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アートと生きる


社会人になって6日目。 

 贅沢なことに、「株式会社スマイルズ」の遠山さんへのインタビューに同席させてもらった。テーマは「世界を変える、これからのアート」。 

 スマイルズといえば、Soup Stock Tokyoを始めとし、100本のスプーン、ネクタイブランドのgiraffe、セレクトリサイクルショップのPASS THE BATON、ファミリーレストラン100本のスプーン、二階のサンドイッチなどの多彩な事業を展開している。
「ビジネスとアート」という言葉から真っ先に思い浮かぶ会社。 

 そんな会社の代表である遠山さんのお話を、今日はあんなにも近い距離でお話を伺うことができた。社長に感謝。

 お話が本当に面白かったので、忘れないうちにここに書き留めておく。 

 遠山さんは、アートについて「作る側」と「鑑賞する側」の2つの側面から話をされていた。

 1、アートを作る側

人は誰もが、自ら意思決定することでアーティストになれる。

「人間誰もがみなアーティストだ」 って言葉を耳にすることはこれまであったけど、言葉の意味をちゃんと理解できたのはこれが初めてだった。 

 遠山さんのこの言葉のキーワードとなるのが「意思決定」
 アーティストというのは、上司はいないし、給料も降ってはこない。 自ら意思決定することは、全てが自己責任であるということ。

これが「意思決定」を難しくしている部分で、だけどこれこそがアーティスティックな生き方に欠かせない要素である。

 自己責任ということは、物事が”自分ゴト”となるので、人のせいにしないで済む。つまり、こう言った環境に自分を置くという、自ら仕掛ける側に回ると、全てを自分ゴト化することができるというわけだ。 

 スマイルズのウェブサイトや、社員の方が出版されている「自分が欲しいものだけ創る!」という本にも載っていたけど、 

・斬新なアイデアを考えたければ、解決すべき課題を発見しよう 
・クリエイティブには、問題・課題が面白いものであるべき

こういった考え方が根底にあるからこそ、「アートとビジネス」を結びつけた、独自の道のりを切り開いてきたんだろうと思った。


 そしてこの言葉も印象に残っている。 

自らの人生、「イチブンノイチの人生」を歩むのに、イノベーションやグローバルはいらない。必要なのは、ただ自分の心に素直でいること。

 話を聞いていて、遠山さんってものすごく自然体な方だなって思った。

自分の感情にとことん向き合っておられる方だなぁと。「自分がどう感じるのか」、素直に自分と向き合う機会を、日常の中を始め、自分の持つ別荘など、いろんな場面で自ら追求していた。 

 どんなもの、道具、食、アートがあれば、自分が心地よくて、どういった感情が残るのか、常に自分の心と向き合っているのを感じた。 

 これが、次の「アートを鑑賞する側」での話に繋がる。

 2、アートを鑑賞する側

アートに関して遠山さんが大切にしていることは、「好きな作品を買う」ことだという。

 一見当たり前じゃないか、と思うかもしれないけど、シンプルで意外と難しい。
 情報やお金じゃなく、”その人らしさ”好きな作品を選んで買うのだ。 その人らしさとは、先ほど言った”自分の心に素直でいること”と通ずると思う。 

 これはアート作品に限ったことではないと個人的に思ってて、「ファッション」、「就活」にも同じことが言えると思った。 

 雑誌に載っているモデルが着ている服が、全人類に似合うはずはないのに、なんとなく”それ”が正解に見えてしまって、同じ物や似たものを買って、同じようにスタイリングする。 周りからの評価も高いし、福利厚生もしっかりしているから、きっといい会社だろうって、そういう要素で仕事を選んだり。 

 それが悪いとかじゃなくて、「自分に似合うこの服が着たい」「自分に合うこの仕事がしたい」という”自分らしさ”を最優先に、物事を決定するのって意外とやっぱり難しいことだなーって。
 現状、”流行”として、似たようなデザインの服がいろんなショップで並んでいたり、大手人気企業に人が殺到したりしているし。

 深いなって思った。 

不便で孤独であることは、快適である。
 不便を選ぶのは、大切なものを大事にしたいから。

この言葉は今日一番刺さったもの。 

 遠山さんは、北軽井沢に別荘を持っているのだけど、そこでの生活をこの言葉で表現していた。 

 車がないから、運べる箱サイズの物しか持てないし、日が落ちると暗いから、明るいうちに料理をしなきゃいけない。

  「不便を選ぶのは、大切なものを大事にしたいから」

この言葉の意味は、”「便利」というものが、本来人が生きる上で大切なものを見えにくくなってしまっている”ことにあるんじゃないかと私は解釈した。 

 本来、生きるのに必要なものってそんなに多くなくて、早い時間に食事を済ませて、ちゃんと空腹の状態で眠りについて、朝起きるとお腹が空いている。

 生きる上で大切なのはこんなシンプルなことなんだけど、難しい。

 都心にいると、タクシーを簡単に拾えちゃうし、Amazonでなんでも届くし、電気をつければ夜はずっと長くて、お腹いっぱいの状態でベッドに入って、朝はお腹がすかなくて。便利な環境にいるとなかなか大切なものに気づけない。 

 だけど不便で孤独な環境にいると、どうにかしようって、眠ってる自分のクリエイティブ力が起きてくる。 

 自分の知らない自分のZONEが拓けるこの感覚こそ、クリエイティブに、アーティスティックに生きる上で大事にすべきものなんじゃないかと思う。 

そしてこの感覚は、五感のどこかに集中している時の感覚と近い。  
例えば、瞑想だったり、絵でも椅子でも、何かをボーッと見ている時だったり、普段とは違うZONEに入る。 

 そういう意味で、

自分自身がどうありたいかを自覚することが大切で、
 アートは、我々をそこに導いてくれる要素を秘めている。

この言葉を最後におっしゃられていたのではないかと思う。


 アートって、絵とか美術だとか、そんな枠だけの話じゃないなってすごく思った。私にとっては「アート×ビジネス」っていう発想自体が新鮮だった。 

 今回インタビューに連れて行ってもらう機会がなかったら、スマイルズのことも、遠山さんのいろんな記事も、社員の方が出版された本を読むこともこのタイミングでは無くてもっと先で、あるいは無かったかもしれない。 

 社会人になって1週間も立たないうちに、こんな貴重な経験ができてよかった。 

 毎日楽しみ!これから頑張るぞ〜

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