第9回牡丹餅句会

牡丹餅句会主催者・選者、雪上牡丹餅の第一川柳句集『降ってきたリンゴ』絶賛発売中です(自称)。ぜひ読んでください。

第9回牡丹餅句会には9句のご投句がありました。
ギリギリのライン…
いいね、再投稿(違和感…)して頂いた方含め、皆さんありがとうございました。
以下、入選句発表と選評、軸吟、選外評、総評です。
題は、「QRコード」。


入選句

クイックレスポンスコードでがぶり寄り/森砂季

QRは「クイックレスポンス」の略。相撲は力士の見た目からは想像できないスピードで勝負を決するが、QRを敢えてもとの言葉にすることで「がぶり寄り」のスピード感、機敏な反応が表現されている。
静的といえるQRコードから「がぶり寄り」という動作につなげたかぁ。
QRコードという題から相撲につなげた発想力が素晴らしい。
また、QRコードを開発した企業としては、あれだけ世界で利用されるようになれば、この技術でまさに「がぶり寄り」だろう。
いろいろな読みができる。

軸吟

神の一手はここで生まれる/雪上牡丹餅

選外評

読めないQRコードURLの記載も無く爆死

誰か教えてあげて欲しい、そのQR読めませんって

そんで支払いが滞納して、電気がつかなくなった件/咏鳩

形式のことはとりあえず置いておいて、やっぱり川柳というか詩やXのポストのように私には感じる。詠んだ本人が川柳と捉えている以上川柳なのかもしれないが。
内容はストレート。分かりやすい。

ガラケーにご縁無きこと此の印/春舟

まぁ、そうですね。最近ガラケー見ないなぁ。

読み取るべきか今日の囲碁/西沢葉火

QRコードは「囲碁」をヒントに作られた。「囲碁」のようなボードゲームでは先の手を「読」むのが当然である。
しかし、本句は「読み取るべきか」とその当然の前提自体に疑問を投げかけている。「今日の囲碁」ということは前回の「囲碁」では「読み取」ることで何か不都合があったのか。負けてしまったのか。
ここで「囲碁」をQRコードそのものだと考える。日常生活でQRコードを「読み取る」機会は増えてきていると思うが、もしかしたら有害なサイトに誘導されてしまうかもしれない。
便利なものではあるが、「読み取るべきか」自分に問うことも必要なのかもしれない。

は㈱デンソーウェーブの登録商標です/まつりぺきん

「QRコード」の文言を利用する際は「QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です」という記載が必要らしい。そこを突いた句。
ただ、これって説明句になるのではないか?それとも「QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です」という言葉全体が固有名詞みたいな扱いなのか?固有名詞だけで句は成立するのか?
面白い題の処理だとは感じた。

QRコードのいとこみたいな歌詞/湊圭伍

「QRコード」ではなく「QRコードのいとこ」みたいな「歌詞」。「QRコードのいとこ」とはどんな存在だろうか?
そもそも「いとこ」にもいろいろいるだろう。小さい頃からきょうだいのように育った「いとこ」もいれば、親戚の集まりで数回しかあったことのない「いとこ」、会ったことのない「いとこ」もいるだろう。様々な距離がある。
「QRコード」から様々な距離をとった存在。情報を保存する様々な規格のことを指しているのか?「歌詞」のところどころに様々な情報、思い出が隠れているのか?

受けなんで…出してもらっていいっすか/片羽雲雀

「受けなんで…」ってことは最初はお互いに自分のQRコードを出したんだろうか?でも「出してもらっていいっすか」とどうつながるんだろう?
「受け」「出して」って言葉からすると、題を離れると性愛句とも読める。「いいっすか」って口調だけど「受け」。

ぐにゃぐにゃに入れ替えられた道すがら/下野みかも

QRコードとして完成版になる過程では「ぐにゃぐにゃに」なっているのかも。

総評

投句数こそ多くはありませんでしたが、いろいろな題の処理の仕方があるのを見て読んでいる方としては楽しかったです。入選句は意外性と表現力があり、印象に残った句を選びました。

お知らせ

次回は第10回牡丹餅句会です。
題詠1句。題「カウントダウン」投句締切9/2㈯23:59

次々回は第11回牡丹餅句会です。
題詠1句。題「11時」投句締切9/9㈯23:59

その次は第12回牡丹餅句会、西沢葉火さんの願いに応えた特別回として、2人1組での各人5句計10句のいちご摘み句会として開催します!前の句と共通の一語を摘んでいってください。

ご投句お待ちしています。
…そして今週何かが起きるかも

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