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#2021年の100冊 9月に読んだ本ベスト3

#2021年の100冊 は、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始しました。9月30日時点で91冊なので、月10冊強の計算です。

9月は、2021年最多の14冊読みました。9月のベストスリーはこの3冊!

1位:田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』(渡邉格)

腐らない食べ物、増え続けるお金、安い賃金、現代経済への疑問を交えながら、ご自身のパン屋哲学をまっすぐな正直言葉で綴った本です。世の中の見方が少し変わります。

修行や事業を積み重ねながら、世の中への違和感を捨てず、哲学を深めていくパン屋さん。現在、鳥取にある彼のパン屋さんには、全国どころか韓国など近隣外国からも人が訪れるほど、彼の哲学は世の中を静かに熱狂させています。

2位:向田邦子ベストエッセイ(編・向田和子

「父の詫び状」で有名な向田邦子さんのエッセイ集(94年生まれのわたしの代は国語の教科書に載っていました)。最初の2篇で心を持っていかれました。

東京空襲のときについても触れられていますが、戦争の悲惨さや悲しみをダイレクトに訴えたり嘆いたりするのではなく、そのときの家族の日常、非日常、心情が情景に浮かび心がきゅっとなるくらい、軽妙な言葉なのに深くささりこんできます。

3位: 日本を前に進める」(河野太郎)

総裁選前の読書。

外交、防災、社会保障、エネルギー、教育、デジタル化、ワクチン接種まで色々な問題と論点に広く触れられて社会勉強になりました。さまざまな論点について読んでいるときの自分の集中具合で、自分が何に興味があるかもわかりやすかった。

情報源として読んでよかったなという本です。

9月のリスト14冊

9月のベストスリーは以下の14冊から。

#78「田舎のパン屋が見つけた『腐る経済』」(渡邉格)

今月のベスト本。

パン屋とマルクス経済?
平易でまっすぐな言葉で、世の中のゆがみを指摘しながら、パン屋の哲学を展開しています。資本主義に少しでも疑問を持ったことがある人に読んでほしい。

近いうち、鳥取のこのパン屋さんに行ってみたいです。

#79「日本を前に進める」(河野太郎)

総裁選で国民からの圧倒的な支持を集めた河野太郎さんの著書。総裁選前の読書でした。

ニュースをあまり見ないのだけど、誰かが報じる「その人」ではなく、体系的にその人の考えを知られるかなと思って読みました。政治家の人が書いた本を読むのは初めてかも。

政治家って何かの専門家なわけでもないのにトップに立っていろんなことを経験するんだなと思いました。国家公務員(省庁で働く人たち)との違いを改めて認識しました。

#80「正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ」(西村宏堂)

お坊さんでありメイクアップアーティストである西村宏堂さんの著書。ミス・ユニバース時代に出会い、最も尊敬する人のひとりです。

自信のないわたしからも、「良いところ」を引き出し、気づかせてくれ、「ゆきちゃん」と名前で呼んでくれて、メイクや言葉で自信を与えてくれました。誰にでも分け隔てなく温かい言葉をかけてくれます。

身体は男性で、男性のことが好き。でも自分を男性とはみなしていないので「ゲイ」ではないと思う。ご自身をそう説明しています。そんな自分を「ダメなことなんだ」と思っていた。人から自分を隠して、「人生の楽しくなさ」を周りのせいにして生きていた。

でも、アメリカ生活や僧侶の修行を経て、周りとのかかわりも変わっていき、ミスユニバース世界大会のメイクアップ担当だけでなく、国連でのスピーチやVOGUE掲載など世界で活躍されるようになっています。文字通り正々堂々と自分の考えを発信していらっしゃいます。
アイデンティティーや周りとの関係に自信がなくなったら、読んでみてください。

#81「ホスト万葉集」(手塚マキと歌舞伎町ホスト75人)

明日、これに出てくるホストの方に会うので読みました。
(読んだことないけど)『サラダ記念日』で有名な俵万智さんが編者をされている。

「もともと短歌と恋愛はすごく相性がいいんです。日本では、千年以上前から、歌で愛を表現しあっていて、(中略)ホストという愛のプロの方たちが歌を紡いでくれたら、「短歌も喜ぶんじゃないか」ってそんな気持ちがしました」(俵万智・p.132)

面白いので例を少し。

お茶ひきの苦い記憶は残るのに 甘い記憶は呑んで消えてる(愛寿)
クリスマス一人ぼっちのお姫様 お金で買える彼氏とケーキ(宮野真守)

絶妙じゃないですか?w

楽しいな パリピピリピリ ピッピリピ 昨日の記憶一切ねぇわ(令和)

ww

ナンバーワンとったらわかるそのつらさ 売れないバカよりメンタルしんどい(江川冬依)

かと思うと、こんなのも・・・

針なんて飲ませないから守ってよ あの日の指切り交差点前(読み人知らず)

#82「五体不満足」(乙武洋匡)

小学生のときに読みました。よね?
明日ご本人に会うので読み返しました。
小学生のときに本を読んで感銘した人に会えるようになるなんて、大人になるのも悪くない。

障害者の方が生きやすくなるには、周りが心のバリアをとるのがいちばん先、と時々聞くけど、本当にそうなんだと思う。周りに赤ちゃんがいれば、高齢者がいれば、外国人がいればその存在に慣れて、人同士の関わりとして当たり前になっていくように、慣れることなのだと。少しでも自分が一歩世界に近づく明日になればいいと思う。

#83「ランゲルハンス島の午後」(村上春樹)

25篇の短編集。すぐ読めます。電車の中で笑っちゃった。エッセイって日記じゃなくてこうして自分だけの頭の中をさらけ出すことなのかもしれない、と思った。

ちなみにランゲルハンス島ってギリシャかどっかの島の名前じゃなくて、膵臓の内分泌腺の名前らしいです。

#84「螢・納屋を焼く・その他の短編」(村上春樹)

村上春樹「ノルウェイの森」に出てくる1シーンが、短編として収められています。もちろん長編に組み込むときに手直しをしたらしく、ところどころ表現が違います。

なので昔の自分の文章を、記憶を修正しながら読んでいるような気持ちになりました。「ノルウェイの森」が手元になくても、どこが変わってるかはなんとなくわかります。

#85「殺人出産」(村田沙耶香)

今から100年前、殺人は悪だった。

「カップル」ではなく「トリプル」が当たり前になった世界。結婚と恋愛を切り離した先で、子どもを持つには。死のタイミングを自分で選ぶ不老不死の世界で、どう死ぬのか。

絶妙な設定で、数十年後に本当にこうなるのでは?と思ってしまうリアルな描写の妙な世界。村田沙耶香さんを貪り読んでしまいました。

#86「仕事と人生に効く 教養としての映画」(伊藤弘了)

映画って人生でほとんど観てこなかったけど、最近アートや産業としての映画に関心があり、手に取りました。

確かに入門書ではあったのだけど。「映画を知ってるとビジネスで話についていける」とか「大人の見方はこうではない」と、無理に映画ビギナーに迎合しすぎていてやや白けました。ある意味タイトル通りか。

とはいえ、画面の構成カットの配置の意図など映画はやはり奥が深そうだ、ということは理解できました。

#87「向田邦子ベストエッセイ」(編・向田和子)

向田邦子を読んでみたいと思っていたけど、いちばん最初に「ベストエッセイ」なんて、他人に判断を委ねたようで面白くない。目にしたときはそんな素直じゃない感情が起こった。

でも「ラクしたい」気持ちに勝てず手に取ってしまった。そしたら、やっぱりいいもんはいい。最初の2篇でもだえてました。

#88「動物農場」(ジョージ・オーウェル)

人間の支配により、農場では動物が搾取されている。人間は数だけ多く、何も生産しない。ミルクも、肉も、穀物を耕すのも動物任せ。エサは人間によって決められている。そんな環境に対し、長老のブタのスピーチによって扇動された動物たちは反乱を起こす。
しかし農場の中である若いブタが権力をもつと、再び他の動物たちは支配されていく。

私は浅学なのであとがきにあたる文章を読むまでわかりませんでしたが、1943年に書かれたこれは、スターリンの独裁を書いたもの以外に映らず、ソ連と交友のあったイギリスでは出版も拒否されていたそうです。

#89「センス・オブ・ワンダー」(レイチェル・カーソン)

海の音。草の匂い。虫の声。
『沈黙の春』で著名なレイチェル・カーソンの遺作。

レイチェルが最も伝えたかったのは、すべての子どもが生まれながらに持っている「センス・オブ・ワンダー」、つまり「神秘さや不思議さに目を見はる感性」を、いつまでも失わないでほしいという願いだった。そのために必要なことは、「わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる」ことだという。
ー(引用:あまり頼りたくなかったけど Amazonの紹介文...)

子どものときの「なぜ」や、「探索したい」気持ちってずーーっと忘れたくない。「センス・オブ・ワンダー」という言葉を心に持っていたいなと思います。

#90「美女と野球」(リリー・フランキー)

個人的に現代版村上春樹(村上春樹も現代に生きてますが)だと思っている長谷川リョーさんの、さらに師匠が「とりあえず読め」と言った本だったとのことだったので、買ってみました。

リョーさんがオリジナリティについて書いていたときに引用されていたのだけど、読んでみたら下ネタだらけでした。「東京タワー 〜オカンん僕と、時々、オトン〜」は大泣きするほど好きだったので、ちょっとゲンメツ。笑
文章自体は確かに面白いです。

#91「わたしは本屋が好きでした」(永江朗)

本屋の流通のしくみについて知りたくて買いました。

本屋さんって、自分の好きな本を仕入れて並べているのかと思ったら、大半の本屋さんではそうではないらしい。知ってましたか?
出版社が発行した本を、取次という本専門の卸が、実績に応じて配本しているんだそうです。全国の書店1万店舗のうち、大抵の本は初版が5,000~8,000冊。配本は売上規模に応じて割り当てられるため、半分の中小書店には新刊が並ばないことが普通だそうです。

もちろん自分で選んだ本だけを仕入れている本屋「も、ある」そうです。本屋はもっと主体的に売りたい本を売るべきだと、著者は述べています。

おわりに

2021年も残り3か月。あと9冊で100冊なので、おすすめの本があればぜひ教えてください。

#2021年の100冊 は何とか達成できそうなので、書く方も始めました。



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