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「風光る」読了しました

学生時代に読んでいた渡辺多恵子さんの漫画、「風光る」。あまりにも長かったので途中で追っ掛けるのを止めていたんですが、数年前に完結したと聞いて電子で最後まで読み終えました。

内容は、幕末・京の治安警備を任されていた新選組という組織に主人公のセイが女子(おなご)であることを隠して入隊し、成長していく物語。師匠である沖田総司だけは女子である事実を知っており、厳しくも優しく指導していきます。

※以下ネタバレを含みます

歴史物創作の難しいところって結末が決まっているので(史実に従うとしたら)、ほぼほぼ討死してしまうことは確定で、セイは生き残るとしてどんな風に少女漫画として落としどころをつけるんやろう?っていうのはずっと考えてて。

終盤沖田さんが労咳を患ってからは戦局も悪化してきて本当につらかった、、めちゃくちゃ泣いた。

幕末の動乱について改めて思ったのは、慶喜が敵前逃亡せずに新政府軍と戦っていたらどうなっていたのかということ。江戸へ逃げた真意はわかりませんが、一般的には朝敵になることを避けた&戦によって多くの被害が出ることを避けたと言われている。大樹公をお守りすることに命を賭けてきた新選組や会津藩の立場を思うと本当に居た堪れない。

新政府軍は鉄砲を持っていたので旧幕府軍の敗北は免れなかったと思っていたけど、新選組も鉄砲の訓練は受けていたらしいし旧幕府軍は数で圧倒的に上回っていて戦えないことはなかったらしい。ただただ無念、、。

話は沖田さんとセイに戻って。
武士(おとこ)として沖田さんの側にいて武士として散っていくことを決心していたセイに限って女子に戻って沖田さんの最期を看取ることなんてあるのか?と思っていたけどここはあっぱれ松本良順って感じで最後は沖田さんからキチンと申し込んで夫婦(めおと)になれて本当に良かった(泣)

ここまでが44巻までで。
最終巻は賛否両論あるようです。

沖田さんを看取ったセイは彼の遺髪を持って函館・五稜郭にいる土方さんの元へ行きます。役目を果たしたセイは新選組への帰隊を申し入れ、叶わぬならその場で自害すると言います。

そこで土方さんは沖田がセイを自分の元へ寄越した理由(遺言)は、セイに生きる希望を授ける為(=子作りすること)なのだと悟ります。

その後セイは妊娠、出産し、沖田さん似の男の子を育てています。

私的には土方さんとのことは未遂だと思って気にも留めてませんでしたが、皆さんの考察を読んでいるとやはり土方さんとの子どもでないと辻褄が合わない。

そこは沖田さんとの子どもで良かったのでは?と思ったけど、床に伏せっていて自分との子どもを残すのは叶わなかったけど真の武士の子どもを残すことで自分たちが存在したことの証を残して欲しいとかそういうことだったのかなあと勝手に解釈している。土方さんも最後にそんな風な言葉をセイに掛けているし。

そもそも沖田さんの遺志がそういう意味だったのか?斎藤さんが言った「沖田さんに瓜二つ」というミスリードはなんだったのか?など、少しモヤモヤが残り、作者の意図はわかりませんが、、。

それでも沖田さん亡き後の土方さんの最期まで描かれていて、史実でいうところの市村鉄之介の役をセイが引き受けるカタチでいい終わり方だったのではないかなと思う。

23年間お疲れ様でした。面白かったな〜!!


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