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【クリアレビュー】ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤

ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤
メインストーリーをクリアしたのでクリアレビューを書きたいと思います。

  • プレイ時間:約60時間

  • 発売日 2022年12月9日

  • 対応機種 Switch

  • プレイ機種 Switch

  • 開発元 トーセ

  • 発売元 スクウェア・エニックス

 メインストーリーに関するネタバレはしないように書いていますが、ゲームシステムに関してはがっつり触れているのでネタバレだ! と感じる方はUターンお願いします。

総評:ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤 (DQトレジャーズ)はかなり人を選ぶ作品。

 普段あまりゲームをしないようなライトゲーマーにはちょうどいい難易度で受けは良い様子。だが様々なジャンルに精通しているコア層(ハードゲーマー)の受けは悪く本作が発売した直後からSNS等で大炎上していた。

 ジャンルは「トレジャーライフRPG」となっているが、オープンワールド風なプレイエリア、簡単操作の3Dアクション、ハクスラ要素を含む仲間のスカウト、お宝を入手するためのタイムアタック的なダンジョン攻略など、多くのジャンルを複合した作品。

 一件たくさんの要素が楽しいそうだと思われるだろうが実際は、どれも本格的では無く、各ジャンルの表面を撫でた程度のお粗末な出来となっている。普段からゲームに熱心に打ち込んでいない人であれば、複数の遊びを同時に楽しめるゲームとして評価するかもしれないが、ゲーム上級者はどれも中途半端に感じてしまうこと間違いなし。

 お宝要素に関しては、鑑定額がソーシャルゲームのように桁が大きいことは気になるものの、シルエットから中身を想像して鑑定で答え合わせをするという過程は、ドラゴンクエストの知識を試されているようでドラクエファンなら楽しめる。



"オープンワールドを意識した多ジャンル作品

『ドラゴンクエストトレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』は『ドラゴンクエストⅪ』に登場したカミュ・マヤ兄妹の幼き日々の冒険を描いた作品です
当初はモンスターズシリーズ○周年の記念作品としてアナウンスされていたのですが、開発途中で仕様が変更され、「ヒーローズ」や「ビルダーズ」のようなドラクエ本編とは別枠のスピンアウト作品「ドラゴンクエストトレジャーズ」として発売されました。

トレジャーズというゲームタイトルから分かる通り、お宝を集めることが目的となり、謎の精霊に導かれて訪れた“竜の大地”にて、七つの竜石を手に入れるために、様々なお宝を集めながら拠点を拡張していくことになります。

5つの浮遊大陸を探索してお宝を集める。
ソシャゲのような桁が気になりますが、
お宝を集めて自分の組織をパワーアップさせていく


"オープンワールド“風”なリアルタイム3DアクションRPG


 DQトレジャーズのマップ中央はカミュたちの拠点となっており、それを除く5か所の浮遊大陸が探索目標となっていて、それらはオープンワールドと呼ぶには規模は小さいですが、特殊なエリアを除いてシームレスに繋がる遊び場となっているので、一般的なオープンワールドゲームと同じく、基本的には見える場所は全て踏破できるようになっています。
 仲間モンスターの移動スキルを駆使することで、徒歩では登れないような高台に上がったり、崖から滑空してショートカットなどができたりします。

アンリアルエンジンで描かれる世界。
Switchにしては頑張っている方だと思われる。


 フィールド上にはモンスターが歩き回っており、エンカウント制ではないので、見つかればそのまま戦闘に突入。戦闘はリアルタイムで進行し、プレイヤーはカミュ・マヤを操作して短剣による連撃か、属性弾や回復弾を撃ち分けることができるパチンコで戦う。仲間のモンスター達は完全にオートで、状況に合わせて覚えているスキルを使い分けて戦ってくれる。

プレイヤーは余り強くないので、支援に回る方が多い。
主人公は全属性で攻撃可能。
バイキルト、スカラ、ラリホーなどの支援用の弾もあり。


 さすがオープンワールド。DQトレジャーズにおいては従来のドラクエシリーズでは絶対に低レベルで倒せないような強敵が、序盤から近くをウヨウヨと徘徊しており、そいつらにも自由に挑戦することができます。
 序盤であったとしても、回避を駆使しながら逃げ回り、ラリホー弾で眠らせて体制を整えるなどすれば倒すことも出来るのはさすがオープンワールド。

序盤で超強敵を倒せれば経験値が非常に美味しい。
運が良ければスカウトも出来る。


 また、オープンワールドの定番と言えば素材拾いですが、それもしっかりと採用されており、プレイエリアの至る所で拾うことができる。集めた素材はスカウトしたモンスターを仲間にする際に消費する他、クエストで要求されたり、ステータスアップの料理の材料などに使われます。
ひとつ文句をいうなら、近づくだけで自動で拾って欲しかった。いちいち広いに行くのが面倒臭い。

スカウトだけではなく、
要求素材を渡すことで初めて仲間になる。


"テーマな割に意外とシンプルなお宝さがし

 そして肝心のお宝探しは思っていたよりもシンプル。イベントアイテムである7つの竜石は決まった場所で入手することになるのですが、拠点を成長させるために必要な一般的なお宝は、エリア内にランダムで埋められています。プレイヤーがお宝に一定距離まで近づいた状態でモンスタービジョンというスキルを発動すると、モンスター達がそれぞれの視点から見たお宝の場所を教えてくれるので、3つの風景から場所を特定できればお宝を掘りだすことができます。

 このモンスタービジョンという仕組みには、モンスター毎の特徴がユニークに反映されているのが面白い。
例えばスライム系は素直でクリアな視界で分かりやすいのですが、さまようよろい系だとバイザーの縦格子が邪魔して見え難かったり、トンブレロ系は帽子で一部の視界が遮られていたり、ドラキー系であれば超音波を駆使しているという設定からか視界はノイジーで白黒になっていたり、キラーパンサー系であれば常に疾走しているからか、視界が流れるように歪んでいる。

宝を探すときはバイザーを上げろ!と突っ込みたくなる。


 宝探しはそこまで難しくないですが、モンスターによってヒントがヒントになってないのが面白い。

 拾った宝箱も好きなだけ持てるというわけでもなく、連れている仲間モンスターが運んでいるという設定のため所持上限数が決まっています。
さらにお宝を持った状態で探索を続けていると他のライバル団の襲撃を受けることがあり、仲間モンスターが大ダメージを受けるとお宝を落としてしまい、最悪の場合は回収できずに奪われてしまうことも。

 お宝は沢山手に入れるほどに査定ボーナスが付くため、所持限界まで探索を続けたいところですが、襲撃や野生の強敵に倒されたりするリスクを考慮して、どこで探索を切り上げるか見極めることが重要。

なお、ライバルとなるモンスター達は、既存のモンスターをアレンジしたものとなっていて、空賊団に似合った、少しだけ悪そうな意匠が施された姿はゲームに良くマッチしているのが個人的に好みでした。

完全フルボイスでは無いですが、豪華声優が起用。


 このようにDQトレジャーズは、オープンワールド風の世界の探索、強敵との遭遇や素材集め、リアルタイムの3Dアクションを通じてモンスターを仲間にするハクスラ要素、地図を頼りにお宝を探し、所持限界からの見極めなどなど、色々な要素をふんだんに詰め込んだ作品となっています。

"お宝はツッコミどころ満載で面白い

DQトレジャーズの魅力は何と言っても豊富なお宝。
お宝には、過去作品に登場した著名な武具、イベントアイテムや消費アイテム、ドラクエ関連作品の登場人物の像、どこかの姫に蹴破られた城の壁などなど、中々に見応えのあるラインナップ。

特に武具類は大量に採用されており、“はやぶさのけん”のような正統派の優秀な武器から、“あぶないみずぎ”のような定番のネタ装備まで登場し、メタルキングのよろいならぬ、メンタルキングのよろいのような、パチモノアイテムも幾つか登場する。

伝説勇者(1)


 いずれのお宝も、地面から掘りだした段階では黒塗りのシルエットしか分からず、正式な名称や鑑定価格は明らかにされていない。
お宝は拠点に持ち帰れば自動鑑定されるので、持ちきれない場合はそのシルエットから価値を見極めて取捨選択することになるのですが、このシルエットクイズ的な遊びが、まるでドラクエの知識を試されているようで面白い。
似たようなシルエットが多いため、円形アイテム「ラーの鏡」だ! と思ったら「おなべのふた」で今度こそ! と思ったら「うーの鏡」で……爆笑しました。

"奥深さを感じない戦闘

 DQトレジャーズの仲間モンスターは、完全にAIでオート戦闘してくれると、紹介しましたが本作には「ガンガン行こうぜ」的な作戦は存在しません。
とはいえ、仲間モンスターはカミュ・マヤよりも圧倒的に強く頼もしく戦ってくれるので、プレイヤーは隙を見て短剣攻撃をしたり、弾で支援に回ることが主体のゲームだと思えば良いのかもしれませんが、短剣は連撃以外にアクションはなく単調で、パチンコは弾を選ぶだけでターゲットすれば必中なので技術的な介入要素は低く単調なためダルい

 攻撃や被ダメージで貯まるロマンゲージを消費することで発動するロマン技や、仲間モンスターに合わせて攻撃することで発動するスキルチェインなども用意されてはいますが、これらは通常の攻撃と比較してダメージの桁数が2桁ほどアップされ、ほぼほぼこれらによるダメージが与ダメージの大半を占めるので、立ち回りもワンパターンになりがち。

ロマン技の見た目自体は面白いのだけども


 また、戦闘のシーンとしてはフィールド以外にもダンジョンが用意されていますが、ダンジョンとは名ばかりで、円形の戦闘場が用意されており、敵を全滅させれば次に進むだけの極めてシンプルな作りで、クリアタイムによって報酬が良くなるようですが、事前に貯めておいたロマンゲージで敵を瞬殺し、後はひたすらに仲間を囮にパチンコを撃ってチェインを発動させるしかパターンは無い。と、攻略サイトで見ました。

出てきたモンスターを倒すだけのダンジョン。
勝ち抜き戦なので分岐などはない。


 普段あまりアクションゲームをやらないので自分はこれぐらいの難易度で丁度良かったのですが、ガチで遊んでいる人にとっては「なんじゃそりゃ」と拍子抜けしてしまってつまらないと感じてしまったようですね。
別作で新しいことに挑戦するのは"ドラクエらしい"けど普通に『モンスターズ』を出して欲しかったという意見をいろんなところで見かけました。

"コアなゲーマーは相手にされていない

 ただしこれらの仕様については、一概に全てが問題ありという訳ではなく、スクウェア・エニックスさんがドラクエシリーズをプレイするボリューム層が、どの程度ゲームに意欲を持っているかを良く理解しているということの現れだと思われます。

 ドラクエシリーズをプレイする年齢層は全体的に高めで、普段から積極的にハードなゲームをプレイすることもないため、変化を好まずドラクエらしさを感じることが出来れば、ゲームシステムの子細には拘らずに満足する。その一方で、新しい試みには拒絶反応を示す傾向が強い。

 そのため、オープンワールド風やアクションゲームに変化しつつも、その内容は決して複雑ではなく理解が容易で、オート戦闘でお馴染みのモンスター達が楽しげに戦ってくれて、レベルさえ上げて一定時間さえ凌ぐことが出来ればロマン技で大逆転できる大雑把なバランスが丁度良かったのでしょう。

 マンネリと言われない程度に変えつつも、なんとなくドラクエらしさを感じさせることができれば、多くのファンの満足度は向上するのだ。

DQトレジャーズが"あえて"古くて面倒な仕組みを採用し、薄っぺらい戦闘方法が採用される理由、それはコアゲーマーは無視して、変化を好まない古参のドラゴンクエストファンの方を向いて作られた作品だからなのである

ドラゴンクエストトレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤は、発売直後から炎上していたため買うかどうか悩んでいる方もいると思います。
本作は“ドラゴンクエストぐらいはとりあえずプレイしておく”というタイプのライトゲーマー向けの作品なので、〇〇なゲームを遊びたい!と強い意志を持っている人にはあまり向かないのかも……。
体験版が配信されているので、とりあえずそちらをプレイしてみてから買うかどうか決めてみてもいいですね。

ドラゴンクエストトレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤
クリアレビュー 2022.12.26.fen.



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