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桜とゼニガメ

先日、近所のお花屋さんにて桜の枝を買ってきた。蕾がたくさんついてるやつ。家の中で桜の花に早めに咲いてもらうのも、またいいものだなあと思って。

桜の枝を、大きな1枚の紙でくるくると包んでもらう。それを抱えながら帰路に着くと、なんだかほくほく嬉しいような、強くなったような気がしてくる。

これはどこかで感じたことのある気持ちだなあなんて思ってうーんと考えてみると、家に着く頃に思い出した。これは、はじめてポケモンのゲームをやった時の気持ちだ。

ポケモンは最初、ゲームボーイで赤・青・緑の3色展開をしていた。たしか、僕が最初に手に取ったのは青。ポケモンを熟知してるみなさんは言われるまでもないだろうけど、最初にマサラタウンでオーキド博士からポケモンを1匹もらう。3匹の中から選ぶのだ。

はじめてポケモン青を手にしたのは幼稚園年中くらいだっただろうか。ドキドキしながらゲームボーイの電源をつけて、白黒の画面がつく。進めると、オーキド博士が「選ぶのじゃ!」みたいなことを言う。

僕が選んだのはゼニガメだった。たしか、最終進化形態のカメックスがカッコいいと思ったから。そこで僕は、生まれてはじてて自分とともに旅をする仲間を得た。たとえ火の中や水の中、草の中や森の中でも、いつも仲間がそこにいる。嬉しかったし、なんだか今までで1番強い自分になれた気がした。

桜の枝を手にした僕がなぜそんなことを感じたのか分からないけれど、でも僕は何か桜の枝という存在を、抱えながら共に旅をする仲間と認識していたのかもしれない。

そんな桜の枝は、いま目の前で綺麗に咲き誇っている。あの時、ゼニガメがはじめてジムリーダーに勝った時のように。

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