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第94回 VIP席を作ることで、お金がまわり、救われる人がたくさんいることが、なぜわからない? 徳島の阿波踊りの価値を、なぜわからない?

赤字が続く徳島「阿波踊り」に“VIP席”登場で炎上!? これぞ、日本人の「お金の知識不足」が招いた歪み。

VIP席「1万5000円」は安すぎるにも程がある


最新刊『夢と金』の深堀りをしようと思ったのですが…「何してんだよっ!」と思う出来事があったので、そちらの話題を取り上げたいと思います。

『夢と金』にも大きく関係のある話題です。

すでにニュースになっているのでキャッチアップされている方もたくさんいると思いますが…その記事は、「徳島の阿波踊りが、コロナ禍も相まって経営的にあまりよろしい状況じゃない」というところから始まってるんです。

で、今回の記事にはその部分が書かれていませんでしたが、阿波踊りって、コロナとか関係無しに、コロナ前から万年赤字体質だったんです。

主催者が銀行の借り入れによって埋め合わせてきたとか何とかで、たしか、2017年頃には累積赤字が4億円を超えていたと思います。

コロナ前は70万人ぐらいを動員する一大イベントだったのに、だけど、ずっと赤字で、去年、経費削減しまくって、ようやく300万円の黒字とかそんな感じです。

阿波踊りの運営の歪さに関しては話すとメチャクチャ長くなるので、今回は割愛させていただきますが、とにかく「お金が上手く回ってない」んです。

つまり、阿波踊りをする度に、誰かが泣いてるんです。

それがず〜っと続いていた。

これは「どげんかせんといかん!(by東国原)」ということで、今年から思い切って、有料観覧席に限定100席のVIP席を作ることにしたそうです。

ちなみに、過去の有料観覧席の一番高い席は6000円です。

そんな中、「今年は限定100席のVIP席を出す!」という大ナタを振るったそうで、その「限定100席のVIP席」の値段が、1万5000円!

イチマンゴセンエンです。

1万5000円は決して安くないですよ?

ですが、「阿波踊り」は世界中から70万人を動員するイベントで、そのVIP席です。

しかも限定100席。

これが「1万5000円」というのは、安すぎるにも程がある。

まず、このことにビックリしたんですけども、話はここからです。

この「1万5000円」に地元民から「高すぎる!」という物言いがついたんです。

その記事では、「高額チケットを地元の人が買うわけがない。県外の観光客に見せるだけの興行路線を突き進んでいる」という批判の声が取り上げてありました。

待て待て待て待て。

「阿波踊り」には県外の観光客がいるじゃん。

ずっと前から、県外どころか、国外の観光客がいるじゃん!

で、何も「全席1万5000円にする!」と言っているわけじゃないんです。

「たくさんある席のうちの100席を1万5000円にする」と言っているんです。

こういう声もありました。


65歳の女性の声です。
「今や阿波踊りは東京や大阪など全国各地で開催されている。高額なチケットを買ってまで徳島に見に来たいと思う観光客がいるのだろうか?」

お婆ちゃん、一言言わせてください。
「いる!」

で、もし、いなかったら、その席をバラしたらええ。

海外から来る人からすると、ちゃんと設計されたVIP席なら、10万円でも買います。

こないだニューヨークで「Six」というミュージカルを観ましたが一番イイ席は10万円でした。

無知な人間の正義感によって、弱い人が苦しめられる「日本」


どこまでいっても、閲覧数稼ぎの記事だから、ちょっと燃えるようなコメントを選んでいるんだと思います。

多くの方は「ニーズがあるんだったら、1万5000円の席があってもイイんじゃないの?」という考えだと思います。

というか、そう信じたい。

だけど、少なくとも「1万5000円、高い!」という反対の声はある。

これ、まさに『夢と金』で書いたことです。

VIP席でまとまった売り上げを作れたら、他を安くできるわけじゃない?

それより何より、万年赤字体質で、万年誰かを泣かし続けてきた流れに終止符を打てるわけじゃない?

「全員VIP席を買え」なんて誰も言ってないですよ。


買いたい人に買っていただいて、そのお金が、いろんなところにまわって、いろんな人を助けるんだから、それが一番イイ
じゃない?

だけど、“VIP席を買わない人達”は「高い!」「反対!」と声を上げて、それによってイベントを苦しめて、それによって、関係者を苦しめている。

そのくせ「阿波踊りは残せ〜」とか言っている。

この記事は子供達にも届くかな?

これが「日本」なんです。

で、キミたちは、こういう大人に育てられるんだよ。

無知な人間の正義感によって、弱い人が苦しめられる…こんな世界、ちっとも優しくないからな。

『夢と金』に書きました。

VIP席(VIP商品)を出そうと思ったら、その前に、お客さんのリテラシーを上げなきゃいけないんです。

「お金の流れ」を説明しなきゃいけないです。

経営者は全員分かってますが、学校でお金のことを1秒も学ばないまま大人になってしまった人のほとんどは分からないんだよ。

自分が買わない商品。

VIPに向けられて出された商品に対して「高い!」と言っちゃうの。

その結果、「本当はVIP席は5万円にしたいけど、批判されるから、1万5000円にしよう」という判断になってしまう。

その結果、誰も救われない。

この国は、こんなバカなことをいつまでやるつもりだよ。

今度、徳島に行った時に、ニュースにコメントをした65歳のお婆ちゃんを探し出して、「ちょっと勉強しな。あんたの為じゃない。子供達、孫達の為にだ」と言って『夢と金』を渡してきます。

どうか皆さんの大切な人、守りたい人、そして子供達に『夢と金』を贈って、一緒に勉強してください。

日本が好きです。

西野亮廣

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