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わからない あなたとのあいだ あなたとのしゃべりかた
いろんなこと それは山場とか峠とか波とかそういうものでもあったように思うし 言ってしまえば正念場のようなものですらあった気がする
それを乗り越えた というのも違うかもしれないけど 少なくともそこに居着くことはなく なんとかして今の 今というのはそのときどきにとっての今 ふたりになってきた
でもこのたびの 今回のことはなんか違う気がする 私の気は未だずっしり重い 電話で話した そこではまたおしゃべりができた ということになっている あえて仲直りと呼んでみたりもした またいっしょにいたりしゃべったりしようね ということになった
こういうときでも私は邪推する 私が電話しようと言わなければ あのまま私としゃべるのが億劫なまま あなたは無理やり言葉を絞り出すように 私に話しているのではないメッセージを私に送り続けて そのうち疲れてしまっていたかもしれない
私はあの状況がいやだったから抜け出したかった けどあなたはどうだったのかわからない あのままでいたとしたら あなたはそこを抜け出したいと思っただろうか
私はいつもいろんなことをあなたに話したかった それはこのひとになら話したいとか このひとなら分かるだろうとか そういうのもあって
ずっと なにかあればあなたに話したくなって なにもなくてもなにか思ったことはあなたに聞いてほしかった
今はもう 話していいこととそうじゃないこと がある気がして でもその見分けがつかないから なに話していいかわかんない でも 話すことなくなっちゃった って言われたくないよもう こわい あなたに見限られるのがこわい 私の底が知れて がっかりするとか 飽きるとか そうならないために必死になっていること自体が 自分の浅さの証明になっている気がして 全部を悪いことに結びつけようとしてしまう
こういうことも全部 本当はあなたに話したい けどこれはあなたの話 あなたとの話 あなたに向かう話 なのか私が勝手に渦中でぐちゃぐちゃやってるだけの話なのか それはもうわからない でもこれはもうあなたには話せないことになってしまった というのは分かる

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