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28歳のゴールデンウィーク
28歳のゴールデンウィーク。僕は長い連休を迎えていた。
川崎駅西口の19平米の部屋で夜中、一人で鏡月を飲んでいた。
お酒で理性を吹き飛ばさないと、耐えられないような孤独を感じ、
後先考えないペースで飲んでしまっていた。
次第に高揚した気分になり外に出て春の涼しい風を感じていた。
気づいたら朝方、僕は幹線道路の脇の歩道を歩いていた。
どれくらい歩いたか、足の痛みも感じながら、現在地もわからず歩いていた。
時間を見ようとスマホを取り出そうとしたけど、見つからない。鍵もポケットになく、部屋に入れるのだろうか、不安を感じながらもただ歩いていた。
ここはどこだろう、どうして僕はこんな状態で歩いているんだろう。昨日の夜は部屋で一人で飲んでいたはずなのに。
まさか記憶を失って今に至っているんだろうか。
とりあえず部屋に戻って横になりたい。
部屋の方向も分からないけど、ひたすら歩いた。
見覚えのある高層ビルを頼りに、自分のアパートにたどり着けることを
祈りながら歩き続けた。
どれくらいの時間を歩いたか、何とか自分のアパートにたどり着けたが鍵が無くオートロックを開けなかった。まだ人もいない早朝、何とかアパートに入って、力尽きて寝た。
目覚めた後、ひどい吐き気を感じトイレで吐いていた。鏡月のグレープフルーツ割りの色だった。
鍵もスマホも財布も無い、どうしようもないゴールデンウィークを過ごしていた。
僕は一人だった。
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