健全な組織を作りたいって想いは、保身と出世欲の前には無力でしょ。という話。
こんにちは。ユウキです。
友人から仕事の愚痴を聞いたら、『これが大企業病だよなー』という風に思ったので記録しておきます。
友人(A君)の状況を整理しますと。
・友人は、ドメ大企業の地方支店の営業部長。営業部は同県内に複数。
・隣の営業部長(B氏)が部下の1人(Cさん)を徹底的にいじめている
・B氏の元部下のDさんから、Cさんを助けてあげられないか相談された
A君『俺の役職は営業部長で相応の権限はあるけど、さすがに隣の営業部に強権発動はできないわけで。普通に考えると、営業部長(※A君・B氏)より上位役職の支店長に相談するのが筋じゃん? パワハラ問題は会社問題。支店長も蔑ろにできないって普通思うでしょ?』
と、こんな風にヒエラルキー構造から問題を解こうとする時点で、横の関係もナナメの関係も希薄で、組織として弱くなってるなーと思うのですが。
問題理解のためにヒアリングしてたら、B氏にある仮説が立ちました。それはB氏がいじめサイコパス野郎だってことです。
・B氏は常に”いじめる対象”を1〜2人作っている。異動等で組織員が変わればいじめる対象も変える
・いじめ方法は、発言させない、仕事に不備があれば長時間指摘し続ける、公衆の場で叱責する、存在しないものとして扱う
・いじめない人には、にこやかにゴキゲンで対応
このように、1〜2人だけを、組織員全員がはっきり認識できるようにいじめると、組織を恐怖でコントロールできるようになります。いじめる対象が恐怖を感じるのはもちろん、いじめられてない人も『次のターゲットになったら、あの仕打ちが待っている…』と恐怖を感じるようになります。
いじめのターゲットにならないように、いい子ちゃんでいられるよう努力します。顧客アポや提案数、そして契約数が目標を下回らないよう必死に努力します。
いじめられている人の自己効力感はゼロですので、能力を発揮できません。当然、目標は達成できませんが、その他の部下が必死に努力できていれば、営業部の目標は達成できるので、B氏としては問題ないのです。
そんな職場は辞めたらええやん、と思うのですが、辞める人は稀だそうです。なぜなら、過去に退社申し出をした人たちは、新たなターゲットになってきたからです。申し出日から退社日まで、ずっといじめられるのです。退職代行でも使えばええやん、という意見もありますが、これまでお付き合いしていた社内外の人間関係をバッサリ切り捨てたくない、という思いには共感できます。たどり着く結論は『今年度末には異動で離れられるだろう、転職すれば収入減だし、今は動かない方が良いな』です。我慢が最適解、現状維持が一番決断コストが小さい、ということです。
ーじゃあ、やっぱり支店長が動くべきなのかね?
A君『そう思うでしょ。支店長は動かないよ。』
ーどうして?
A君『支店長はパワハラ・いじめがあっても問題ない。営業部長が数字を出してくれる方が、自身の出世につながる。もし、本社に通報があったとしても、そのときに営業部長を処分すれば自分は安泰。対応するメリットがない。』
なるほどな、と感心しました。判断基準のベースが保身と出世欲なのです。
これは私の自説なのですが…人はより良い社会にしたい、より良い組織の一員でありたいという想いを誰しもが持っていると信じています。ただし、人は自身の地位の安定・向上を圧倒的に優先するのです。そして、日本の大企業の出世ルールにおいては、保身と出世欲が強い人の方が勝ちやすいのです。
A君に言いました。
ー話してくれたことって、愚痴だったっけ?つい、解決策をアドバイスしたくなっちゃったけど、余計なお世話だった。ごめんな。
A君『いいよ。ほんとうは俺も解決してあげられたらな、って思ってる。でも何か行動すると余計な火の粉がかかってきそうだから、Dさんの相談は勘弁してほしいって思っちゃたんだよね。自分は小せぇなって嫌悪感と、そういうもんだろって開き直りがあって。板挟みだから愚痴になった。』
大企業病の病巣がどこにあるか、様々な検証ポイントがあります。この話から『保身と出世欲が強い一方で、健全な組織を作る意欲に乏しい人が、上位役職者になりやすい仕組みになっていないか?』が検証ポイントの一つだと気付きました。
健全な組織を作る人を評価し、引き上げる。人格と能力で評価する。
『そんなの、数字が命の営業組織でできるわけないだろ?』と言われるかもしれません。でも、やるべきなのです。
じゃあ、実際に評価・報酬・教育・配置制度を変革するとして、どこが難所になりそうでしょうか?
また機会があれば書きたいと思います。
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