、お目当ての場所だったからこれ以上場所を探すのも気が引ける。そして一度入ってしまったのに、示された席がいやだから出ます、というほど傲慢になれない、臆病なわたしです。

だけど案内された居心地の悪い席に座って少し経つと、なぜか隣の人が席を立つ。席を立つ。次々と人が引いてまったくの理想的な状態で時間を過ごせることがある。

今日もそんな日だった。

虫の居所がよくない - vol.5/100/2021

半年ほど、コンポストをつくっている。消化酵素とおがくずが配合された母材の中に、生ゴミを刻んで入れると、酵素分解してくれるものだ。堆肥になるのではなく、ガスとなって消えてしまう。不思議。台所にバケツごと置いても匂いは気になったことはなく、生ゴミを入れるたびにかき混ぜている。

そこに異常に虫が生まれてしまった。羽アリより細長い虫や、コバエなど。フタをあけたらわっと出てくる。出てくる分にはいいが、よく見ると母材と生ゴミの中にもごそごそ歩いている。
完全に土の中を覗いているかのような空間になってしまっていた。そこで生まれた虫がいて、そこが居心地がいいわけだ。

あぁ、どうしよう。

そこで休みの日に土を陽に当て、風を通し、土がふかふかになるように面倒を見てみた。人間と同じで、水分が多すぎたり少なすぎたりすると消化不良になってしまい、今回みたいに虫もやってきてしまうそうだ。どうやって生まれたんだ。

陽に当ててみて2日目、混ぜ返すとまだ虫たちは我が物顔で土の中を歩いている。気長に追い出していくしかない。「虫の居所」を作ってしまったようです。

虫の居所が悪い... 機嫌が悪く、ちょっとしたことでもすぐ腹を立てる。 不機嫌なさまにいう。
コトバンク

本の虫の話 - vol.7/100/2021

3度の飯より好きなものは本である。

自分のことをそう思うのは、以下のようなときです。

1. ご飯を作って食べるより本を読みたいとき。
2. シャワーをする時間がもったいないくらい本を読みたいとき。

3. 出先から帰りに読む本がなくなったら、本屋に寄ってしまうとき。その時間で家にたどり着けているくらい本屋の滞在時間が長くなるとき。

なんとも生活力がなくて情けなくなる。

じゃあ本を読みながら食事をすればいいじゃないか、と思って実行したら、本の帯にしみがついてしまった。

幼稚園のとき、みんなが校庭で鬼ごっこかなんかをしてきゃーきゃー遊んでいるとき、ひとりくらーーい蔵書室みたいなところで絵本をめくっていた自分を思い出す。

「蔵書室」と書いたのは、確かそこは正式に園児が本を読む場所ではなかったからである。幼稚園の所有している本をとりあえずまとめて置いておく倉庫のような細長い(そして暗い)部屋だったと記憶している。「外で遊ぶよりこっちのほうが楽しい」と意識的にそこに座っていたことも覚えている。


小さいとき、「昼寝をしなさい」と言われていた時間に、寝室でこっそり本を読んでいたことを思い出す。親が階段を上がってくる音がしたら本を隠して寝たフリをしていた。

「狸寝入り」という言葉とともに、このときの記憶に背徳感を覚えたのも、この直後くらい小さい頃だったと思う。「たぬきねいり」なんてしたことありません、という顔をして。


ときどき話題になる、テレビ番組や流行っていた芸能人やドラマの話がまったくわからない。「いったい何してたの?」と人生で何回も聞かれたことがあるけれど、本を読んでたみたいです。

本物の虫の話 - vol.8/100/2021

虫の話が続いて恐縮です。

ときたま出張先になるバングラデシュでは、異常に蚊がいる。一晩で30匹以上殺すのも日常茶飯事だ。蚊の死に方について2000字書いてしまったくらい、蚊がいっぱいいる。

だけど、神奈川の実家ではもっと大変な状況だということに最近気がついた。
ゴキブリ、蜘蛛(でかい)、ナメクジ、ヤモリが出る。直近では、1週間でだいたい全部に出会った。

理由は2つ考えられる。
海沿いの家で、湿気が多いため。
あるいは、父と私という生活力のない人間しか住んでいないため。

認めたくはないがおそらく後者でしょう。

本当に虫が殺せない。ナメクジを棒に載せて窓から投げ捨てたり、ゴキブリを縁側までなんとか囲い込んで自ら外の世界に出ていってもらったりしている。この間はヤモリを外に出すために、17年住んでいて初めてトイレの嵌め戸を外した。

そんなときも、地面に叩きつけられるナメクジを想像して「ごめん」と思ったりするので、できるだけ考えないようにする。トイレに入ったらヤモリが窓に張り付いていたときはめちゃめちゃびびって出るものも引っ込んでしまい、「外の空気がわかってるんだね、出たいんだね」と思って元々の用も足さずにせっせと対処してしまう。

お風呂場にでかい蜘蛛がいても、一緒にシャワーを浴びる。
蜘蛛は水滴が当たると死の危険を感じるのか、慌てて物陰に隠れたりするので、「水場に来なきゃいいのにバカだな」と思いながら生かしたままにしておく。というかわたしがシャワーを浴びた結果、水死するならする、しないなら生きている、そんな感じです。

虫が好きなのかと思われるかもしれないが、別にこいつらが好きなわけではなく、見るのも嫌なのだけど、殺すのはもっと嫌なだけなのです。

湘南エリアの実家暮らしは、ある意味バングラデシュより過酷な状況であります。

おわり

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