【小説風プレイ日記】超探偵事件簿 レインコード【0章 解決編#8】
©スパイク・チュンソフト | RAINCODE
【結論、犯人ジルチは
他の超探偵を殺害後、焼身自殺した】
「やっぱり、これは真実じゃない!
犯人のミスリードなんだ!」
パリーンッ!! と、ガラスが割れたような大きな音のとともに崩れ去った扉の向こうに側には謎怪人スパンクが現れた。
「フン、大人しく諦めていればいいものを…!」
「やっぱりあれはニセモノだったんだ。
よく考えてみたら、ジルチさんが焼身自殺なのはおかしい!
だって、ボクが窓越しにジルチさんを見た時、彼の胸にはナイフが突き立てらていたんだ。
彼が焼身自殺したんだとすると、胸のナイフはなんの為に突き立てられていたんだ!?」
「ぐぅぅ…小癪な真似を…!
い、いいだろう! 答えてやろう!
もちろんわかっているぞ…。そ、そう! 意識を失う為だ!
先にナイフで意識を失ってから、焼身自殺しようとしたんだろう。焼かれ死ぬのは苦しいからな。
他に苦しみから逃れるすではない!犯人はジルチで間違いない!」
「意識を失うのが目的なら、食堂車にあった睡眠薬入りコーヒーを使うはずだ!
その方がずっと楽に意識を失えるよ!」
「ぐぉっ…」
鈍いうめき声をあげ謎怪人スパンクは消え去った。
『なるほどね、ご主人様が言ってたミスリードってやメガネ探偵の死因のコトだったんだね。』
「うん。保安部は焼死って言ったけど、あれはまるで、刺殺されたような死体だったんだ。」
『保安部の報告が嘘だったの?
でも、保安部が死因について嘘をつく理由がないよね?』
『むしろ、ご主人様を犯人に仕立て上げるつもりなら、正確に報告しないとツッコミ入る可能性もあるのに。』
「そう考えると、被害者が『全員焼死』なのは、やっぱり間違いない気がする…。」
それなのに、ジルチさんの死因は刺殺にしか見えない…。
「…そっか、ボクが引っ掛かっていたのは、この矛盾の事だったんだな…。」
あぁ…でもダメだ。ここから先はいくら考えてもわからない。何か…手掛かりがあれば。
「死体を見つけた時にちゃんと調べておけば良かったけど、あの時は、とにかく他の人を呼ぶ事で頭が一杯で…。」
『ねぇ、今もっとちゃんと調べてれば良かったって言った? じゃあ、ちゃんと調べればわかるの?』
「…え? あ、たぶん。」
でもそれは現実世界の話で、これはもう起こってしまったことだから、今からじゃどうすることも…。
否定的なボクの事なんてガン無視で、死に神ちゃんは肩をぐるんぐるん回してる。
え…なに…怖いんだけど。
その素振りがまるで、これからいっちょ大きな仕事をやりますか! って気合いを入れているように見えるから怖い。
『オレ様ちゃんって、ご主人様に頼られると弱いんだよねー!』
「な、なんか…とんでもないオーラが…!
何するつもり…!?」
『ご主人様の為に、かっ飛ばすよーっ!』
なんの前準備もなくエルボー? プロレス技にある腕を首元に思いっきりぶつけられた。
ぶつけられた衝撃でボクの頭から何か落っこちたような気が…いや気のせいだ、たぶん、そうに違いない。
パチクリする視界、ふと気がつくと、そこは謎迷宮じゃなくて、アマテラス急行の救護室の中だった。
「こ、これって…!?」
『あの時、ご主人様が見た記憶を引っぱり出して、謎迷宮の中に具現化してあげたんだよ。
オレ様ちゃんのキュートな奥義でね。』
頭から何か出たような気がしてたけど、気のせいじゃなかったんだ…。
痛さと驚きで頭が混乱しまくっているけど、この空間を維持できるのはボクが頭痛と戦っている間だけらしい。
調査するなら手早くやらないと。
とりあえず足元にあったクッションを調べてみる事した。
あの時はクッションがあったことさえ気がつかなかったけど、このクッション真ん中に鋭利な物で突き刺したような穴が空いている。
見てはいたけど記憶にはない…ってものは認識できていないってだけだから、認識できたりちゃんとした手掛かりとして解鍵になるみたい。
次はジルチさんだと思った死体を調べてみる。
死体にかけられている毛布…ほとんど燃えてしまっているけど、ナイフの周囲はわずかに燃え残ってる。
それに…見たところ、毛布にはまったく血が付いてない。
でも、この状況でまったく出血がないなんて、あり得るのか…?
☩ ☩ ☩
謎迷宮に戻ってきたボク達は、さっき手に入れた手掛かりを使って推理し直してみる事にした。
そうか。ボクが窓越しにジルチさんを見た時、胸にはナイフが刺さっているように見えたけど…あれは、毛布の中に隠したクッションに刺して、いかにも刺さっているように偽装しただけだったんだ。
だから、クッションには刃物で刺した穴があったのに、毛布には血が一滴もついていなかった…。
「間違いない! ジルチさんの死は偽装工作なんだ!」
『偽装工作ってコトは、あの死体はホントに死んでたワケじゃなかったの?』
「うん。ジルチさんは死んだように見えてたけど、実は、偽装工作で"死んだふり"をしてただけなんだ。
あのナイフは、窓越しに見たボクに"死んでいる"と思わせる為の小道具だたんだよ。
だけど、保安部が死因を『全員焼死』だと報告した事で、そこに矛盾が生じてしまったんだ。」
『てコトは、さっきの奈落の行き止まりの先に、実は新しい道が隠されているのかも…。』
☩ ☩ ☩
ボク達は来た道を戻ってあの場所へ向かおうとしてたのだけど…。
『あそこまで戻るの面倒くーい! もう歩きたくなーい!』
「…案内人とは思えないセリフだね。
そもそも、死に神ちゃんは歩いてないし。」
長いトロッコのレールのど真ん中で不貞腐れている。
見た目通りというか…死に神ちゃんは努力とか苦労とかそうゆうものが大嫌いでとにかく楽がしたいらしい。
『あっ、そうだ。有能可憐なオレ様ちゃんには、便利な移動手段があったんだ。』
『ほら、一度訪れた場所に楽して戻れる便利なアレだよ。
使うなら今しかないよね。』
『ほーら、楽チン!』
「う、うん…いいのかな…。」
なんだかよくわからないけど、胸がざわざわとする。
すごくいけない事をしてしまった…そんな気がするのは、なぜだろう。
『で、"犯人はどうやって犯行を行った?"って分岐の"死んだふり"ルートの先に戻ってきたけど…』
目の前は断崖絶壁のままで新たな道はない。
おそらくさっき手に入れた解鍵を使って道を開かないといけないんだ。
「ジルチさんは自らの死を偽装して、死んだように見せかけたんだ!」
『道が開かれたよ!
このルートを打開する推理の糸口を掴んだからね。』
新たにできた道を進んで行く。
こうやって、"死んだふり"のルートの先が、"偽装工作"の解鍵で開いたって事は…やっぱり、ジルチさんの死は、偽装工作で間違いないなかったんだな…。
さっき手に入れた情報を整理しながら歩いていると、突然カタカタと地面が音を立てて揺れ始めた。
「わっ…足元が! く、崩れるっ!?
な、なんで!?
このルートであってるんじゃなかったの!?」
『たぶん、まだ推理に穴があるんだろうね。』
そんな笑顔でさらっと言わないで!
どんどん崩れていく地面を飛び移りながら、推理の穴を埋めていく。
ボクが窓越しに発見したジルチさんは、ナイフとクッションの偽装で死んだふりをしていたけど…あれは、間違いなくジルチさん本人だった!
ボクが調べた死体は間違いなく本物だったけど、あれはジルチさんじゃなかっんだ…。
つまり、ジルチさんは別の死体と入れ替わっっていたんだ!
死体が入れ替わったのは、ボクが救護室の窓を割って鍵を開ける直前…あの時、火が大きくなって部屋に煙が充満したせいで、窓越しには何も見えなくなった…。
ジルチさんは、あの煙を目隠しにして別の死体と入れ替わったんだ!
そう。ジルチさんは死体と一緒にベッドにいたんだ。
そして、煙幕の中で起き上がると…毛布の中に隠していた死体を引っ張り出し、そこにクッションから抜き取ったナイフを突き刺した。
「そしてその後、ジルチさんはベッドの下に隠れたんだ。あそこなら瞬間的に隠れられるからね。」
『てコトは、あの時ご主人様がベッドの下を調べてれば、アホ面したメガネ探偵を捕まえられてたんだね…。』
「ただ…あの時さ他の超探偵に知らせなきゃって慌てちゃってたから…。
…でも、きっとそれも計算してたんだろうね。
ボクなら取り乱すはずだって。」
死に神ちゃんが見た洗面所に様子を見に来た人は、ジルチさんだったんだろう。
本来ボクは救護室で寝ている予定だったから、移動させてから犯行に及ぶつもりだったんだろうけど…ボクは洗面所で気絶していたから、問題なくそのまま犯行に及んだんだろうね。
1号車に向かうように仕向けてたのも、ジルチさんだったし、最初からボクを犯人に仕立てる計画だったんだ。
☩ ☩ ☩
『真犯人は誰だ?』
「これ以上はもう…先に進ませんぞ!」
『ふーんだ、まだ隠ぺい工作するつもり?
無慈悲なご主人様に逆らうと、全身こま切れ肉肉にして野菜と一緒に炒めてペロりといただいちゃうんだからね!』
「…いただかないよっ!」
謎の死に神ちゃんのボケはともかく…。
謎怪人スパンクとのラストバトルだ!
「バカげた推理をするんじゃない!
死体と入れ替わっただと? ジルチと入れ替わるならそれなりの体格が必要だ。
そんな死体を入れられる鞄などないし、そんなもの駅で速攻見つかる。
入れ替われる死体など存在しなかったのだ!」
「いや、入れ替わる為の死体を前もって持ち込む必要はない。
列車内の被害者の死体を再利用すればいいんだ。
5号車のエイフェックスさんの死体だよ!
彼は入れ替わるジルチさんと体格がほぼ一緒で、なにより、胸の刺し傷という共通点もあった…。
つまり、入れ替わった死体は、エイフェックスさんのものなんだ!」
「ク、クソ…! 貴様らなんかに…真実が…!
し、真実…が……………………。」
苦し紛れの言葉を残し、謎怪人スパンクは完全に消滅した。
もう彼が現れることはないだろう。…そう思いたい。
上と伸びる梯子を上りながらボク達は今回の事件について振り返った。
『いやー、まさか入れ替えに使った死体が、あの脳筋短気バカのものだとはねー。』
「今思えば、1号車と5号車の死体だけ黒焦げだったのは、死体の入れ替わりをやる為だったんだよ…。
ただ、あそこまで黒焦げだと、発見したボクがエイフェックスさんだと判別できない…。
だから、死体にネックレスを付けておいたんだ。
ボクが死体をエイフェックスさんだと認識するように。」
死に神ちゃんと事件の事をまとめていると、光が見えてきた。
そろそろ出口のようだ。
この長い梯子の先はどこに繋がっているんだろう…。
「え…ジルチさん…!?」
to be continued..
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?