人生の針路を決めた日

地方公務員として30年勤めてきた
気ままな性格の私にしては上出来かな

息子が大学生になり一人暮らしを始めたとき
私も大学という場で学びたい欲求にかられて
都内の大学の通信教育課程に学士入学した
これも私の気ままな性格の一端だろうな

選んだ分野は「住居学」
日々の暮らしに直結していて面白い

与えられたものを淡々とする「仕事」
自分から学びたいものを掴みに行ける「学び」
どちらが楽しくて自分好みかは一目瞭然
学びたい意欲は抑えられず膨らむばかり
ストレスフルな仕事には興味も未練もなくなった

仕事は辞めても生涯学び続けたい
そう思った矢先 実家の母が骨折して入院した
実家と私の家は50kmほど離れているので
1ヶ月半の入院期間は週二回通ったが
アドレナリンが出たのか特段苦にはならなかった

大好きな母のために自分の学びを活かしたい
大学を卒業したら大学院に進みたい
そう考えるようになった

社会人の大学院生が周りにいることもあり
情報をもらいつつ探して希望の大学院を発見した
国公立だから学費も私立よりは安い

通信ではなく通学なので仕事はもちろん退職
転居を伴うが それも辞さないつもりだった
転居先は両親の元々の出身地だったから
一緒に行くと言うならそれもありだと思っていた

でも 母は出身地に帰りたいわけではなく
唯一の希望は私との距離を縮めたいだけだった

そうか… 考えてみればそうだよね
母は父の転勤について動いていたし
出身地とは60年近くも離れているんだもの
今さら帰りたいなんて思わないかも知れないね

むしろ今の地で暮らしを築いてきて
買い物も医療もここでお世話になっている
ここで暮らしたいのも当然と言えば当然

さて 私の学びの希望はどうしようか
もちろん母のことが最優先なんだけど
やっと見つけた学びの場を諦めるのはちチト辛い
どうしたものか…

ふと思い出した
なぜ私は今学んでいる大学の大学院へ進まない?
それは私立で学費が高めなのと
大学院入試に英語のスコア提出があるからだった

でも待てよ
学費が高いと言っても転居費用はかからないから
もしかするとかかるお金はあまり差がないかも
英語はスコア提出でいいならかえってラクかも
(当日の負担が軽くて済むから)

あらためてよく見てみたら
私が学びたい分野もある それもストライクで!

私は仕事もこの地も離れたいのだろう
それはうすうす感づいていた

でも それは大好きな母を悲しませ
人生の終盤に環境の激変を味わわせてしまう
そんなことは絶対したくない

今学んでいる大学の大学院に進もう
この地を完全に離れることはないけれど
学びは続けられるし 母に負担をかけずに済む

私は人生の針路を決められた ありがとう

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