見出し画像

【PJCS2024本戦】スタン偽装トリパ【最終52位/R1590(9-2)】

【はじめに】

こんにちは、ユウキです。
この度、4/21に開催された「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2024本戦」を勝ち抜き、念願のライブ大会及び世界大会WCS2024の出場権を獲得することが出来ました。
ここ最近命を削って全力でポケモン考察・練習に取り組んでいたので、良い結果に繋がり非常に嬉しく思います。

本記事では、PJCS本戦の使用構築について詳細に記します。
初めてnoteで記事を公開しますが、本文は無料です(投げ銭方式です)。
レギュレーションFにおける私の考察の全てを気合入れて書きましたので、是非最後までお読み頂けると嬉しいです。


【パーティ】

PJCS2024本戦使用構築

【戦績】

勝敗:9勝2敗
勝率:81.8%
レート:最終1590.658
順位:52位/438名
→ライブ大会「PJCS2024」決勝&WCS2024出場権獲得

最終順位

【本戦に持ち込む構築タイプ考察】

まず、今回どのような思考回路を経て本構築を組むに至ったかについて記す。
本項目はこのゲームにおける本質的な部分になるので、ルールを問わず参考にして頂けるのではないかと思う。

●本戦を勝ち抜くには

予選の激戦を勝ち抜いた猛者だけが集うPJCS本戦ともなると、出場者同士の実力が拮抗しており、選出・立ち回りだけで大きな差をつけるのは難しい。
では、そんな厳しい環境で上位を目指す為にはどんなアプローチがあるか。

(A)圧倒的な練度でねじ伏せる
(B)運要素を多く取り入れて上振れを狙う
(C)構築段階で差をつける

本戦を抜けるような人にはこの中のいずれか、もしくは複数が当てはまると考えている。
それぞれについてもう少し詳しく述べる。

(A)圧倒的な練度でねじ伏せる
トップメタと言われるような汎用的な並びの構築で、情報バレを気にせずとにかく沢山練習することでプレイヤーのプレイングスキル(練度)を極限まで高めて勝ち切るというアプローチ。
ランクマッチにおけるナークさんの取り組み方が最たる例で、TNを隠さずに型バレも気にせずパーティを回しまくることで、多少尖った要素があったとしても再戦の多い上位相手には筒抜け状態となるが、全ての情報をオープンにしたとしても勝ち切れるだけの圧倒的練度で勝負する、という作戦だ。
WCSでは「オープンチームシート制」が取り入れられている為、構築の中身が割れていても勝てる状態を作るのが世界チャンピオンを目指す上では理想である。個人的にもこのタイプのプレイヤーには憧れを抱くし、目標にしている。

(B)運要素を多く取り入れて上振れを狙う
「実力差がほとんどないのであれば、運要素で勝敗が傾くことも多い」という考え方のもと、その運要素が自分側に有利に働くような確率引っ掛けを多めに取り入れて勝ちを手繰り寄せるアプローチ。
雪パーティは吹雪の凍結や雪隠れによる運勝ちを狙える代表例だろう。
ただし上手く構築を組まないと催眠術や眠り粉、絶対零度等のリスクがある技も採用することになり、安定した勝利とは対極に位置するギャンブル的な要素も多く含む為、当日の運によっては全然勝ち切れないことも覚悟しなければならない。
レモネードさんは「運が良い」では片付けられないレベルで複数の実績を残しており、レモネード流という独自の流派を確立している。構築パワーを落とさずに上振れ要素を盛り込めればそれがベストであり、ある意味では当日の運だけでなく構築力も試されるアプローチかもしれない。

(C)構築段階で差をつける
対戦相手が強いのは分かり切っているので、対戦が開始してから行う選出・立ち回りや対戦中の運要素で差を付けようとするのではなく、それ以前の構築段階で差をつけて勝てる仕組みを作るアプローチ。
完全に環境のメタから外れた構築を使って相手に正しい対処をさせないとか、初見殺しギミックで逃げ切る、というのが当てはまる。
最近見た中ではポケパラ2023の優勝者、るみさんの毒寿司は「構築段階で差をつける」「相手と同じ土俵で戦わない」という理想を体現した構築であり、会場の配信でパーティを見た時に感動した。

毒寿司

参考:【ポケモンパラレルアリーナ2023優勝】耐久重視合体毒寿司

●自己評価と方針選択

私自身、自分のプレイヤーとしてのステータスは「構築力>プレイング>運」という自己評価である。
昔から人とは少し違う変な構築を生み出しては結果を残してきた類のプレイヤーなので、少なからず構築力には自信がある。
ただしこれは人によって変わる部分なので、自分の強み・弱みを理解した上で握る構築タイプを選択するのが重要。
スタートラインを間違えて自分に適性のない選択をするとかなり遠回りになってしまう為、限られた時間で結果を残したいのであればここは慎重に判断したい。
私は長年の経験からそこには迷いがなかった為、今回は(C)を考察の始点とした。

自分の運に自信がないので(B)を積極的に狙えるような構築タイプは選択しなかったが、環境予測という側面では運勝ちを狙える雪パのような構築タイプの使い手が普段以上に増える可能性がある、ということは勿論考慮していた。

以上の考察より、下記のコンセプトを掲げて構築を組んだ。

【コンセプト】

①スタンダード構築に偽装したトリパ
②スタンダード構築とのハイブリッド
③命中安定で固める

①スタンダード構築に偽装したトリパ

●構築段階で差をつけろ!
クローズドBo1形式のインターネット大会において、「読まれないトリパ」は非常に強力かつ有効なコンセプトである。
相手の意識外から素早さ有利を取って大きなアドバンテージを稼ぐことが出来れば、あとはそのまま逃げ切りを狙える。
特に「相手の虚を突く」とか「上級者特有の知識量の多さを逆用する」というアプローチは非常に有効であり、自分より格上の選手相手にも勝てる可能性を上げられる。

●ガチトリパではなく、偽装トリパが良い
鈍足高火力アタッカーで固めたガチトリパも強力だが、パーティの見た目があからさま過ぎると相手側も選出段階でこちらのプランを分かった上で選出・立ち回りを練って来る為、比較的容易に対策されてしまう。
いくらトリパが環境に刺さっていたとしても、こちらの狙いがバレバレでは上級者相手には相当の練度が必要で、当日の運にもある程度恵まれないと勝ち切れないのは過去の経験より明らかだった。
しかし逆に考えると、選出段階でこちらの狙いを一切悟られなければ、トリル展開をあっさり通せる可能性も上がる。
そこで、見た目からはトリパとは断定されないようにスタンダードな構築の並びでトリックルーム展開を狙う、「スタン偽装トリパ」の形を目指した。

②スタンダード構築とのハイブリッド

●構築の強さ+プレイの強さを引き出せる構築に
偽装の目的に沿ってパーティを構成するポケモン達はなるべく使用率・汎用性の高いポケモン達で固め、並びからトリパだと悟られにくくすることを心掛けた。
「見た目をスタンに寄せる」という目的が出発点ではあったが、各ポケモンの型を実際にスタンのパーツとして運用しても違和感なく戦えるよう選定することで、選出やプランの幅を増やすことを意識して構築を仕上げた。
構築のトリル依存度を下げ、初見殺しの一発芸頼りではなく、これまでに培って来たスタン構築を扱う練度でもしっかり勝負出来るようにした。

●スタン構築としての強度
実際、本大会で11試合行った内トリル展開を行ったのは4回だけであり、残りの7回は普通のスタン構築として相手に合わせて柔軟に出し方を変えて立ち回り勝負をした。
結果だけ見れば「普通のスタンにワンポイント初見殺し要素でトリルも入っただけの構築」とも捉えられるが、一応構築の組み始め自体はトリルからスタートしているので、本記事では便宜上「トリパ」と呼んで紹介している。
しかしこの構築の本質はトリル展開・スタン展開どちらが主軸とも言える、ハイブリッドな構築だということは伝えておきたい。

③命中安定で固める

●運用に安定感のある構築
メインウェポンは全て命中100で固め、パーティ全体でも命中100未満はゴリランダーの「10まんばりき」のみ。馬力はサブウェポンであり撃つ回数は決して多くない上これも命中95なので、基本的に技外しに怯えずに安定した試合運びが可能な構築に仕上げることが出来た。
様々なプランを取るべきスタン構築においては命中率が低い技があると技外しによって途中でのプラン変更を余儀なくされたり、試合展開によってはリスクを避けてプレイングが歪んだりする可能性がある。
全ての技が高命中率であれば先の試合展開を見据えやすく、プレイも的確に行いやすい。

●命中の安定は心の安定
全国大会や世界大会のように出場者同士の実力差が少ない場においては、勝ち切る為にはある程度上振れも必要なので「つららおとし」や「ねっぷう」、時には「うたう」や「ぜったいれいど」等の低命中技も躊躇わず採用するべき、という考え方もあるにはある。

しかしそれは自分の実力不足を補える側面だけでなく、勝ち試合を負けにしてしまうリスクも当然ながら孕んでいる。
そして私が最も警戒しているのは技外しによる負けが及ぼすメンタルへの悪影響である。
「外して負けたのは命中不安技を採用した自分が悪い」と割り切って、負けの凹みをその試合だけで済ませることが出来れば良いが、人間はそう簡単に切り替えられる生き物ではない。
例えば本戦のボーダーチャレンジの勝ち濃厚試合を技外しによって落としてしまった場合、試合数や時間が残っていたとしてもそこから切り替えて次の試合をフラットな精神状態で行えるかと問われると、非常に難しいように思う。
運負けをすると「日頃の行いが悪かったのかな」「今日は俺の日じゃなかったのか」のような不毛な思考・精神状態に陥ったり、正確な敗因の分析・反省の妨げとなってしまう。
命中が安定した構築を使って技外し以外で負けたのであれば反省点も明確で、不要な落ち込みをせずにしっかり切り替えて次の試合に進める。

【構築背景】

●原型は純粋なスタン

実は本戦で使用した構築は、第2回予選で使用して予選抜けを達成した下記のスタン構築がベースとなっている。

悪シャインサーフ全力スタン

構築の経緯や内容詳細は後日別記事にガッツリ書く予定だが、一旦ここでも簡単に解説する。
構築名の通りサーフゴーを軸として組み始めたスタン構築で、取り巻きのガオガエン+ゴリランダー+水オーガポンのサイクルで悪巧み+マジカルシャインサーフゴーを全力介護して全抜きを狙うコンセプトだ。
第2回予選におけるサーフゴーの選出回数も全30戦中27回と、まさにサーフゴーを中心にした構築にふさわしい活躍っぷりであった。
この時に使っていたハバカミは構築の6匹目に入ってきた補完枠。S180で凍える風が入っており、トリルはあくまで追風への切り返しに使う程度のサブプランであったが、上手く追風にトリルを合わせた時の展開有利の強固さにはかなり手応えを感じていた。

●悪巧みシャインサーフゴー開発秘話

第1回予選終了直後(2月上旬)にサーフゴーの考察をしている際、技一覧を眺めていたらマジカルシャインを見つけ、「フェアリーテラスするならタイプ一致になるし、従来打点を持ちにくくて苦労するガオガエンに対してダメージ稼ぎやすいから強いのでは?」と思い至り、実際試運転したらすごく強かった。
この時点では悪巧み型と言えば「ゴルラ/シャドボ/悪巧み/守る@残飯」がテンプレでマジカルシャインの採用率はメガネを含めても相当低く、悪巧み+マジカルシャインの組み合わせに至っては当時他の使用者と当たったことすらなかったので、「最強秘密兵器思いついちゃった」と手応えを感じていた。実際環境に刺さりまくっており、予選を抜けられたのはこのサーフゴーの型を思いつくことが出来たからで、間違いなく隠れた勝ち馬ポケモンだった。

更に、第2回予選終了時点では下記が流行の兆しを見せていた。
・電磁波(挑発、噓泣き)ハバタクカミ
・スケイルショットカイリュー
・ガラルサンダー
・雪パーティ

サーフゴーは奇跡的にこの全てに対して高い水準で有利を取れることから、しばらくはサーフゴーが勝ち馬となる可能性を予期していた。
その為、第2回予選が終了した時点ではこの型のサーフゴーに関する情報は一切公開せず、本戦まで隠し通して持ち込む展開も見据えつつ考察を続けていた。

以下、この背景を踏まえた上で本戦用構築を1から組む際にどのように思考していたかを記す。

【構築経緯】

①トリルカミ
コンセプトに記した通りスタン偽装トリパとして組み始めるので、まずは読まれないトリル使いの代表格としてハバタクカミを採用。
ハバタクカミのトリックルームは

・所持率が低く初見ではケアしにくい
・並びから型の判別が難しい
・持ち物が発動しない(ブーストエナジーでない)場合、真っ先に眼鏡を警戒しなければならない
 =初動で圧力を掛けられる為その隙にトリルを決めやすい
・C135族なのでトリル成功後の攻撃性能も申し分ない

と言った観点から、特にクローズド環境では非常に強い技という評価である。
第2回予選でもタスキトリルカミを採用していたが、サブプランながら確かな手応えを感じており、軸にすることにした。
今度はトリル展開を軸にしたいので積極的に使えるよう、最遅ハバタクカミとした。
このポケモンを起点に、不意の素早さ有利を押し付けて行く構築を組み立てる。

②ガオガエン
スタン構築に欠かせないパーツであり、偽装するにも実際にトリル補佐をするにもうってつけなので即採用。

・威嚇でハバタクカミの不足気味な物理耐久を補える
・猫騙し+トリックルームの動きを狙える
・捨て台詞で裏のエースアタッカーの降臨も狙える
・適度に遅くて火力も高めなのでトリルアタッカーにもなれる
・スタンダード構築のパーツとしても違和感がない
(スタン偽装に役立つ&普通にスタンパとして運用出来る)

③悪ウーラオス
ここまでではせっかくトリルを決めたとしても決定力不足なので、少ないターンで相手を効率良く殲滅する為のエースアタッカーを探す。
ベースとなった「悪シャインサーフ全力スタン」でも使用しており感触が良かった鉢巻き悪ラオスを採用。

・守る/見切り貫通でトリルターン稼ぎを許さない
・暗黒強打の一貫性の高さで効率的に相手を殲滅
・並びを工夫することで水ラオスに偽装出来る
 =選出段階で悪の一貫切りを意識させにくい
・トリルがなくても不意打ちで戦って行ける

④タケルライコ
悪ラオスがトリルエースにしては少し早めなので、もう少し遅くて火力のあるアタッカーを基本選出の4枠目に添えたい。使用率が高いポケモンの中で適任を探したところ、タケルライコが最適だと判断した。

・高い特攻と低い素早さでトリルアタッカーとしての資質が高い
・迅雷があるのでトリル切れ後も狩り残しを倒せる
・並びを工夫することで瞑想ライコに偽装出来る
 =瞬間火力のある型を想定されにくい
・サーフゴーと同居させることで双方の型の誤認を狙える(詳細は後述)

⑤ゴリランダー
ゴリランダーは長く使い慣れたポケモンでもあり、使用率上位で汎用性の塊なのでスタンには半ば思考停止で入って来るポケモンだが、ここまでで本パーティに足りていない要素を綺麗に満たしてくれるので自然に採用出来た。

・ゴリラガエンのサイクルがもたらす安定感
・ライコを残飯瞑想型(夜マックライコ)に偽装出来る
・猫トリルのパーツとしても強い(ガエンより火力が出る)
・イエッサン入りに対してフィールドを奪える→ライコラオスと自身の先制技を通せる
・ここまでで重めなハバタクカミに強い貴重なコマ
・グラスメイカーでパーティに一貫気味な地震耐性を付与出来る

⑥サーフゴー
さて、ここまでで大枠は完成したと見せかけて実は構築としては全然欠陥だらけだった。
トリパとして組み始めた本構築だが、実はこの5匹ではガオガエンとモロバレルがめちゃくちゃ重い。
明確にこれらに強い原種ガチグマのようなトリルエースを採用すると構築の見た目がスタンではなくトリパになってしまい狙いがバレバレになるので、スタンとしての見た目に拘らなければならない。
ガエンより遅くてバレルでも止まらない鈍足アタッカーを使用率上位且つスタンにいて違和感がないポケモン縛りで探すのは無理そうだったので、これらがいるパーティに対してはトリル展開ではなくスタン展開で張り合うことに。
「相手にガオガエンがいたらトリル展開をあきらめる」なんてトリパとして見たら欠陥構築も良いところだが、本構築はガチトリパではなくスタンとしても扱えるという点が強みなので、W猫騙しの潤沢なサポート役と組み合わせて相手のサイクルを破壊する積みエースを探す。

当初は炎オーガポン(剣の舞+地団駄)を使用していた。
ガエンバレルだけでなくガエンゴリラ+瞑想ライコも崩しに行ける。
ゴリラと組めばグラスラで先制技も撃てる。

しかしながら結局
・ガオガエンに対して威嚇+捨て台詞を回されると剣の舞を複数回積まないと火力が出ず中々攻撃に移れない
・モロバレルの胞子無効は偉いがヘドロ爆弾で致命傷を負うので起点にしづらい
・猫騙し+水流連打ですぐ倒れる
という要素が辛く、相手を崩し切る前にこちらが倒れることが多かったので没に。

これらの問題点を解決するべく、再度悪巧みサーフゴーに頼ることに。
・威嚇も捨て台詞も無効でガエンに対して少ない手数で火力を出せる
・モロバレルのウェポンを気にせず起点に出来る
・猫騙し無効なのでサイクルの中で猫+ウーラオスに封殺されにくい

かつては最初に採用した軸であったサーフゴーが、今回は補完枠として最後に入ってきたのは面白い。
以上で6匹が決定した。長くなったが、以下に個別解説を行う。

【個別解説】

■水ハバタクカミ@きあいのタスキ 古代活性
ムーンフォース/マジカルシャイン/シャドーボール/トリックルーム

●配分
冷静161-**-77-205-155-126
244-0-12-252-0-0
・水テラス時A200水ラオスの鉢巻き水流連打耐え(126-147ダメ)
・水テラス時A200水ラオスの水テラ雫水流連打99.91%耐え(135-162ダメ)
・C最大
・Wシャインで165-86ブリジュラス96.4%で2発
・水テラス時C187カミのムンフォ+C205ユイの眼鏡熱風高確率耐え
・水テラス時C187カミのフェアテラ眼鏡ムンフォ+C187ユイの熱風高確率耐え
・S最遅

無振りトルネロス(S131)に対してトリル選択が裏目にならない最遅で採用。
トリル後の制圧力を考慮すると特攻はなるべく高い方が良いので振り切り。
当初は長らくBCベースでA200水流連打も耐える配分(炎テラス)を使用していたが、強化アイテムや水テラスがあるとどうせ耐えないので、それらを考慮すると水ラオスの前で絶対動きたい時は水テラスが必要になる。
水テラスにするならBは無振りでもある程度テラスで補えるとし、それ以外のあらゆる集中攻撃に対する耐久力を向上させるHCベースの水テラスに変更しても良いのではと大会前日に思い付き、急遽変更した。
カミイーユイやカミトルネのような特殊2枚のアタッカーから受ける攻撃を耐えきってトリル出来る可能性が飛躍的に向上した。

●技構成
トリルカミを使う上で無難な4つ。
範囲技のマジカルシャインと単体最高火力のムーンフォースは明確に使い分ける場面が存在する為、守るを切ってでも両採用したかった。
トリルさえ決めてしまえば自分が後手に回ることがない性能なので、きちんと運用出来れば守るの使いどころはあまりない。
トリルアタッカーにしてはこれでも速過ぎる部類で相手の中速アタッカーに抜かれることもある為、倒されて裏のラオスやライコを出せるのであればその方が良いとも考えられる。

●持ち物
追風サーフゴーの眼鏡ゴールドラッシュやカミの眼鏡シャドボ等に対してテラスを温存しつつトリルを狙えるようタスキ。あらゆる対面で想定外のことが起きた際の保険になり、展開の安定感が増す。

●テラスタイプ:水
元はカミユイを強く意識した炎で水流連打耐えだったが、猫騙しで止められない強化アイテム持ち水ラオス(イエッサン、リキキリン、隠密水テラス等)に対してカミガエン(ゴリラ)の先発でテラストリルをしたい場面があったので水に変更した。他にもタキオンカッターやゴールドラッシュ等の鋼技にも耐性がつくのが偉い。炎耐性のお陰でカミユイの集中も大体耐える。


■草ガオガエン@ゴツゴツメット 威嚇 
フレアドライブ/叩き落とす/捨て台詞/猫騙し

●配分
意地っ張り202-169-111-**-116-88
252-148-4-0-44-60
・207-111ゴリランダーをフレドラで1発
・叩きで197-97キリン1発
・フレドラで188-121草(鋼)テラスウーラオス1発
・A(-1)フレドラ+ムンフォで174-111-101ランドロス確定
・A172パオのステラ聖剣15/16耐え
・A205(+1)ドドゲザンのけたぐり耐え
・C187カミのフェアテラ眼鏡ムンフォ15/16耐え
・S2倍時に最速化身ランド抜きガエン+3

当初は腕白耐久振りのサポート専門で使っていたが、カミ+ガエンの初手でトリルサポートをする選出をした際、2ターン目以降に攻撃性能が不足しているとトリルターンを浪費してしまうのが気になっていた。
元々防御方面はオボンの実込みで「すいりゅうれんだ」を耐える部分に大きなメリットを感じていた部分が大きく、持ち物をゴツゴツメットにした時点で腕白の旨味は薄れていたのもあり、思い切って意地っ張り攻撃振りに変更。
構築との相性を考えるとこれが最適な選択で、綺麗にハマって良く機能してくれた。
また、防御を落としたことで初手サーフゴーとの並びで相手のポリゴン2のDL上昇をA上昇にさせることが出来るメリットも。

●技構成
・フレアドライブ/猫騙し
ガオガエンの基本技。攻撃技は反動があってもフレアドライブ一択。威力の高さが段違い。トリル展開時は自主退場を狙える点もメリットになる。

・叩き落とす
トリルアタッカーとして高威力かつ高一貫性の技なので採用。攻撃振りと併せて意外と馬鹿にならない火力が出て、カイリューやホムラ、エンテイ等にしっかり打点を出せるのが偉かった。
勿論相手のアイテムを落とす追加効果により火力を削いだり回復ソースを奪ったり、型や努力値配分を予測するヒントを得たり出来るのも高評価。

・捨て台詞
スタン選出時の運用でサーフゴーの起点を作ったりサイクルを回すのに欠かせない技。
であると同時に、トリル選出時も余裕があれば後攻捨て台詞+トリルから展開して裏のエースを無償降臨させる動きが狙えたり、トリル下で先制捨て台詞で被ダメを抑えつつ無理やり裏のエースを出す動きも狙えたりと幅広い用途があった。

●持ち物
当初オボン→ゴツメに変更。
vsパオ水ラオス系統への勝率が悪かったことから対策を相談したところ、ぺかちうさんに頂いたアイデア。
襷パオの処理に掛かる手数が減り味方の負担が格段に軽くなった。水ラオスに対しても無駄死にしないどころか草テラスと併せて返り討ちにするシーンもあり、非常に強力なアイテムだった。

●テラスタイプ:草
元タイプの弱点である水耐性、地面耐性があり補完に優れる。
主にvs水ラオスや寿司、バレルの胞子耐性付与を評価して選択


■霊ウーラオス(一撃)@拘り鉢巻 不可視の拳
暗黒強打/インファイト/不意打ち/アイアンヘッド

●配分
意地っ張り197-200-120-**-91-117
172-252-0-0-84-0
・強打で175-112ランドロス(A-1ガチグマの空元気15/16耐え)を14/16で1発
・不意打ちで131-91カミ(A189パオの災い不意打ち耐え)を15/16で1発
・アイへでHB特化カミ(162-117)を12/16で1発
・アイへで193-94ニンフを15/16で1発

・A189パオの不意打ち(ゴテラ時)15/16耐え
・A172パオの珠聖剣14/16耐え
・A211(-1)カイナのインファ耐え
・A200水ラオスの鉢巻水流連打耐え

・C177トルネのW木枯らし耐え
・C167ランドの珠大地耐え
・C183ランドの珠大地13/16耐え
・C187カミの眼鏡ムンフォ(ゴテラ時)耐え
・C194アルマの晴れ珠熱風15/16耐え
・C203サーフゴーの眼鏡ラッシュ15/16耐え
・C161フリーザーの氷テラス眼鏡吹雪耐え
・C116イエッサンメスのフェアテラシャイン15/16耐え
・C168キリンのシャイン耐え
・C177ミナモの晴れ珠スチーム14/16耐え

その名の通り全てを一撃で貫くため攻撃を最大にし、残りは特殊耐久を中心に耐久面を重視した配分。
トリルアタッカーとしては遅い方が良いので、ミラーでほぼ上を取れるよう素早さ無振り。
勇敢にすると通常時に速いライコやゴリラに抜かれるのが不便だったので、敢えて下げることはしなかった。
このぐらいあればほとんどのライコゴリラの上を取れるので絶妙なラインだった。

●技構成
・暗黒強打/インファイト/不意打ち
基本的な構成なので説明不要。

・アイアンヘッド
サブウェポンにはフェアリー意識でアイアンヘッドを選択。
同じくフェアリーに抜群の毒突きも候補だと思うが、相手のハバタクカミが暗黒強打を半減する為にフェアリーテラスして来る場合があり、テラス前後で一貫して抜群を取れることを評価した。
また、アローラキュウコンの4倍弱点を突けたり、隣のフリーザーにもテラス前後で一貫した打点になる点でも毒技より使いどころがある。
不一致80技で拘って困った盤面になっても、上から撃てば3割で怯ませて解決出来る点も強力。

●持ち物
一撃の重みを増して相手を少ないターンで破壊する拘り鉢巻。
技の一貫性が高い悪ウーラオスと噛み合いの良いアイテムだと考えている。
見切り+猫サイクルも強いが、それ以上に鉢巻による破壊性能が便利なマッチングが多々存在する。
(例:ウガツホムラを2発で破壊、ドゲザを耐性テラスされても2発+ガエンの攻撃圏内、ディンラッシャ、合体ヘイラッシャetc)

●テラスタイプ:ゴースト
主に初手でガオガエン等の猫騙しをスカせるとイージーウィンを狙える場面があるので、その為に採用。
トリル中に猫騙しを受けたくない時の選択肢にもなる他、厄介なレジスチルやジャラランガのような鉄壁ボディプレス勢から突破されなくなるのも非常に強い。
ゴテラ水ラオスなるものも世の中には存在しているが、こちらはテラス前がゴースト半減なので耐性面での噛み合いは悪の方が偉い。


■妖タケルライコ@ブーストエナジー 古代活性
10万ボルト/迅雷/龍の波動/守る

●配分
控え目227-**-117-207-109-90
212-0-44-252-0-0

・HP16n+3(GFで14回復)
・HP227=B+D(226)に近い

・A172パオの氷柱落とし耐え
・C198カミのムンフォ14/16耐え

・ミラー意識でトリル時ほぼ確実に先制(S個体値20のまま)
・通常時味方ガオガエン抜き

トリルエースなので素早さは低めに設定し、ミラーで上を取れるように。
スタン選出時も最低限ガエンを抜ければいいということで、素早さに王冠を使わず実数値90。
高い火力と耐久力を両立し、トリル時も非トリル時も高い殴り合い性能を発揮出来る。

●技構成
・10万ボルト
瞑想型では触れなかったイエッサンやリキキリンに強くなれる他、連打出来る技としては龍の波動より威力が高いので使用感が非常に良いメインウェポンだった。

・迅雷
トリル切れ後に先手を取りたい時、トリル中に相手の不意打ちより先に相手を倒したい時、トリルを失敗した時、スタン選出で被ダメージを抑えたい時、と非常に多くの用途があった。読まれると弱いが抜けない技だと感じた。

・龍の波動
この型の場合流星群との選択になるが、基本後発での運用がメインで、トリル後にラオスライコで2~3匹倒し切らなければならないケースも多々ある中で反動を解除出来る術がない為流星群は不適切だった。
連打出来る上にエナジーのお陰で火力も充分。

・守る
トリル展開時はあまり撃たないが、スタン選出時には猫サイクルと併せてこの技があることで様々な立ち回りが可能になる為必須に感じた。

●持ち物
登場時に持ち物がバレない(瞑想ライコやチョッキライコの可能性を示唆出来る)点を評価して、当初は命の珠を持たせていた。
調整途中、珠化身ランドを構築に入れた形を試した際に仕方なくブーストエナジーにしたが、高い耐久を削らないメリットの方が持ち物がバレるデメリットを上回ると判断する程度には使用感が良かったのでこちらに変更。
コータス入りに対してタダ乗りすると珠+古代活性で物凄い火力を出せるメリットもあるがあまり頻度は高くないし、珠ダメージがないお陰で殴り勝つ試合もあったのでこれで正解だったと思う。
基本後発で出す為、一度出して引っ込める立ち回りが気持ち的にしにくいというデメリットを感じる場面もなかった。

●テラスタイプ:フェアリー
当初はデフォルトの電気にしていた。攻撃面が補強される上に弱点も一部減らせる為この型と噛み合いの良いテラスではあったものの、ただでさえきつい地面の一貫を切れないのがどうしても気になったので変更を検討。
ランドロスに弱くなり過ぎない虫も試したが、あまりにピンポイントで有効に切れる場面がなく、最終的に弱点が少なくてドラゴン耐性等も手に入るフェアリーという無難な選択に。
このポケモン自体が数値が高く等倍以下なら大体の相手と殴り合いを成立させられる為、一致抜群のような致命傷を避ける場面でしか切ることはなく、そういった用途であれば裏目が少ない最適なテラスだった。


■炎ゴリランダー@チョッキ グラスメイカー
ウッドハンマー/グラススライダー/10万馬力/猫騙し

●配分
意地っ張り207-176-111-**-107-106
252-116-4-0-132-4

・153-101カミをGFウドハンで確定
・131-100ユイを馬力で13/16で1発

・C150コータスの晴れ噴火15/16耐え
・C167ランドの毒テラ珠ヘドロ爆弾14/16耐え
・C182(+1)キラフロルのヘドロ爆弾耐え
・C194アルマのアーマーキャノン耐え
・C194アルマの晴れ珠熱風61%耐え
・C205ユイの珠熱風14/16耐え
・C187ユイの炎テラス熱風耐え
・C205ユイの炎テラス熱風10/16耐え
・C187ユイの眼鏡熱風10/16耐え
・C205ガチグマのノマテラ珠ブラムン15/16耐え
・C187カミの眼鏡ムンフォGF1回込み2発94%耐え
・C207(+1)ライコの竜の波動GF1回込み2発98%耐え

眼鏡ハバタクカミが重い構築であり、強引な後投げを視野に入れやすくなるようDを高めに設定した配分を使用。
攻撃面は最低限の値だが、これでも威嚇さえ入らなければ充分高いのでトリルアタッカーとしても先制技スイーパーとしてもしっかり役割を遂行してくれる。
サブウェポンに蜻蛉を採用する場合はゴリラミラーで先制する旨味があるので素早さを上げたいが、今回は馬力としたので素早さは最低限。トリル下での運用を考えるとこれで良い。

●技構成
・ウッドハンマー/猫騙し
ゴリランダーの本体。特にウドハンの瞬間火力の高さがクッションやサポーターとしては破格で、場合によってトリルエースとしても運用可能なのが強かった。

・グラススライダー
便利な先制技。素早さ操作がトリルしかない為、この技により素早さ不足を補えるのは大きい。対ガチトリパや追風でも役立つ。

・10万馬力
サブウェポン枠。蜻蛉との選択で悩んだ。
カミゴリラで並んだ際にムンフォ半減の炎・鋼・毒を殴れるのが偉いのと、晴れパに出した際にコータスやエンテイ、ライコ、毒や鋼テラスしたミナモ等に抜群を取れるのが大きい為馬力を選択。

●持ち物
主に眼鏡カミやイエッサン系トリルに繰り出す際のクッション性能を高める突撃チョッキ。
攻撃技のみで強い構成に出来る為汎用性が高く、この持ち物が余っているなら基本持たせたいポケモン。
今回もイエアルマのガチトリルに対して、アシレの眼鏡シャイン+アルマの珠熱風を耐える大活躍を見せた。

●テラスタイプ:炎
弱点の氷と炎を半減しつつ、カミのフェアリー技にも耐性を付けられる炎。
無難過ぎて読まれやすいが、他のタイプを試す気にもならないぐらい噛み合っているのでそのまま。
特に苦手なコータス入りの晴れパーティに対して抗えるようになるのは大きい。


■妖サーフゴー@オボンの実 黄金の体
ゴールドラッシュ/マジカルシャイン/悪巧み/守る

●配分
控えめ194-**-116-187-112-119
252-0-4-132-4-116

・HP2n(カタストロフィでオボン発動)

・A142ホムラのヒートスタンプ14/16耐え
・A172パオジアンの鬱憤晴らし13/16耐え
・A172パオジアンの不意打ち耐え
・A200水ウーラオスの雨神秘の雫水流連打99.98%耐え
・A200水ウーラオスの珠水テラ水流連打耐え
・A138ガオガエンのフレアドライブ耐え

・C(+2)フェアテラWシャインで232-110ライコ15/16で1発
・C(+2)フェアテラWシャインで202-125ガエンまで2発
・C(+2)フェアテラWシャインで212-119(44)ホムラまで2発
・フェアテラWシャインでD81ウーラオスに156-186ダメージ
A169ガエンの災い猫で28-34ダメージ
合計184-220 184-121-81まで倒せる
・C(+2)ラッシュで196-101ランドロス12/16で1発

・フェアテラ時C167化身ランドの珠ヘドロ爆弾12/16耐え
・C205ハバタクカミのシャドボ14/16耐え
・フェアテラ時C171ハバタクカミのフェアテラメガネムンフォ15/16耐え

・速めのライコS113(S-1化身ランドロス抜き)+6
・S4振りウーラオス+1

相手のガエンバレルライコ系統のサイクルを少ない手数で破壊する為に高めの特攻ライン設定。
素早さを高めにすることで瞑想ライコやゴリランダー、チョッキウーラオス等の上を取りたい。
素早さを上げるとトリル運用との噛み合いが悪く見えるが、トリルアタッカーとして繰り出す回数は多くはない上、これでも充分遅いので困ることはなかった。

●技構成
・ゴールドラッシュ/悪巧み/守る
積んでいくサーフゴーのテンプレ構成。猫サイクルと併せて複数回悪巧みを積んで行く。

・マジカルシャイン
一般的な構成ではシャドーボールが採用される枠。
この技の強みは従来の鋼+ゴーストの範囲では等倍以上で殴れないガオガエン、ドドゲザンに対して等倍で殴れる点。これらのポケモンを見ても選出を躊躇わずに済むのは大きな強みとなる。特にガオガエン絡みのサイクルは炎枠のガエン、水タイプ(水ウーラオスや水オーガポン)以外でサーフゴーの攻撃に耐性を用意するのが難しく、そこにマジカルシャインが等倍以上で通るのが偉い。環境における炎枠のトップシェアが1位ガオガエン、2位ウガツホムラ、3位イーユイと軒並みフェアリー等倍なお陰で、フェアリー技の一貫性が高い構築は存外多い。
加えて、瞑想型を含むタケルライコに対して強弱関係を逆転させるだけのパワーがあるのが特徴。瞑想ライコはサーフゴーがフェアテラすると迅雷以外通らないので基本サーフゴーをしばらく触れず、その隙に複数回悪巧みを積むこと自体が容易である。そしてライコ側は悪巧みサーフゴーのマジカルシャインを初見では警戒出来ないことが多く、また存在を知っていたとしてもフェアリー抜群を消す為にフェアリーテラスすると今度はゴールドラッシュが抜群になってしまう為基本的にはサーフゴーの前でテラスは切りたくなく、抜群マジカルシャインが直撃して隣のガオガエン諸共致命傷を負う。この動きで多くのライコ入りをカモって来た。

また、範囲技であるためシャドーボールと違って守る択に付き合う必要がないのも偉い。
ゴールドラッシュのいなしかたとして片方守る+片方を鋼耐性に交代という動きがあるが、マジカルシャインであれば片方守るをされても困らないし特攻も下がらない為安定して連打出来る。一度積んでしまえば確実に詰めの盤面に移行出来るのが非常に強力だと感じた。

●持ち物
当初は食べ残しだったが、途中でガエンをゴツメにしてオボンが余ったのもありオボンに変更。
粘り強く戦える食べ残しの回復も魅力ではあるが、サーフゴーは瞑想ライコとは違って耐久方面は上昇せず、更に悪巧み+範囲技による超火力で早期に相手を崩して行くことが可能な為、夜マック回復による長期戦を毎回する必要はない。
むしろオボンの実の方が即効性があり、2匹からの集中攻撃を耐える可能性が上がったり、水ウーラオスの雨乞い+神秘の雫水流連打等にも行動権を残せる点が特に評価出来る。
こちらも良く機能したので予選から変えて正解だった。

●テラスタイプ:フェアリー
弱点の悪技を半減に出来る為、悪ラオスやガエンの叩きを起点に出来るようになるフェアリー。
耐性テラスとしては弱点も少なく、フェアリーの弱点である鋼と毒には元のタイプが強いので噛み合いも良い。
更に今回は攻撃面でもマジカルシャインの威力がタイプ一致になるというオマケ付きなので、攻防一体の強いテラスの使い方が出来た。

★DL調整
・ガエンサーフ
B111+B116=B227/D116+D112=D228
B<DなのでDLでA上昇

・ゴリラサーフ
B111+B116=B227/D107+D112=D219
B>DなのでDLでC上昇

・ガエンゴリラ
B111+B111=B222/D116+D107=D223
B<DなのでDLでA上昇

特にガエンサーフでポリ2入りに対しては戦うことが多いので調整を施した。
C上昇されても勝てる程度には構築相性が良いが、A上昇にさせて威嚇で即打ち消すことで有利盤面を盤石なものに出来る。

【選出・プラン】

●トリル選出 vsアグロ系、追風、ガエン抜きスタン
先発:ガオガエンorゴリランダー+ハバタクカミ
後発:ウーラオス+タケルライコ

本構築最強の出し方。これが出せた時の勝率は非常に高い。
一応基本選出として紹介したいが、相手にガエンも鈍足もいない場合は稀なので選出率自体は低め。
初手でこちらのカミのブーストエナジーが発動しないのを見た相手は、使用率的には真っ先に拘り眼鏡を警戒しなければならない。相手目線ではガオガエンの初手猫騙しを拒否出来ない並びの場合、両方動かすといきなり猫+眼鏡ムンフォで無償で1匹倒される危険性もある為、慎重に立ち回らざるを得ない。すると相手目線では一旦両守るで様子見するのが丸いが、そこに対して無償でトリルを決めることが出来れば一気にゲームを優位に進められる。実際本戦でも相手が両守るをしたところにトリルを成功させて勝てた試合があり、「スタン偽装トリパ」のコンセプトが有効に働いた。

初手は猫+トリルや攻撃+水テラストリルからスタートし、カミの高い特攻でどんどん相手に負担を掛けていく。
カミの攻撃を受けに来る鋼や毒、炎に対して隣が打点を持てるように組んでいるので攻撃を重ねて残数を一気に削って行きやすい。
フレドラ反動を駆使してこちらを倒して貰い、トリル下でラオス+ライコを並べることが出来たらほぼ勝ち。
守る貫通による鉢巻き暗黒強打の破壊力が凄まじく、1ターンに1匹は持って行ける。
ライコが詰めとして非常に強く、高い特攻から攻撃を撃ち分けられる上にトリルが切れても迅雷で狩り残しを削り切ることが出来る。
ガエンの捨て台詞の使いどころが結構オシャレで、初手で余裕のある対面や相手の行動が読み切れる場合は後攻捨て台詞+トリルで即ウーラオスを盤面に無償着地させてトリルターンを最大限活用出来る。
トリル下で上から撃つ捨て台詞も普通に強い。

●サイクル選出 vsガエン、バレル入りスタン
先発:ゴリランダー+サーフゴー
後発:ガオガエン+ウーラオスorタケルライコ

ガオガエン、モロバレル(+タケルライコ)入りのサイクルパに対してはトリル選出では簡単に勝てないので仕方なくサイクル戦を挑む。サブプランと見せかけて実際はガオガエンの使用率的に多くの場合がこちらの出し方になる。
悪巧みサーフゴーが相手のモロバレル絡みに非常に有利なので、このポケモンを中心に崩して行く。
上手く積んで行けば取り巻きのガオガエン、瞑想タケルライコ共々すべてサーフゴーでぶち抜くことが可能。
尚、サーフゴーだけで相手を倒し切れずとも猫騙し+鉢巻きウーラオスも控えている為、低速高耐久サイクルに対する崩し手段は豊富。

●vs合体寿司
先発:ガオガエン(orゴリランダー)+ハバタクカミ
後発:ウーラオス+タケルライコ

猫トリルから相手を荒らして行く。基本的にヘイラッシャ側はガエンカミの並びを見ると即合体したくなる為、そこを突いてトリル下で鉢巻暗黒強打を当てに行って崩す。
タケルライコも寿司との殴り合いにおいて非常に有利なポケモンであり、合体寿司の破壊に困ることはなかった。
強打半減のフェアリーテラスが環境から減っていたのもあり、トリル下でヘイラッシャとウーラオスを対面させれば守るも許さない為比較的簡単に崩せた。
大体の使用者がガエンゴリラのようなサイクルをメタの対象とした鈍感ヘイラッシャで、ゴテラや隠密マントで猫騙しもケアしてくる場合が多かったので、ヘイラッシャには猫騙しを撃たないよう心掛けた。

●vsディンラッシャ
先発:ゴリランダー+ウーラオス
後発:ガオガエン+サーフゴー

ウドハンとインファでディンルーとラッシャの行動権を早急に奪う構え。猫騙しを駆使すれば相手に動かれずにテラスしたヘイラッシャも処理可能。
大体の場合ディンルーにテラスを切って来るが、インファイトではなく暗黒強打を選んでおくことでテラスを無駄にさせられる。
猫ラオス自体が裏からくるホムラカイリューパオジアンのような並びにも強いのでラオスの体力を大事にしたい。
ラオスで先発を倒すか荒らしてからパオカイに有利なサーフゴーで詰める。

逆に相手の取り巻きによっては初手で欠伸無効のサーフゴーから出して崩して行き、詰めにラオスを起用するパターンもある。ラッシャが鈍感なので、有利対面から悪巧みフェアテラシャインで裏のホムラまで含めて一気に崩して行ける可能性も高い。
いずれにしても複数のプランで崩しに行ける有利マッチだと認識している。
ディンラッシャを暫く愛用していたエルムさんと事前にフレ戦をしていたお陰で本番もディンラッシャに勝つことが出来た。

●vsガラサンディンルー
先発:ゴリランダー+サーフゴー
後発:ガオガエン+ウーラオス

地味に水面下で流行っていた強い並び。
第1回予選でマッチした高レートの匿名TNがこれを使っており、クリチャディンルーにコーチングして、裏から粗茶が出て来てディンルーが暴れ続ける動きでボコボコにされて感動。すぐに「これは勝ち馬だ」と感じて真似して回した(流行し始めた雪がキツ過ぎたので少し使って断念した)。
サーフゴーがいないとスタンはガラサンが非常に辛いが、この系統とのマッチングを考慮してサーフゴーの採用を前向きに検討した背景もある程度にはサーフゴーがカギとなる。
猫騙しでディンルーを止めつつサーフゴーで悪巧みを複数回狙い、全てを一気に破壊するプランで打開する。
本戦でも一度マッチしたが、コーチングでムキムキになったディンルーをゴリラガエンでしっかり押さえつつC6段階上昇サーフゴーを爆誕させ、無事全員倒し切ることが出来た。サーフゴーが基本ガラサンから触れられないのが大きい。

●vs雪
先発:ガオガエン+ハバタクカミ
後発:ウーラオス+サーフゴー

大体の使用者がサーフゴーを見て先発に雪は投げないので、初手はサーフゴー対策で出されやすいウインディやランドロスに弱くない出し方。
トリル下でウーラオスとサーフゴーを並べて暗黒強打でサーフゴーの苦手ポケモンを倒しつつ悪巧みを積み、裏のキュウコンフリーザーをサーフゴーで破壊して行けるとベスト。
サーフゴーは吹雪耐性と回復ソースがある上にキュウコンのアンコールや金縛り、嘘泣き等の絡め手で崩される心配もないので非常に頼もしい。ガオガエンも生存していれば吹雪凍結に対してフレドラで溶かせるので多少運負けをケア出来る。

●vs晴れ
先発:ゴリランダー+ウーラオス
後発:ハバタクカミ+タケルライコ

使用者は多くないがきつめのマッチングなので調整段階ではある程度プランを練っておいた。
基本的にコータス入りに対してはトリルプランもサーフゴーも有効に働きにくいので、先制技を絡めて対面的に殴り合って行くしかない。
ゴリラの炎テラスでエンテイやホムラ、カミ、コータス等を相手に出来る為、耐性を得つつ殴れる10万馬力の採用が光るマッチング。
猫+暗黒強打で上手く相手のHPを削って裏の攻撃圏内に入れて、後発のタスキや先制技を駆使して殴り切る。

●vsガチトリパ(ガチクレセ等)
先発:ガオガエン+ウーラオス
後発:ゴリランダー+タケルライコorサーフゴー

猫+鉢巻ウーラオスで相手の残数を一気に削りに行く。大体の場合トリル役は悪弱点なのでフェアリーテラスタル等を強要出来る。すると隣に攻撃が一貫しやすくなり、トリル役を無視して殴り続ける構えが狙える(ガチグマにゴテラを切られないので猫が通る、等)
ガエンの素早さを限界まで上げておりミラーでは大体上を取れるので、良く見るガエンクレセ初手にはクレセのテラス強要までは確実。
ゴリラガエンのW猫サイクルでトリルターンを稼ぎつつトリルが切れた瞬間上からウーラオスで縛る動きを目指して立ち回る。
先制技が通るならば「グラススライダー」+「じんらい」も駆使するとトリル時に制圧されにくくなる。
コータスが不在の場合はサーフゴーの選出も有効で、悪ラオスがクレセにフェアリーテラスを切らせればゴールドラッシュを一貫させやすくなり、ガチグマのゴテラを気にせずにガチクレセの並びに対して猫サイクルでサーフゴーを悠々と動かしやすくなる。

●vsガチトリパ(イエッサン系)
先発:ウーラオス+サーフゴー
後発:ゴリランダー+ガオガエン(タケルライコ)

イエッサンがいる場合は初手からの猫サイクルがあてにならないので、初手でアタッカー2枚を並べて破壊を試みる。
大体の場合初手イエッサンの指+トリル要員なので、強打+シャドボや強打+ゴールドラッシュでイエアルマやイエブリを破壊出来る。と相手目線からは見えるのでアルマかブリのテラスを強要出来る。
初手でイエッサンを倒して残数有利を取りつつテラス権を吐かせることに成功すれば、トリルは適当に守るや交代で凌ぎつつゴリランダーのフィールド奪取からの猫騙し遅延でトリルターンを枯らせる。あとは再度鉢巻ラオスを上から通せばOK。

●vsガチトリパ(キリン系他)
先発:ウーラオス+ハバタクカミ
後発:ゴリランダー+ガオガエン(サーフゴー)

初手でハバカミを出し、トリル読みトリルやトリル返しを狙うパターンも存在する。
相手の並びによって刺さっている選択肢から選んで柔軟に対応出来る為、対トリパはかなり勝率が高かった。

【感想】

・「構築段階で差をつける」というコンセプトが上手くハマって簡単に勝てる試合は思ったよりは少なかったものの一定数はあったので、アプローチとしては間違っていなかった
・実際はスタンとして扱い立ち回り勝負をすることになる試合も多かったが、経験値で乗り切った。しっかりプレイングも磨いた甲斐があった
・シャインサーフゴーも以前程ではないが的確に刺すべき場面で刺すことが出来、活躍した
・満遍なく6匹が活躍し、無駄のない綺麗な構築に仕上げることが出来た
・環境読みやマッチングもある程度は想定通りで、事前の調査と練習が活きた
・当日のプレイングや選出に明確なミスがほとんどなかったのは非常に良く、自らの成長を感じた

【謝辞】

本構築の作成・調整にあたり、フレ戦を沢山して頂きました。
初見殺しギミックを軸とした構築である都合上、ランクマで回し過ぎるとネタバレになって良くないと考えていて対戦数は最低限に抑え、フレ戦を中心に調整を重ねました。
付き合ってくださったアカバさん、ぺかちうさん、エルムさん、ライトさんにこの場を借りて最大限の感謝を。
本当にありがとうございました。本戦を抜けられたのは間違いなく皆さんの協力のお陰です。

また、家族への感謝も勿論忘れてはなりません。
大会当日、子供達を連れて外へ出かけてくれた妻のお陰で、一人で部屋で集中出来る環境が整いました。
ナツキの応援に心を支えられ、勝っても負けても楽しもうというマインドで取り組めました。
大会を勝ち抜くことが出来たのは家族の協力があってこそでした。本当にありがとう。

そして今これを読んで下さっている皆様。SNSで私を応援して下さった皆様。
一人一人のメッセージが私の力になり、頑張ることが出来ました。
「応援」や「祝福」という意味では、ポケモン対戦のことや本戦を勝ち抜くことの難しさが肌で分かっているプレイヤーの皆さんから頂ける言葉には確かな熱量が籠っていて、家族から貰う言葉以上に力になっていました。
本当にありがとうございました。

【終わりに】

今回は構築段階から非常に多くのことを考えていた上、調整含めて沢山準備しただけあって、いつも以上に超長文になってしまいました。
基本的に構築記事を書くのは自分の取り組みを形に残しておきたいという自己満足の側面が強いのですが、詳細に記すことで次年度以降取り組み方に迷った時に自分が参考にすることも多いですし、ルールが変わっても通用する汎用的な内容もあると思うので、読んで頂いた皆さんの参考にもなれば幸いです。

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました。

●投げ銭について
私のことを応援して下さる方、本記事を読んでご満足頂き「お金を払ってもいいな」と思って下さった方がいましたら、記事購入にてご支援頂けると大変嬉しいです。
出版社や企業様の記事を書いていたライターとして、今回はいつも以上に気合を入れ、お金を頂いても恥ずかしくないクオリティの記事を書いたつもりです。
また、記事の内容に関するご意見・ご感想等のリアクションも頂けると幸いです。反応頂けることが次の記事執筆の最大のモチベーションに繋がりますので・・・!

今後ともポケモン競技・執筆活動ともに頑張って参りますので、ポケモントレーナー・ユウキをよろしくお願い致します。


(以下、記事を購入頂けた方向けの追加コンテンツとして、偽装の為の配置学について今回の構築を例に語った文章を掲載)

ここから先は

2,158字 / 3画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?