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【小説風プレイ日記】超探偵事件簿 レインコード【1章推理編#15】

©スパイク・チュンソフト | RAINCODE

※前回から続き「時計塔の事件」の調査パートから始まってます。
全身釘で滅多打ちにされている人を見ても平気な方だけ、どうぞ。
※参考までにこのゲームは17禁です。






『時計塔の密室』



壁や床のあちこちに、人形が釘でハリツケにされている…とにかく不気味な光景だ。
人形はどれも古いビスクドールみたいだ。
まるで恨むような顔で…こちらを見ている。


『これ、全部手作業でやったとしたら、相当時間がかかりそうだけど…どーして、こんなメンドーなコトしたのかな?』

"クギ男"の都市伝説になぞらえる為じゃない?
でも、どうして犯人はそこまでして、"クギ男"の都市伝説を真似するんだろう…。」

うらめしや〜。



☩ ☩ ☩



 「やっぱり、死体も調べなきゃ…なんだよね?」

『待ってましたってカンジでしょ?
死体が運び出される前に来られてラッキーだったね!』

「…被害者の事を考えたら、とてもラッキーなんて言葉は使えないよ。」


少なくとも…この死体だけは、人形じゃなくて本物なんだ…。
この女性がどこの誰なのかはわからない。
保安部のレポートにも詳細は書かれていなかったし…。
けど、どこの誰であろうと、こんな目に遭うべきじゃないはずだ…!


『ご主人様、そういう前置きはいいから、早く早く〜!』


死体は酷い有り様だった。
全身あちこちに打ち付けられた釘…。
その釘で、死体は床にハリツケにされている。


「ん…? 首にアザがあるな。これって…。」

『ロープか何かで首を絞められた跡だね。』

吉川線


死体の首元には、ロープか何かで絞められた跡と、抵抗した際についた被害者自信の付けた引っ掻き傷があった。
死に神ちゃん曰くこういう絞殺の際にできた跡を『吉川線』と言われ、京都が舞台になりがちな2時間サスペンスドラマなんかのファンの間でよく使われている言葉らしい。


「じゃあ…死因は絞殺で間違いないって事?
でも、保安部のレポートには死因について何も書いていなかったよね?」

『うーん、なんでだろうねー。
少し調べれば簡単にわかるコトなのに。』


どうして保安部が死因を隠ぺいしてたのかは気になるけど、ここで調べられることは一通り終わったかな。


『うん、よーくわかったよ。この殺人現場は紛れもなく…。密室ぅぅぅ! 密室ぅぅぅ!』

『ドアには内側から鍵が掛かってて、唯一の窓がシャッターでロックされてたなら…』

『うっきゃー! 密室だぁ〜っ! 密室、超カワイイ〜!』


死に神ちゃんはハイテンションで飛び回り思う存分密室という空間を堪能している。
くん、くん、匂いを嗅いでいる姿は犬みたいだ。
幽霊みたいな見た目だから許されるけど、人型で今みたいな事やったら速攻アウトだよ…死に神ちゃん。

保安部が来る前に現場から立ち去ろうと思ったくけど更に上へと続く梯子が気になり調べて見ることにした。

「特に怪しいところはなさそうだね。」

『確かさ、あのガキンチョの父親って、『大時計を修理に来た』って言ってるんだよね?』

「あぁ、それがこの大時計なのか。」


彼はこの時計の修理を終えて帰るところだったのかな?
それとも、これから修理するところだったのか…。


『ま、どっちでもいいんじゃない?
オレ様ちゃん、密室以外に興味なーし!』


とりあえず…考えるのは後にして、いったんここを離れよう。



☩ ☩ ☩




外に出ると、男の子が手招きしてる。
こっちに来てって事みたいだけど…。
不思議に思いつつ、彼の後ろをついて行ってみると時計塔裏の茂みで止まった。
雨がずっと降っているため地面はぬかるんでいて、男の子の足跡がいつくか残っている。
ボク達が時計塔を調べている間に時計塔周辺を調べていてくれたようだ。


「ぼくにも何かお手伝いできないかって、建物の周辺を調べていたら見つけたんです…これ…。」

「足跡…?」

「これって、犯人の足跡じゃないですか?」

先が壁を向いてる足跡



壁際のぬかるんだ地面に、1組だけ足跡が残されている…。
でも、かかと部分のみで、せいぜいスニーカーじゃないとわかる程度だ。
これは…革靴だろうな。


「でも、この足跡…ちょっと変だな。」


だってほら…足跡が壁の方を向いている。
これだと、この足跡の人物は化に向かって歩いていったみたいじゃない?


『で、壁の中に消えていったの?
今度は、壁抜け男の登場?』

『きゃっきゃっきゃ!
"クギ男"といい、怪人オンパレードだね!』


上を向くと、あの窓が見えた。
ここは現場となった密室の真下にあるみたいだ。
これって、ただの偶然かな?
それとも事件と何か関係あるのか…。


「あの…どうですか?
やっぱり犯人の足跡で間違いないですよね?」


正直これだけじゃ、なんとも言えないよな…。
せめて、この足跡が彼の父親のものじゃないと証明できたらいいんだけど…。


「…あのさ、キミのお父さんって、普段はどんな靴を履いているの?」

「ほとんどスニーカーです。
今日もスニーカーを履いていましたし。」

「革靴を履く事は?」

「ない訳じゃないですけど…あんまり履きません。」


家に革靴が1足もないならともかく、あんまり履かない…くらいだと断定はできないか。
でも、せっかく彼が見つけたこの足跡を、無駄にはしたくはない…。





☩ ☩ ☩





『保安部捜査課長』



「それで…犯人は見つかりそうですか?」

「う、うん。なんとか…たぶん。
まだもう少し…時間かかるかもしれないけど。」

「そうですか…。」


やっぱり…お父さんの事が心配なんだろうな。
本当に無実なら、なんとか晴らしてあげたい…。
ついでに、もう少し彼のお父さんの話を聞いておくか。


「あのさ、キミのお父さん、今朝はいつもと違うところはなかった?」

「えっと…父さんは昨日の夜から時計の修理に出てたから、今朝は会っていません。」


大時計の修理をしてたっていうからてっきり時計の修理屋さんかと思っていたら、販売から修理まで行う時計屋さんだった。
お店では、腕時計とか壁掛け時計とか色んな種類の時計が売られているらしい。
地元民に愛された時計職人さんだったけど、保安部たちに"クギ男"事件の犯人として都合のいいように職業不詳にされていたんだ。


「キミのお父さんは、この時計塔の管理もしているの?」

「いいえ、1年に1回くらい大時計の調子を見る程度です。
でも、昨日は急に修理の依頼が入ったんです。
大時計がずれているから急いで直してくれって連絡があったらしくて。
でも…父さんはどんな時計の修理も喜んでやるけど、時計塔だけは嫌だって、いつもぼやいてました。」

「嫌がってたの? どうして?」

「だって、父さん…高所恐怖症だから。
本当は時計塔に上がるだけでも怖いけど、外を見ないようにして、ガマンして修理してるって。」


高所恐怖症…か…。
時計塔に上がるのも怖くて、外を見ないようにしてるって、よっぽどだよな。


『ご主人様、オレ様ちゃんの教育のお陰で、すっかり成長したみたいだね…。
考えてるフリが上手になって。』


フリじゃない! 真剣に考えてるんだ!


「…ん? なんか表の方が騒がしくない?」


保安部達が起きてしまったのかな。
様子を見に表の方へまわってみると…。



☩ ☩ ☩




「みなさん…起きてください…。
アマテラス社…保安部捜査課長の…せス=バロウズです…。

ボソボソ草食男子



「どうやら…我が保安部の偉大さを理解できない間抜けが、この街にまだ存在しているようですね。
そういう輩の掃除は…大方済んだはずでしたが、最近よそ者が入って来たという話もありますし…邪魔をしているのは何者なのか、目撃時から情報を聞き出しなさい…。
もしかしたら…まだ近くにいる可能性もあります。
不審者はすぐに捕まえるように。

それと…現場の死体はもう片付けたのですか? まだなら、急ぎなさい。
この街では雨の影響で死体が腐りやすい…早くしないと…腐りますよ。

…さっさと事件を片付ける為にも、捕まえた"クギ男"に処分を下した方がよさそうですね。
いっそ…公開処刑という手も…」


保安部はボクたちに気づく事なくそのまま時計塔から出て行った。
バレなかったのは良かったけど、大変な事になってしまった…。


「ど、どうしよう! 処刑って言ってた!
このままだと父さんが…!」


あのセスって人…真実なんてどうでもいいから、一刻も早く収束させようとしていた…。
この街では、いつもこうやって彼らの言う事が真実になっていくのか…!


「お願いします! 父さんを…父さんを助けてくださいっ!」


青ざめた必死の形相で男の子は訴えてくる。
しがみつかれた腕の痛みがその想いの強さを物語る。
ボクに出来るか…なんて考えてる場合じゃない、やるしかないんだ…ボクがやらないと彼のお父さんは…。


「キミのお父さんを救うには、真犯人を捕まえるしかない…。
…やってみるよ。ボクに任せて。」

「ホントですか!? ありがとうございます!」


もう二度とこの笑顔を曇らせない。




To Be Continued..

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