フライドポテト
フライドポテトは、車で、ひとりで食べるのがいい。
ドリンクはホルダーに差す。メインはハンバーガーだが、最初に食べるのは絶対にポテトでなければならない。
楕円柱状の紙容器から、一番上のポテトを一本引き抜く。他のポテトがこぼれないように気を付けて。
端から口に運ぶ。ポテトは食感を楽しむものだ。
端は少し焦げていて、かりっとしている。中心に近づくにつれ、外はさっくりした歯ざわり、中は熱くほくほくとして細いながらじゃがいもの存在感を残している。
次いで塩味が舌を刺激する。しかしびりびりするような感覚はない。
考えてみれば、これはなぜだ?
自宅でポテトを揚げ、塩をまぶす。これも美味いのだが、なぜか塩味を強く感じてしまう。
これは自論だが、塩の粒子の細かさと油の良し悪しがそうさせるのではないか。塩が偏らず、かつ油臭さが少ないと美味いポテトになるのではないか。
車内はフライドポテトの香りで満ちているが、私はそれに気づかない。
ラジオから流れてくる音楽も、束の間意識の外にある。
一粒の雨がフロントガラスを叩く音で意識は現実へと戻ってくる。
見れば、東の空は真っ黒な雲が覆っている。
あそこから徐々に、雨がまぶされていく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?