わたしが綺麗だったころ

茨木のり子さんの詩、「わたしが綺麗だったころ」。「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」と銘打たれた詩集に収録されているものです。

永遠の詩 (全8巻)2 茨木のり子 https://amzn.asia/d/2P6yZtV

とても力強い言葉に心を揺さぶられる詩集なのです。(オススメです)

『わたしが綺麗だったころ』は戦争で、平和な時代だと謳歌できるはずのことを経験しないまま、でも力強く貪欲に明るく生きる様が伝わってくる。とにかくどの詩にもポジティブなエネルギーがみなぎっているのだ。

ふと振り返ると自分はどうか。

わたしが綺麗だったころ
わたしは、、、平和な世に生まれて、
なのに
死と隣り合わせだった
生きるとは何か
生命とは何か
自分の存在とは何か
そもそも自分は存在しているのか

楽しいとは
幻想なのか
何故人は笑うのか
を考えていた

迷子のエネルギーは
自分を蝕み
周りを困惑させ
さらに苦く
痛くなって
戻ってくる

ただの弱さなのに
正当化して
自分にも
自分以外のすべてにも
いつも怒っていた

わたしがまだ綺麗だったころ
どんなに悔しい思いをしても
笑っている人がいた

戸惑って
はじめは怒り
つぎに議論し
やがて理解を試みた

10年が過ぎ
自分だけ
こだわっていたのだと

幸せを
みつけられるのは
自分だけなのに
不幸に
しがみついていたのは
自分だけだったのだと気づく

教えようとしてくれてありがとう
正しさを振りかざしてごめんなさい
教えてくれてありがとう

わたしが綺麗だったころ
わたしは今の方が綺麗になれたと思う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?