我が愛犬との猟

朝起きると外は真っ白である。ここは立科、けっこう雪は積もっている。雪景色を見て、これはけっこうとひとり大声で喜ぶ筆者であった。なぜならウサギや鳥の足跡がハッキリ見えるから、どの辺にいるかよくわかるのである。今日は山鳥を狙う事としょう。筆者はプリプリに張り切ったのである。しかし我が自慢の愛犬は今日も行くの、苦労なこってとゆう顔をしてのろのろと犬小屋から出て、上目遣いに筆者を見る。筆者は百年犬を養うは今日のためであるとゆう顔をして鎖を引っ張るのである。山に入ると小さな沢を直登する。辺り1面カラマツ林でシーンと静まり返っている。もちろん人っ子ひとりいない冬山の雪の森の中である。暗い。こんな時、雪女が出るのでないだろうか。後ろから耳元でふうと息を吹き掛けられたらどうしょう。一瞬足がすくむ。愛犬は振り返って足が震えてがんすよと言いたげだ。ざけんな、はよ探せとゆう。と、急に愛犬が尻尾を振り出し、地面に顔をつけ嗅ぎ回り始めた。鳥の臭いをとったのだ。かなり嗅ぎ回っている。臭いが強いのだ。愛犬がいやすでとゆう顔でこっちを見る。大丈夫でがんすかとゆう顔をしている。OKおめえになめられてたまるか。1発で撃ち落としてやるからはよ出せとうながす。と、愛犬がポイントしたと同時に山鳥の雄鳥が尾の物凄い長いのが前方20メートルぐらいから飛び上がった。ゴト、ゴト、ゴト。しめたとパッと引き金の側についている安全装置を外し、銃を頬に着ける。もろた。パン、肩に強い衝撃が来る。谷間にいやにばかでかく発砲音が響く。落ちたろ、が、山鳥は期待に反してしれっと飛んでいる。うそ、2発目ガーン、山じゅうに発砲音が轟く。オーマイゴット、羽毛すら飛び散らない。見事な長い尾の山鳥が飛んで行く。しかもますます元気に飛んで行く。それを眺めるだけの筆者。遥か遠くを自在に飛ぶ山鳥が下手くそ、バカめ、ケ、ケ、ケ、ケ、ケ、と言ってるようで腹が立つ。逃がした鳥は大きかった。愛犬はと見ると、そばの藪から顔を出して、やれやれとゆう顔をして、ため息をついて下を向く。筆者は前の枝に当たって弾がいかなかったんだ、俺の腕じゃねえと言い返してやる。その日はそれで山鳥を見た最後だった。

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