【小説風プレイ日記】超探偵事件簿 レインコード【1章推理編#18】
©スパイク・チュンソフト | RAINCODE
『教会関係者への事情聴取 "その2』
「これで、全員から一通り話を聞きましたけど…。
ハララさんは何か聞きたい事はありますか?」
「手番を回すのは、勝算がある時だけにしたまえ。」
えっと…もう少し自分で情報収集しろって事か?
でも、他に何について尋ねたらいいんだろう?
とりあえず思いついた事を片っ端しに聞いてみようか。
『人形について』
「そうだ…"クギ男"の儀式で使われている人形についてどなたか何か知りませんか?
事件現場でも多数見つかっているんですけど…。」
「へっ、あんなモン、人形屋に行けばいくらでも売ってんだろ。」
「…人形屋?」
「この辺じゃ、昔はどこの工事でも工芸品として、ビクスドールを作ってたんだよ。」
観光客向けとして作られていたビクスドールだったけど、鎖国して誰も来なくなって文化は寂れ店では投げ売り状態で、ごみ捨て場に行けば不法投棄された人形の山があちこちで見られるそうだ。
誰でも簡単に手に入るなら、手掛かりにはならないかもな…。
『過去の"クギ男"事件について』
「あの…"クギ男"の事件って過去に何件かあったんですよね?
その過去の事件について、どなたか何か知りませんか?」
「…そういう話はキミが詳しかったね?」
「あぁ…"クギ男"の事ならなんでも聞いてくれ。
もちろん、過去の事件についてもな。
なにせ、どの事件でも俺が死体を見つけているんだ。」
「…え? 毎回ですか?」
発見するまでの経緯はさっき聞いたけど毎回となるとさすがに怪しく思う。
でも信者もそれはわかってるらしく、どの現場でも近くにいた人や保安部と一緒に現場に行っている。
1人だけだと、現場は密室だったと嘘をつくことも出来るけど、どの現場も第一発見者はいつも1人じゃないから…密室なのは間違いないって事か。
『ご主人様、ひとまず過去の事件について詳しく聞いてみれば?』
「あの…それぞれの事件について、詳しく聞かせて貰えますか?」
自分で聞いといてあれだけど、事件を調査してるっていうのに"クギ男"事件についてまったく知らないのってどうなんだろう。
また突っ込まれたら嫌だなと思ったけど、"クギ男"信者でもある彼は意気揚々として過去に起きた3件の"クギ男"事件について語ってくれた。
「"クギ男"事件は、ここ半年で3件起きている。
時計塔の事件を除いてな。
最初のは半年前…現場はカマサキ地区にある秘密クラブだ。
いわゆる会員制カジノってやつで、標的にされたのは、そこのオーナーの男だ。
当時はまだ"クギ男"の名前は、都市伝説で耳にする程度だった。
ただ、俺は個人的な興味から、"クギ男"について調べてたんだ。
そんな矢先の事だった。
森で見つけた名札を追っていたら事件に出くわした。
俺はすぐにピンときたよ。これは"クギ男"の仕業だってね。」
「その現場も…密室だったんですか?」
「あぁ、一連の"クギ男"事件の現場には、共通した特徴がある。
1つは、釘打ちされた死体と人形…。
もう1つは、密室から煙のように消える犯人…。
どうだ、奇妙だろう?
俺が"クギ男"に興味引かれるのもわかるだろう?」
『わかるわかる!』
共感しなくていいから。
「秘密クラブの事件を"第一の密室"とすれば、"第二の密室"は…ギンマ地区近くの住宅街にある洋館で起きた事件だ。
洋館の書斎で、屋敷の主人が殺害されていたんだ。
今から3ヶ月前の事だな。
その事件現場も密室で、しかも、釘打ちされた死体と人形があった。
現場の状況からみて、"クギ男"の犯行である事は間違いない…。
やはり伝説の"クギ男"がカナイ区に降臨したんだって俺はそう確信したね。
で、"第三の密室"は、つい1ヶ月ほど前…ギンマ地区の美術館倉庫で女性が殺害されていたんだ。
もちろん、釘打ちされた死体に人形に密室…すべて揃っている状況だった。
そして"第四の密室"が今日、時計塔で起きた事件だな。
これが、今のところの"クギ男"事件の全容だ。
あくまで今のところ…だがな。
きっと"クギ男"事件はまだまだ続くぞ。カナイ区の人々の恨みを叶える為にな…!」
「は、はぁ…。」
信者だからしょうがないけど、人が亡くなっているのにその熱量はどうなんだろう。
『何か変わった事はないか』
「ええと…最近、教会で何か変わった事はありませんでしたか?」
『うわー、漠然とした質問!』
「あ…そ、そういえば…。」
最初に口を開いたのは使用人だった。
もごもごとしているけど、さっき変な物を拾ったらしい。
「さ、さっき…焼却炉で…変な物が燃えていたんです…。」
「変な物…というのは?」
「な、なんていうか…たぶんロープなんですけど…変な物としか言いようがなくて…。」
口だと説明しずらそうだったので紙に書いてもらうと、それは確かに足が生えたロープのような見た目の変な物だった。
使用人が焼却炉から取り出した時にはもう手遅れで完全に燃え尽きて端切れしか残っていなかった。
焼却炉は鍵のかかった柵で覆われていて、その鍵は教会関係者しか使えないにも関わらず誰も捨ててないと言っている。
ちなみにこの教会関係者に信者は入らない。彼はあくまでも熱心な信者であって、教会に勤めているわけじゃないから。
『容疑者について』
「先ほど"クギ男"事件の容疑者として、時計屋の男性が逮捕されてしまったんですけど…彼について、何か知っている方はいますか?」
「時計屋さんって…まさか、ジエイ=コーランさんの事ですか!?」
糸目の神父が目を見開いて驚いている。
知り合いだったのかな。
「何度か教会の時計を直して貰った事があります!
そんな…彼が"クギ男"だったなんて…!」
「あ、いや…まだ犯人だと決まった訳ではありません。」
「あぁ、そうですか…。」
あれ…知り合いが"クギ男"じゃなくて安堵したというより、犯人として確定した訳じゃない事を知ってガッカリした感じ?
一瞬そんな気がしたけど気のせいだろう…だって。
「ただ、仮に犯人だったとしても、誰も彼を憎む事などできないでしょう。」
「どういう意味ですか…?」
「この街には何もかも変わってしまいました…。
誰もが心のどこかで救いを求めています。
"クギ男"が生まれのも、そんな状況に原因があると言えるでしょう。」
「街の人が"クギ男"を求めていたって事ですか?」
「もちろん、多くの人々はそれを否定するでしょう。
けれど、この森で人形に釘を打つ人は絶えない…。
"クギ男"が彼らの代行者であるのなら、彼らもまた"クギ男"である…。
私にはそう思えますが…いかがでしょう?」
『確かに、一部の人にとったら、"クギ男"って救世主かもしれないね。
なんたって、殺したいほど憎いヒトを本当に殺してくれるんだもん。
それだけの恨みを買ってた被害者も、自業自得なんじゃない?』
それも一理あるのかもしれないけど…。
相手を殺す事でしか救いを見いだせないなんてそんなの…。
☩ ☩ ☩
『犯人はこの中に…いる!』
これで、聞くべき事は大体聞けた…かな?
「そろそろ、時間切れだな。次に行くとしよう。」
「今ので大丈夫…ですかね?」
「あぁ、もう十分だろう。諸君らもありがとう。」
協力してもらった教会関係者のみんなにお礼を言いその場から立ち去る。
背を追っていると、不意にハララさんが立ち止まった。
「…彼らの顔をよく覚えておくといい。
いずれ、犯人として告発するかもしれない者達だ。」
「たとえ彼らが雑路に逃げ込んだとしても、瞬時に見分けがつくくらい頭に刻んでおきたまえ。」
…え? その言い方だとまるであの中に…。
「ま、待ってください!
じゃあ…彼らの中に真犯人が!?」
「…どうだかな。確定させるにはまだ情報が足りない。」
確定はできないと言っているけど、ハララさんには大体大まかな概要が見えているようだ。
…ボクにはとっかかりさえも見えないけど。
「さぁ、時間が持ったいない。次は、過去の事件現場の調査だ。
君の小さな灰色の脳が混乱するといけないから、事件の起きた時系列通りに、現場をたどる事にしよう。」
ボク達は最初の"クギ男"事件が起きた…カマサキ地区の秘密クラブに向かった。
To Be Continued..
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