エヴァと私の25年間
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||を観た。
そしたら、私とエヴァとのことを記しておきたくなったので、ここに書くことにする。
エヴァとの出会いは15歳、高校1年生のとき。当時の彼氏に激推しされて視たと記憶している。リア充である。でもこの彼氏と付き合うきっかけは確かSa・Ga2だったと記憶している。ただのオタクである。
エヴァブームはクラス中に広まった。私の地元ではテレ東の局はなく(※今もない)、当然エヴァも放映されていなかった。であるが、件の彼氏が東京のイトコに録画してもらったVHSがクラス中で回覧そしてダビングされまくっていた。うちの実家にもそのVHSがたぶんまだある。
当時私は寮に入っていたので、週末に家に帰るたびにエヴァを観ていた。寮に戻るとビデオは観られないので、フィルムブックを購入して隅から隅まで読んだ。たぶんこれも実家にまだあるであろう。あと寮の部屋のドアには手作りの第三使徒の紙粘土フィギュアもどき(ド下手)を飾っていた。こんな物を飾るのを許してくれた同室の子には感謝しかない。またあるときは国語の授業で安部公房の「壁」が題材になり、「各自『壁』を題材に作文を書くように」と言われたので「心の壁」というタイトルを冠した作文を全力で書いた。結果、良かった作文のひとつとして先生に朗読され、事情を知るクラスの友人たちはクスクスと忍び笑いしていた。
このブームが起こっていたのはうちのクラスだけではなかった。学年がひとつ上(つまり高2だ)の先輩方の間でも凄まじいエヴァブームが訪れていた。
ちなみにこの「エヴァにはまった」人たちは何故か多くが同じ部活に所属していた。高校では珍しい、管弦楽部である。彼氏も私も当然ながらここに所属していた。音楽とアニメは親和性が高い(のか?)。
上の学年の先輩方は、体育祭でエヴァとパトレイバーの仮装をしていた。その時の被り物(ダンボールのハリボテ)は何年も何年も(我々が卒業したあとも)部室に飾ってあった。さすがにもうないだろうか。
そうこうしてるうちにTVシリーズは終わり、旧劇が公開された。我々部活のメンバーは「皆でエヴァ観に行こうぜ!!!」とよく分からんノリで街に出かけた。オープンしたばかりの水族館に行ってから映画に行く計画だった(県がばれるね)。水族館では、団体料金の人数にあと2名足りなかったので、そこらのカップル(赤の他人である)を誘ってまんまと団体料金で入場した。そのときの領収書、「管弦楽部」でなく「管弦学部」になってたなあ。
水族館、楽しかったはずだがあんまり覚えていない。ただただ青く、人が多かった。
で、EoEを観た。
今ではあり得ないだろうが、立ち見だった。
手すりに掴まって、映画を観た。あまりにも衝撃だったのか、その後のことは覚えていない。
ただこのころ教育実習の先生が東大からやってきて、「なぜシンジはアスカの首を締めたのか」について問いかけてきたことを覚えている。思ったことを答えると「まだまだ考察が足りんな……」的なことを言われた。せっかくだから先生の考察を聞かせてもらえば良かった。
まあそんなこんなで私の高校生活はエヴァだらけだった。なんなら名前まで使徒の名で呼ばれていた。ああそういえばミサトさんの服を真似したりアスカの髪型を真似したりしていた。思い出すのも恥ずかしい、と言いたいところだが今はそれすらいい想い出である。(ということにしておく。)
新劇がはじまったのは、社会人になってからだった。
序を観に行ったときの感想は
「TVシリーズより切り口がクッキリした!」
だった。破ではさらにカッコよさが増した。
Qは、皆の評価は散々だったが私は妙に気に入った。気に入ったのでわざわざ宇部まで行って2回目を観に行った。
そして8年ちょいが経つ。
その間に私は結婚し(披露宴ではQの曲を流した。カヲルくんとの連弾のアレである)子どもを産み、その子が年長になる。
同じくエヴァ好きだった会社の後輩は、会社を辞めた。
年賀状だけは毎年送りあっている。ひとこと添えられたメッセージはいつもふたりとも決まって「:||はまだですかね……」だった。(※一回だけ私からは「シン・ゴジラみた??」だったことがある)
2021年3月16日、有休を取って、映画館にいった。
謎のおじさんが壁に向かってずっと
「しーーん えゔぁんげりおーーーん…」
と唸っていた。なにがあったのだろうか。
とりあえず私は席を予約した。目線の高さの中央席が取れた。
で、:||を観た。
カッコ良さが爆上がっていた。
そして、とても優しいエヴァだった。
TVシリーズ、旧劇、新劇と観てきてよかった、と思った。
むっちゃ泣いた。
エンディングが終わっても、しばらく誰も席を立たなかった。
パンフを買おうと売り場を訪れると、小学生くらいの少年が「エヴァしか勝たん エヴァしか勝たん」とつぶやいていた。お父さんかお母さんの影響だろうか。少年は25年間待たなくていいのか。それはうれしいことか、それとも。
私は
25年間、自分のそばにエヴァがあってよかった。
後輩への年賀状に「:||観た???」と送るのが待ち遠しい。
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