佐藤裕樹 Yuki Sato

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制作と批評。忌憚のないご感想をお持ちしております。ご依頼などは、youkisatou at gmail.com までご連絡下さい。Bluesky :https://bsky.app/profile/satoyuki.bsky.social

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ケリー・ライカート論 「ショーイング・アップ」と「ファースト・カウ」

欠乏しているものを欲するあまり、現にあるものを台無しにしてはならない。 現にあるものも、われわれの願い求めているものであることを、 考慮せねばならない。 エピクロス 「教説と手紙」 1、パン職人と、彫刻家? 2023年に開催された「小津安二郎生誕120年記念シンポジウム “SHOULDERS OF GIANTS”」に登壇する為に初来日したケリー・ライカート監督は、「TIFF Times」によるインタビューで、最新作の「ショーイング・アップ」について 次のように語ってい

    • 中平卓馬を讃える( 「火 / 氾濫 」展について)

      あらゆる事物の平等性。果物鉢も、自分の息子も、サント・ヴィクトワール山も、 同じ眼と同じ魂で描くセザンヌ。                 「シネマトグラフ覚書」ロベール・ブレッソン アッジェの視線はひとえに直進する、だが直進ギリギリの涯に立ち上がる世界の闇その謎を今度は受け入れようというのだ。 アッジェの写真にみいればみいるほどひきずりこまれてゆくあの不安、 事物の明確で克明な輪郭、それが明確であればあるほど逆に不確かなものに 変じてゆくこれらの事物。世界そのものの不可解

      • 現代性とは何か? 「ドライブ・マイ・カー」と「ワーニャ伯父さん」(2021年執筆)

        『ドライブ・マイ・カー』で西島秀俊演じる舞台演出家・俳優の家福悠介が、映画の中で上演 する2つの舞台作品をどのように演出しているのかに焦点を当てながら、『ドライブ・マイ・ カー』について解き明かして行きたい。 この映画のなかで家福悠介が演出・主演を手がけるのは、サミュエル・ベケットの『ゴドーを持ちながら』とアントン・チェーホフの『ワーニャ伯父さん』である。 『ワーニャ伯父さん』は1899年にモスクワ芸術座で初演、『ゴドーを待ちながら』は1953年に ロジェ・ブラン演出により、

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