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時代劇文法① 補助語幹 -옵-

先日、韓国料理屋さんでこんな文章に出会いました。

혼잡시에 한해 1시간제를 적용하고 있사오니 양해 부탁드립니다.

混雑時に限り1時間制とさせていただいております。ご了承のほどお願い申し上げます。

-사오니 という接続語尾に初めて出会ったので、これについて調べてみました。

-사오니-사오--니 がくっついた形です。
また、
-사오- の元の形は -옵- という形だということがわかりました。
(-니 は「〜ので」「〜だから」: 原因・理由を表す接続語尾)

-옵-

母音語幹につく
文語体の美化補助語幹
何かを表現するときに丁重さを表す。
やや古めかしい言い方で、日常会話で使われることはほぼない。

補助語幹ってそもそも何だっけ?
例えば、尊敬を表す -시- 意志を表す -겠- 過去を表す -았- / -었- など
用言の語幹と語尾の間に挟まれるやつです。

-옵- がついてる時の訳し方は、

…いたす,…し申し上げる,…でございます

のような言葉でよく翻訳されています。
時代劇でよく使われます。

-옵- の後に何が続くの?
例えば…
-옵나이다
-옵나이까
-옵니다(-옵- と -나이다 が略合した形)
-옵니까
-옵디다(-옵- と -더이다 が略合した形)
-옵디까
-옵소서
-옵고
など
(*-나이다, -디다, -소서 などは後で解説)

例文

▶소생이 하옵나이다.
小生がいたします
▶무사히 가시옵소서.
ご無事に行かれますように
▶︎부디 백성을 버리지 말아 주옵소서.
どうか民を捨てないでくださいませ
▶︎그분은 학자이옵니다
その方は学者でござります

-옵- は母音語幹につくときの形ですが、子音語幹につくときには、-사옵-になります。
(-사옵--삽- と略されることも)

▶소신이 하겠사옵니다.
私めがいたしまする

ㄷ・ㅈ・ㅌ・ㅊで終わる子音語幹につくとき
-자옵-になることもあります。
(-자옵- は -잡- と略されることも)

▶︎부르심을 받자옵고
お呼びにあずかりまして

‘ㅂ’が‘ㄴ’, ‘ㄹ’, ‘ㅁ’の前で略されます(例外有り)
-니 がつく → -오니
-ㄹ지 がつく → -올지
-면 がつく → -오면

가(다) + 옵 + 니
▶가오니
行きますれば

먹(다) + 사옵 + 니
▶먹사오니
食べますから

▶︎당신을 믿사오니
あなたを信じておりますので

하(다) + 옵 + 리다
▶제가 그 일을 하오리다.
私がその仕事をいたします

▶제가 내일 다시 그곳으로 가오리다.
私が明日再びそこへ行って参ります

있(다) + 사옵 + ㄹ지
▶그런 것이 있사올지
そんな物がございますかどうか

-으-で始まる語尾がつくと-오-
있(다) + 사옵 + 으면
▶그런 것이 있사오면
そんな物がありますれば

-아-で始まる語尾がつくと-와-になる
-아도 がつく → 오아도 → 와도

받(다) + 사옵 + 아도
▶받사와도
受け取りましても

【現代での使われ方】

不特定多数へ向けたアナウンスや注意書き、また宗教界でよく使われます。

《ビジネス文書で》
▶요청하신 내역서를 보내드리오니, 확인하시기 바랍니다.
要請なさった内訳書をお送りいたしますので、ご確認お願い致します。
▶이번 금요일에 귀사를 방문하겠사오니, 시간을 좀 내주시기 바랍니다.
今度の金曜日に貴社を訪問いたしますので、お時間をくださいますようお願い致します。

《留守番電話の応答メッセージ》
▶고객이 통화중이오니 소리샘으로 연결합니다.
お客様がお話中ですので、留守番電話サービスにおつなぎいたします。
▶지금 고객이 전화를 받을 수 없사오니...
ただいま、お客様が電話をお取りになれませんので…

《招待状で》

《宗教界で》
聖書や讃美歌など宗教的な文言で使われている。

▶︎신이여, 우리를 구원하시옵소서.
神よ、我らを救いたまえ
▶︎하느님 나라의 복을 주옵소서.
神様の国の幸福をお恵みくださいませ

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