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小田和正「キラキラ」

いきなり出だしから、音がキラキラしている。

一番最初にこの曲を聴いた時に。

「音って目に見えるんだ!」とビックリした。

この曲の始まりでは、川の水面に光が降り注いで、煌めいているのが見えてくる。

そして。

この曲が耳に流れ込んだ途端に、どうしたってワクワクするのは。

2002年の冬に放送された「恋ノチカラ」というドラマと無関係ではなくて。

今まで観てきたドラマの中で、ダントツに大好きだったドラマが「恋ノチカラ」だった。

お話は、深津絵里さんが、堤真一さんが立ち上げたCMのコピーの会社に、勘違いで就職するところから始まる。

当時、イケ散らかしていた坂口憲二さんと、可愛さ真っ盛りの矢田亜希子さんの美男美女コンビも華やかにサイドストーリーを支えていて。

毎週木曜日22時には、欠かすことなく正座をして、テレビの前を陣取っていたことを思い出す。

このドラマの放送中には「絶対に私に話しかけんじゃあねぇ!」と背中で語って、テレビの中に体を突っ込むように観ていた。

ドラマが始まったと思ったら、あっという間に終わってしまう現象。

どうして、そんなにもハマっていたのかな。


私の憧れの職業だった、コピーライターのお仕事が出てくるということも、私がこのドラマにハマった理由のひとつだけど。

才能ある人を、コツコツと丁寧な事務のお仕事で支える深津絵里さんの役柄に、自分と重ねていたようにも思う。

当時、29歳だった私。

就職活動の際には、いつだって「頑張る人を応援したいです」と熱く語っていた。

自分の中から、やりたいことは全然出てこなくて。

周りの人たちが、みんな、前向きでキラキラして見えて。

せめて、そんな人たちのお役に立ちたい、と必死で思っていた。


結婚はしていたけれど、まだ子どもはいなくて。

何者にもなれない自分に、焦っていた時期でもあった。

だから、今では考えられないほど、ドラマをたくさん観ていて。

ドラマの中に、自分と重ねられる登場人物を見つけると、代わりに頑張ってもらっているような気持ちがしていた。


おっと。

ドラマ「恋ノチカラ」の素敵さだけで、話が終わってしまいそうなので。

小田和正さまの曲についても、話をしよう。

この曲の歌詞は、今回、初めて歌詞カードで読んでみた。

幾重にも行ってきた断捨離を潜り抜けて、「キラキラ」のCDが残っていた。

何度も何度も聴いているから、曲がかかると、自然と口ずさんでいたけれど。

あらためて歌詞を読んでみて、「恋」の曲だったんだなと再認識。

そりゃそうだ。

「恋ノチカラ」の主題歌だものね。

恋から遠ざかって久しい今の私には、歌詞は特に響かなかったけれど。

横文字がひとつも使われていない歌詞は、日本語好きな私にはたまらなくて。

美しい高音の小田和正さまの声とメロディは、やっぱり「好き」でしかなくて。

ドラマと同様に、聴き始めたと思ったら、あっという間に終わってしまう。

そして、また聴きたくなって、再生回数を増やすことに貢献してしまう。

この曲を聴くたびに、「恋ノチカラ」の名シーンが次々と脳内のスクリーンに映し出されていく。

ああ、そうか。

この曲は「恋ノチカラ」を観ていた29歳の私へ会いに行くためのタイムマシンだったんだな。

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