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3. スケートボードと文化創造館と秋田のまち
その日・その時・その場に集った人がゆるやかに語り合う場「カタルバー」というプログラムが秋田市文化創造館にはある。文化創造館のスタッフがホスト(店主)を務めることもあれば、一般の方が一日店主としてやりたいことを小さく実践してみる場としても解放している。
6月15日(水)の夕方に、私自身が店主となって「スケートボードと文化創造館と秋田のまち」をテーマにカタルバーを開催した。
当初は、スケーターやスケートボードを応援する人と、(できれば)そうでもない人とが少人数でも集まって、文化創造館の敷地内におけるスケートボードとそれに対する苦情について緩やかに話し合う場が開ければ、と構想していた。集まった人同士の語りを促すための小道具として、なぜスケートボードを触ったことすらない私が、店主としてこのテーマでカタルバーをホストしようと思ったか、その想いをまとめた「メニュー表」を準備したりもしていた。
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ところが、前日に出た新聞記事の反響が見る間に大きくなり、想定していた会場だと全員入りきらないかもと、大慌てで前夜に新たな会場レイアウトを考えたりしながら当日を迎えた。
▼ 秋田魁新報に掲載された記事
対話のはじまり
当日集まったのは、スケーターや町内会長、市議会議員やスケートボードに関心をもつ方、自治体職員や新聞記者など、総勢40名。狭い会場がいっぱいになった。
事前の脳内シミュレーションでは、テーブルに置いたメニュー表をきっかけに、集まった人たちがポツポツと語り出す想定だったのに、開店と同時に店主が口火を切るのを待っているアツい視線を全方位から感じ、仕方なく以前作ったプレゼン資料を引っ張り出して、現状やそれに対する想いを一気にしゃべり倒した。
そこから、一人、また一人と口を開き、ようやく場が回り出す。
参加したスケーターからは「どこで滑っても排除される経験を繰り返してきた」、「そうならないように自分たちでルールを整備している。それでも、どうしても守らない人たちが出てくる」、「スケボー=迷惑と見られていて、対話や交渉の糸口がない」といった苦しい経験談が共有された。
その他にも、前日に開催された市議会の一般質問でスケートパーク整備について質問をした市議から、市とのやり取りについての情報共有があったり、「スケボーに対して、果たして大多数の人がネガティブなイメージをもっているのだろうか。そもそも好意をもっているものについて、積極的にその感情を発信するものではない」というような指摘があったり、「この状況は子育てと似ている。乳幼児の鳴き声で近所に迷惑をかけるのではないかと過剰に心配したり、それが杞憂だったり」という意見もあった。
店主が場を回さなくても大丈夫になったな、と気を抜きかけたところで、「で、この場をどうしたいんですか」と水を向けられてしまった。
冒頭にも断ったつもりだったのだが、このカタルバーは、何か合意形成をはかるためにひらいた場ではなく、この場をどうするかは参加する人次第であると、最初から考えていた。私が答えを導くことはしないし、してはならないというのが自分の中での決め事でもあった。そもそも、答えなどもっていない。その応答に、参加した人が納得したかはわからないが、その後も白熱した議論がつづき、終了予定時間を大幅に超えて散会となった。
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後になって、この場に参加してくれた数名のスケーターたちは、批判の集中砲火を浴びる覚悟で来てくれていたのだと聞いた。
それを知って、帰り際に声をかけてくれたスケーターの一人の言葉が、ズンと重みを増している。
「スケートボードに対してこういう反応を示す人たちってはじめてで、文化創造館の人たちって変わってますね」
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