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スーパー歌舞伎Ⅱオグリが歌舞伎初心者にぴったりな理由


博多座で開幕し、3月には京都の南座でも公演が行われるスーパー歌舞伎Ⅱオグリについて、歌舞伎に興味が無い人ほど行ってほしい、というお話です。

歌舞伎に全く興味がなかったのに、オグリの魅力にとりつかれて最終的に3回も見てしまった私が、どれだけ最高すぎる舞台なのかをお伝えします。
「歌舞伎に一度は行ってみたいけど機会が無い」という方にこそ、絶好の機会だと言いたくて、ポイントをおさえつつ、魅力をお伝えします。

【もくじ】

1.歌舞伎を知らない人ほど楽しめる

2.惜しみない演出

3.歌舞伎ならではの技法も知れる

4.独特な衣装

5.話の深さとメッセージ性

6.公演情報


1.歌舞伎を知らない人ほど楽しめる

まず、予習なしでわかる現代語での上演なので、時代劇を見ているみたいにスムーズに理解ができます。
これこそ、スーパー歌舞伎が初めて観る歌舞伎にぴったりな理由なんです。
そして、この後詳細もお伝えしますが、古典の歌舞伎ではありえない、でも現代人にとっては楽しい演出というのがてんこ盛り。
だから、伝統を知っている人は違和感を感じてしまうかもしれないけど、何も知らない歌舞伎初心者だからこそ、純粋に楽しめる仕掛けがたくさんなんです。

もし最初から古典なんて見たら予習必須だし、演目によっては寝てしまったりして、「自分には歌舞伎は合わない」と感じてしまうかもしれません。
実際そういう体験をして歌舞伎無理と思っている方にも、リベンジをしてほしい作品になっています。

2.惜しみない演出

まず歌舞伎は元々、「日本のミュージカル」と言われるほど、三味線や浄瑠璃、太鼓など音楽を使用しているんですが、スーパー歌舞伎はステレオ音楽も使用することで、クラブみたいになる瞬間もあり、それに合わせてダンスやアクロバットも繰り広げられるんです。

さらに巨大な映像やプロジェクションマッピングを駆使したダイナミックな演出。これは数十年前、三代目市川猿之助さん(当代の市川猿翁さん)が同じオグリをやった時にはイメージがあったけど技術が追いつかなくてできなかったと言われる演出。
猿翁さんの夢がかなった瞬間なんです、、、!
とはいえ、まあここまではミュージカルや演劇でも取り入れられている演出ですよね。

ただこれだけではなくて、「本水」と呼ばれる水を使った演出があって、これも今上演されているウエストサイドストーリーでもありますが、オグリは約10トンもの大量の噴水なんです。
本当にあの迫力はすごい。水の壁ができるんですよ!!その壁の中から役者さんがうわっと出てくる。
こんなびしょ濡れになるのって雨に唄えばだけだと思いますけど、あれは舞台の最後でやるけど、オグリでは真ん中でやるんです。
つまり、もう一度濡れた衣装やかつらやメイクを直してふつうに出てこなきゃいけないんですよ。
すごいしですよね。そして本当にかっこいい。

あとは、宙乗りで3階席までフライングしてくれたり、花吹雪が舞い散ったり、あとは光り輝くスーパーリストバンドをつけて、みんなで一緒に歓喜の舞を踊って、一体感を感じることもできます!

3.歌舞伎ならではの技法も知れる

ここまでの話で、「え、じゃあそれって歌舞伎じゃなくもよくない?(-。- )」と思ったそこのあなた、待ってください!!
歌舞伎ならではの技法もたくさんあるんです。

まず「附け打ち」。これは板をたたいて人が歩く音や殺陣の効果音にするものなんですが、生音なのにそのボリュームがすごい!
あと、歌舞伎役者さんは全員生声なんです。ステレオに慣れた私たちからすると、声ってこんな響くんだ、とか、いろんな発見があります。
あと馬が出てきたり、2階席まで届くほどの高さに梯子を登ったり、伝統的な歌舞伎だからこそできる技法がもりだくさん。
あとは、「見得を切る」というのも見たことある人いると思いますが、あれがどういうことなのか、というのもよくわかります。私は無駄に感動して泣いてしまいました。

4.見たこと無い衣装

まあみなさんご想像のとおり、着物は着物なんです。
ただいろんな工夫がされていて、フードがついていたり、スパンコールもりもりだったり、光ったり、細かい工夫がたくさん!
大勢の人が出てくるシーンでも、一人一人衣装が違ったりメイクが違ったり、これは何度見ても楽しめる理由の一つ。飽きないんです。

一番わかりやすいので言うと、主演のお一人中村隼人さんのオグリはドレッドヘアになっています。

5.話の内容とメッセージ性

演出がすごい、ということはわかったけど、この前のキャッツみたいにストーリーは微妙なんじゃ?と思う方へ言いたい。

深いです。

そもそも主役の小栗判官というのは伝説上の人物で、これを主人公として日本の中世以降に伝承されてきた物語。
そう、数百年も語り継がれている物語なんです。
それだけ、物語の奥深さやメッセージ性が強い話なんですね。
でも、それだけにメッセージがちょっと古い部分もあったので、それを現代の人々に刺さるメッセージに変えているんです。こういう進化をいとわない、時代に合った歌舞伎というのもスーパー歌舞伎の特徴なんです!(よね?猿之助さん!!)

あらすじとしては、元々人からの信頼も厚く、リーダー的な存在で、組織にも属さず、自由に生きてきた小栗判官が一度殺されてしまい、地獄で閻魔大王様に出会って、もう一度生き返るんだけど、自分では歩くことすらできない餓鬼阿弥という状態で生き返る。
そこでいろんな人の助けや愛を受けて、本当の自由、人生の喜び、生きる意味を学ぶ、という話なんです。
ちょっと言葉足らずすぎて申し訳ないくらい。
これはオグリを見ることで、オグリと共に学んでほしいと思います。

6.公演情報

博多座 2月25日まで
A席 18,000円
特B席 14,000円
B席 10,000円
C席 6,000円

南座 2020年3月4日(水)~26日(木)
特別席 18,000円
1等席 17,000円
2等席A 10,000円
2等席B 8,500円
3等席 5,500円

上演時間:4時間

まとめていうと「やばかった」になってしまうのですが、「見ないと損」というのはこのことだな、と本当に思っています。

同内容の動画はこちら。私の興奮具合が伝わると思います。笑

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