エレベーターを通れない!多胎児の育児で困ったこと

朝日新聞でこんな記事が出てた。

さて、私は4ヶ月の双子の男児がいる父親である。上には3歳の長男がいる。双子の妊娠がわかったとき、自分の運命にびっくりして、本当に驚いて、悲鳴をあげてしまった。2人目ほしいねぇ、と妻と2人で話してたことろ、2人目が細胞分裂して、2人目と3人目になった。

双子をはじめ、三つ子や四つ子、昔テレビで取り上げられた五つ子ちゃんとか、そうじて、多胎児といわれる。ちなみに、多胎の妊娠そのものが、「異常妊娠」である。文字通り、常とは異なるだけだから、ネガティブな意味合いはないけど、「異常妊娠」という4文字はなんか、ぐわっと迫ってくるものを感じる。覚悟しとけよ!みたいな圧迫感がある。

双子がわかった時点で思ったことは、「今のままじゃ無理」だった。当時は、京都に暮らしていた。僕の実家は兵庫県の片田舎で、妻の実家は千葉県の住宅地。どちらもあまりに実家が遠すぎる。双子だから、腕は4本は欲しい。ついでにまだまだ手のかかる、オムツが外れていない長男がいる。(当時は2歳でトイレトレーニングをはじめたばかり)。どうしよう、となっていたときに、折良くだかなんだか転職が決まる。勤務地は東京だ。

よし、妻の実家にお世話になろう。そんでもって、双子だから、なんだか入院とかもしないといけないらしい。切迫早産の危険性もあるみたいだ。

こんなこと書いてたら、終わらないな。ちなみにこの記事を書き始めた理由は、多胎児の支援とソフト面のことが書かれてるけど、ハード面も整えないと、ソフト面の支援だけじゃ足りないよ、ということを知って欲しかったからです。でも、双子が生まれるというだけで、単胎児より、二重も三重もハードルがあがるから、書きたいことがつきないのだ。

ハード面で特に困ったのがベビーカー問題である。いくら妻の実家にお世話になるといっても、同居するつもりはなかった。千葉の宅地に借りたマンションは見晴らしのいい6階。妊娠も順調に進んでいて、そろそろベビーカーでも準備するかと思ったときに気が付いた。

双子のベビーカーて、エレベーター乗れるの?

エレベーターの横幅は80センチ以上と定められている。マンションのエレベーターもぴったし80センチだった。一方、双子用、つまり2人乗りのベビーカーは縦に2人が並ぶものと横に2人が並ぶものがある。縦並びなら、普通の1人乗りベビーカーと横幅はそう変わらないから、大丈夫そうだ。ふぅ、と一息ついたときにまた気が付いた。

縦型だと、リクライニングができない。

例えばこの商品だって「1か月〜」と書いてあって、よくよく見たら、1ヶ月〜なのは後列だけで、前列は6ヶ月〜。もちろん需要はあるでしょう。年子とか。それに双子が成長してしまえば、出番はある。

だけど!必要とする時期は、「6ヶ月」も先じゃない!それまで、ずっと妻に家に閉じ込もらせるわけにはいかないじゃないか。

すると解決方法は、横型ベビーカーになる。これだったら、それぞれの座席が独立している。フルリクライニングできて、生後1ヶ月からいけるはず。ついでにコンビにアップリカも、横型ベビーカーはラインナップされている。長男は、コンビのベビーカーにお世話になったし。そう思って、サイトを見る。

・・・ん?幅、広くね?コンビもアップリカも、日本のメーカーだよね?

コンビの「ツインスピン」は幅80.7cm。アップリカの「ネルッコベッドツインズサーモ」は幅89cm。

エレベーターに入らないでは、ないか。どうしろというんだ。そうか。持って運べばいいんだな。きっと。双子を両脇に抱えた上で、なんとかして、べビーカーを抱える。そう、それしかない。

んなわけあるかぁぁ!

といいたいぐらいびっくりした。国産の(おそらく)2台メーカーが、出している商品が、日本の住宅需要にあってない。

どれかないのか、と思うと、ありました。国産のメーカー。

エアバギーココダブル。勝手にエアバギーの主力の三輪のベビーカーは芸能人夫婦や富裕層が使うものというイメージがあり、エアバギーは縁が遠いメーカーだと思ってました。ついでに、おしゃれさから、海外メーカーとも思ってましたが、渋谷が本社の国内メーカーてんですね。三輪のバギーとか、もう「折りたたんで公共交通機関に乗る」という概念がなさそうなんで。もちろん、公共交通機関は「ベビーカーは折りたたまずに乗せられる」と公式にアナウンスしているけど、びびりで小心者の僕たち夫婦はせっせとベビーカーをたたんで、京都市営バスと京都市営地下鉄を愛用していた。

でも、今回は、もう、そんなことはいっていられない。

エレベーターに乗れる。双子が生後1ヶ月から乗れる。この2点を叶えるのが、このエアバギーぐらいだった。

ちなみに幅71.5cmは調べた中では最狭だった。ほかにも幅80cm未満を満たすものはあったけど、実物が見られずに断念した。エアバギーだけは代々木公園の本店まで足を運び、実物を見て、双子の誕生後にネットを通じて購入した。

ベビーカーだけをとっても、これである。ちなみに、チャイルドシート問題もある。双子プラス長男のチャイルドシートを取り付けるためには、トヨタのアクアとかホンダのフィットとか、いわゆる5人乗りでは、3台のチャイルドシートが取り付けられない。じゃあ、どうするか?

買いました。3列のミニバン。トヨタ・ヴォクシー。でも、これ、前述のエアバギーも積んだら、それだけで、収納スペースがなくなっていく。赤子はオムツやら着替えやら授乳セットやら関連荷物が多いのに。本当はトヨタ・ハイエースとか日産・キャラバンにしようかとも思ったが「そんなの運転できない」と妻の声により却下した。

妻が、僕がいなくても出歩けるように。これだけのために、設備投資はかなり必要だった。「次の子のために」ととっておいた1人乗りベビーカーは、行き場をなくしている。だけど、活用もできそうだし、納戸にしまいこんでいる。

これは完全に夫側の視点である。妻から見ると、これ以上に「生まれるかどうか」「無事に育つかどうか」という不安がある。その不安をハード面でも、少しでも和らげたかった。ただ、大変だった。こんなにも、選択肢がないとは思わなかった。すべて出歩ける環境を整えるためだった。僕が家にいない間、ずっと家に閉じこもり、3人の子どもたちの相手をする。発狂したってなんらおかしくない。幸か不幸か、今は宅配買い物サービスも充実しているから、一切、家に出なくてもなんとかなってしまう。でも違うんだ。子育て中の親にとって、買い物は息抜きなんだ。理想は、両親のどちらかが、子どもを見ていて、1人で行くことだけど、たとえ子連れでも、連れ出すまでのハードルが高くても、外にでるだけで気分は変わる。

多胎児支援で家庭訪問や定期的なサポート、支援制度の紹介とさまざまある。でも、家庭訪問でも毎日、家事を手伝ってくれるわけではない。家賃支援だって、ないよりはあるほうがまし、ぐらいなもんだ。

そんな中で、画期的だと思ったのは、東京都荒川区のツインズサポートでタクシーの利用額全額助成だ。これはありがたすぎる!そう、移動が大変なんだよ、移動が。ここのハードルを下げるだけで、親の孤立化をぐっと和らげることができそう。

不妊治療が広まり、多胎児は増加しているからこそ、ハード面に目を向けた支援制度とか、あってもいいんじゃないでしょうか。ベビーカーの購入補助とか、チャイルドシートの2台目購入補助とか、です。もちろん、家庭訪問だってありがたい。悩みを言えて、すっきりした顔の妻を見ると、夫じゃ手が届かないところもある。

育児破綻しない保証はない。でも寝顔はとにかくかわいくて、双子が見つめあって動き回り、その面倒を見る長男は微笑ましくて仕方ない。不幸な家庭がひとつでも減るように。きっと助け合いの場とか欲しいんだな。これもどこにあるかわからない。あっても、出かける場所が遠すぎるとか、あるんだろうな。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?