タイムマシン

私の机がタイムマシンになった。

といっても、受信しかできない。気が付くと10年後からの手紙が入っている。

最初は悪戯だろうと無視していたが、「返信」することで確証を得た。手紙は未来から届いている。

「返信」の方法は向こうから提案されたものだ。学校図書館内の指示された本の指示されたページに返事を挟む。おおよそ忘れられたような本ばかりで、実際に10年忘れられたあと開かれる。

向こう曰く、事前に「返信」が挟まっていないか確認すると失敗してしまうようだった。よって同じ本は使えない。

内容は他愛のないものばかりだった。正門脇の木は8年後に風で倒れてしまうこと。10年前のテストの回答はわからないこと。そんなことばかり話した。未来についてたくさん尋ねたが、どうやら重要な事柄について書くと失敗してしまうらしい。

私たちは、写真を送りあうようになる。使い捨てカメラを初めて使った。お互いの特徴がわかる写真では失敗してしまうため、風景ばかりだ。

10年を挟んで同じ日に、同じ場所で同じ飲み物を飲んだ。向こうは土曜日だったから、私服だろうか。

薄暗くなるまでそこにいて、写真を撮って帰った。新しい使い捨てカメラが要る。

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